健康生活支援ガイド

食を通じた地域共生社会の健康生活支援ガイド

市町村の行政栄養士向け
ガイドブック

主に市町村の行政の栄養専門職(行政栄養士)が、衛生主管部局※、また福祉系の福祉事務所、社会福祉協議会等の事務所のスタッフと協働して、自治体にある既存の制度や事業の中で、効果的に「健康・食生活支援」を行うためのガイドブックです。支援対象者に向けた食生活・健康ツールの動画・まんがも本事業の一環としてつくりました。ぜひご活用ください。
※健康診査・健康相談・健康教育等を実施する部局を指します。

(研究者代表 新潟県立大学 村山伸子)

健康生活支援ガイド

昨今、行政栄養士が行政の制度内外で食生活支援を行うことが期待されています。ガイドの各章では、取組に活用できるツールを紹介しています。

健康・食生活支援の充実にご活用ください。

ガイドブックを見る

第1章 自治体での健康・食生活支援環境づくり

社会経済的地位の低さは、喫煙や過剰な飲酒などの健康リスクのある行動につながります。また、主食の摂取量が多く、野菜、果物、魚の摂取量が少なくなる傾向があります。生活保護受給者には被保護者健康管理支援事業がある一方、生活困窮者には同様の事業がない中で、自立相談支援事業と併せた健康増進が勧められます。具体的には、相談支援の窓口から健診事業等既存の健康支援事業につなげていく上で、フォーマル(行政など)とインフォーマル(ボランティア、NPOなど)の2つの支援が軸になります。

第2章 子どもの居場所等における食スキルの支援環境づくり

生活困窮世帯は、欠食が多く、野菜摂取量が少なく、炭水化物エネルギー比率が高いなどの傾向があります。これらを改善するために、基本的な調理スキルや献立の考え方の習得は、より多様な食の支援の活用につながり、食事の質を高めることに有用であると言えます。当教材の活用は、簡単に食事を作るスキルと、献立を考える力を習得することを目的としています。掲載したレシピや二次元コードからアクセスできる調理動画は、段階的な調理スキルの習得と向上につながると考えています。

第3章 食品事業者等における食生活支援環境づくり

日本では、国民の6人に1人、子どもの9人に1人が相対的貧困状態です。貧困対策は健康の維持増進のためにも喫緊の課題となっています。そのため、野菜や果物等、健康に資する食品を支援していく必要があります。まず行政栄養士ができる食生活支援は、生活が困窮している人や地域の状況、ニーズを把握(社会・地域診断)することです。その後、地域資源(自助グループ)を活用しながら支援を行いましょう。地域において多様なサービスが連携し合い、包括的・継続的に対処することが重要です。