脳神経倫理

(のうしんけいりんり neuroethics)


脳科学の発展にともなう倫理的問題を考察する研究分野。脳倫理とも。例えば、 fMRI(機能的磁気共鳴画像法)などの機器を用い、ある思考をしている際に脳 のどの部分が活性化しているかの地図作り(ブレイン・マッピング)が現在進 んでいる。この技術を応用すれば、他人の思考の一部を読み取れる可能性があ る。また、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療に用いられるリタリンを健常 人が飲めば、集中力が高まるといわれており、英米の学生の間ではスマート・ ピルと呼ばれてもてはやされている。脳神経倫理は、こうした脳の情報を読み 取る技術や脳に働きかける技術がわれわれの社会にどのような影響をもたらす のかを考察し、規制のあり方を検討する研究分野である。なお、脳科学の知見 を用いてわれわれの倫理的思考・行動を解明する研究も脳神経倫理と呼ばれる ことがある。

03/Jul/2009


本項目の元の出典は以下。ただし、一部加筆修正あり。


KODAMA Satoshi
Last modified: Fri Jun 15 11:56:14 JST 2007