(ぞうきいしょく organ transplant)
生体、あるいは死体から、臓器を必要とする患者に移植を行なうこと。 生体の場合は肝臓や肺や腎臓や小腸の一部が移植される。 死体の場合は従来の心臓死あるいは脳死のあと、 心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓、小腸、角膜、その他の臓器が移植可能である。
[脳死臓器移植]
日本では1968年の和田心臓移植以来、
脳死患者からの臓器移植がタブー視され法制化が遅れていたが、
1997年に「臓器の移植に関する法律」が通過し、
はじめて脳死臓器移植が行なわれた1999年2月以降、
現時点までに21件の脳死臓器移植が行なわれている。
日本の臓器移植法の特徴は、 脳死後の臓器移植を望む人にだけ脳死による死が認められ、 それ以外の人には従来の心臓死の基準が用いられるという「二つの死」の基準が 用いられていることである。 また、民法上の遺言可能年齢に満たない15才未満の未成年が臓器移植の提供者と なることは認められていないため、心臓などの臓器提供を必要とする小児患者は、 米国やオーストラリアなどの国外で移植を受けるという現象が起きている。 また、ドナーカードの所持率は9%台であり、そのうち臓器移植を行なうと 記入してあるものは半分ぐらいであるという。 さらに、当人の明示的な意思表示と家族の承諾がないかぎり臓器提供は行なわれない というのは、世界的に見てかなり厳しい基準であり、 「臓器移植禁止法」と揶揄されることもある。
2000年から臓器移植法の見直しが始まっており、 (1)脳死を一律に人の死と認めるか、 (2)本人の明示的な意思表示がない場合、 家族の承諾があれば臓器提供を行なえるようにするか (3)15才未満の未成年も、 本人の意思表示と親の承諾があれば臓器提供を行なえるようにするか、 などが論争点になっている。
16/Oct/2002