守秘義務

(しゅひぎむ confidentiality)

医療関係者が患者の情報を第三者に漏らすことを禁じる義務。 要するに、医者は患者の秘密を守らなければならない、ということ。 守秘義務は医者だけでなく、弁護士や聖職者など、 いわゆる「専門家(プロ)」が持つ義務の一つとして知られている。

「医者は患者の秘密を守らねばならない」という考え方は古くからあり、 ヒポクラテスの誓いにも 「業務上より見聞し、 または人の私生活に関して知りえた秘密は厳守して口外しません」 と述べられている。

しかし、医者がAIDSの患者に、 「先生、おれの彼女にはおれがAIDSであることを絶対に言わんといて下さい」 と言われた場合にはどうすればいいか。 このような場合や、これよりもさらに難しい場合において、 「医者は絶対に患者の秘密を漏らしたらあかん」 と論じる人はまれである。 また逆に、「医者は患者の秘密を守る必要は全然ない」 と論じる人もほとんどいない。 だから問題は、「どのような場合ならば、 医者は患者の秘密を守る義務から免除されるか」 ということを明らかにすることである。 そしてもちろん、この点に関してはいろいろ意見が分れるわけである。


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Fri May 12 21:05:28 2000