某教授に見てもらうための卒論レジメ

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さあさあさあ、困った困った。何が困ったってあんた、もう十月も終わりに近づいてきてんですよ。まいったまいったまいった。まさに光陰矢のあきこっ。ついこないだ演習で発表したと思ったらもう卒論の題名の提出時期ですがな。こらあかんがな。おわりやがな。いやいや、題名はもうできてるんです、実は。長い間心の奥に秘め続けてきた題名はあるんです。がんばって考えた題名が。なんやこない大げさに言うとえろう恥ずかしけど、そんなたいしたことありまへんから、期待せんとってください。こないな題名ですねん。「倫理とはなにか――ベンタムによる倫理の定義の考察」。え、あきまへんかっ。ない頭つこうて必死で考えたいうのにっ。ほんまあきまへんかっ?え、何言いたいんかはっきりわからへん?そりゃあんた、見たらわかるでしょうがっ。倫理についてのベンタムはんの定義を問題にすんのやがな。あ、もう変な大阪弁やめっ。やめなさいっ。そうですそうです、倫理学専攻にふさわしく、「倫理とはなにか#という題名どす。えむえすどす。やめなさいっ。ベンタムは『序説』で倫理の定義っていうのをしてるんです。いわく「利害関係が考慮される人々に関して・可能な限り最大量の幸福を生み出すように、人々の行動を指導する技術」。うわっ。すごいっ。さすが妖怪人間ベンタムっ。やめなさいってばっ。ベンタムの倫理の定義によると、他人の行動を指導する技術である立法や行政や教育も、自分の行動を指導する技術である個人の倫理も、全部入っちゃうんだよね。つまり、自分も含めて人を指導する技術ってのはみんな倫理なの。わおっ。この定義、いいでござるよっ。なんだか倫理ってすごいもののように見えるでござるよっ。だからやめなさいってばっ。それでベンタムは倫理の分類をして、刑法の範囲とか、個人の倫理の範囲がどのようなものであるかを示そうとするんだけど、某教授によると、この分類は不完全なの。そんなことはありませんっ。うちのベンタムに限ってそんなことはありえませんっ。間違っているのはあなたですっ。っていうわけで、某教授の読みが正しいかどうか、吟味してみたいと思ってるの。某教授をぎゃふんと言わせることが、この卒論の隠れた目標なんです。おっと言っとくけどこれはオフレコですよ。トップシークレット。社外秘。守秘義務あり。ぼくのもくろみを某教授に密告した人は、抽選で50名様を地獄一人歩きの旅にご招待。

さて、それじゃ、だいたいの構成も考えておいた方がいいかな。本当はベンタムの刑法論がいかに包括的で優れているかも書きたいんだけれど、いかんせん枚数も少ないからそれはあきらめて、まず功利原理をきちんと説明して、倫理の定義・個人の倫理と支配の技術との分類の説明と問題点の指摘をする。必要なところで刑法の目的や犯罪の分類などを簡潔に説明する。こんな感じですな。だいたいの章立てを考えておくと、こんな風になるでしょう。

  1. 導入部――はじめに卒論の目的と卒論の構成を説明。ここで功利原理の説明も行なってしまう。
  2. 展開部――ここがメイン。倫理の定義・個人の倫理と支配の技術との分類を説明。できれば某教授の議論もここで打破する。ライオンズの見解もできれば紹介。
  3. 結論部――できるかどうかわからんが、ベンタムの功利原理の批判・倫理の定義の批判。

あれ、夏休みの合宿のときに考えてたのとはずいぶん違うくない?いいんですっ。そんな昔のことは知りませんっ。きれいさっぱり忘れましたっ。とにかく、ちょっと50枚いけるかどうか心配だけど、テーマは絞れてる気がする。ま、どうしても功利原理と倫理の定義の二本立てになるのはしょうがない。ベンタムの倫理の定義をするのに功利原理なしでは話にならんもんね。あと、某教授に「メッセージをもちなさいっ」と言われたけど、これは正直言ってまだわからん。「ベンタムの言う倫理ってのはこういうもんなんです、まいったか某教授めっ」になるか、「ベンタムって、某教授の言う通りやっぱりうましかだったのね…」になるか、もう少し勉強しないと結論は出てきません。ま、そゆことで、こんな感じでどうでしょうか?


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Satoshi Kodama
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Last modified on 10/22/96
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