神奈川県立がんセンター 大腸外科
神奈川県立がんセンター 大腸外科
〒241-8515 横浜市旭区中尾2-3-2
TEL:045-520-2222 FAX:045-520-2022

治療について



手術

近年、医療の発展とともに大腸がんに対する手術療法は変化してきました。その代表的なものが主に結腸がんを対象とした腹腔鏡手術と肛門に近い直腸がんに対する肛門温存手術です。腹腔鏡手術により患者さんの手術負担は軽減し、肛門温存手術により永久人工肛門造設の頻度が減少してきています。ただし、両者の手術は全ての患者さんが受けられるものではなく、適応が限られていますので主治医と相談してください。


手術の方法 内容
開腹手術 病変の存在部位と切除範囲により開腹創の位置が決まります。がんから流出していくリンパ節を一緒に切除(郭清)し、その後に腸を吻合します。吻合は病変の場所により、器械吻合と手縫吻合を使い分けています。手術中に触診による腹腔内検索ができる、微妙な腹膜播種を見つけることができるなどの利点があります。
腹腔鏡手術 カメラや鉗子を挿入するために腹部に4~5ヵ所、ポート(筒)を配置して、カメラ(腹腔鏡)によるテレビ画像を見て手術操作を行います。当院では切除範囲や吻合方法は開腹手術と同様です。手術後の傷が小さいため、術後に傷の痛みが少ない、患者さんの体へのストレスが少ないという利点があります。
経肛門的手術 肛門に近い病変で、内科での内視鏡による治療が難しい病変の場合に行います。肛門がら腫瘍を切除しますので、腹部に傷がありません。

手術の種類 手術
結腸切除術 結腸部分切除術
結腸半側切除術
直腸切除術 高位前方切除術
低位前方切除術
超低位前方切除術
内括約筋切除術(ISR)
直腸切断術 人工肛門造設(永久)を伴う直腸がん切除
骨盤内臓全摘術 人工肛門造設(永久)+尿路変更を伴う直腸がん切除

腹腔鏡下手術 (低侵襲手術)

1992年に本邦において腹腔鏡下手術が最初に行われて、30年弱が経ようとしています。この期間に手術器具の発達、外科医の技術向上などとともに、従来の開腹手術と同等の治療成績にせまる結果が出るようになってきました。


腹腔鏡手術は開腹手術とは違う技術が必要であり、様々な施設から腹腔鏡によるトラブルも報告されています。当科では、患者さんへ開腹手術および腹腔鏡手術のそれぞれの利点、欠点および国内外の第3相試験結果(科学的な根拠)を直接患者さんへ提示しながらどちらの手術方法も選べるようにしています。


大腸がんの手術は、従来は開腹手術が多く行われ、日本における開腹手術の治療成績は世界でトップクラスでした。この治療成績を出すためにはがんの進展を考慮したしっかりしたリンパ節郭清を伴うがんの根治切除が必要であったと思われます。腹腔鏡手術におけるがんの切除範囲やリンパ節郭清の手術の質は、開腹手術よりも腹腔鏡手術の方が施設間差がうかがえます。そこで医師の手術の質に関して一つの基準となるのが日本内視鏡外科学会の技術認定医の取得の有無です。認定が無い医師でも手術技術が高度な方々もおりますが技術認定医が手術にはいるほうが確率として高度な手術技術を提供されうると思われます。


腹腔鏡下手術

内肛門括約筋切除 (ISR:intersphincteric rsection:肛門温存手術)

これまで、腫瘍の下縁が肛門から4-5cm以内の肛門からの距離が非常に近い直腸がんに対しては、永久的な人工肛門の造設が必要な直腸切断術が行われてきました。近年、手術手技の進歩により、肛門温存術が行われるようになってきており、当院でも内肛門括約筋切除(ISR: intersphincteric rsection)に積極的に取り組んでいます。


ISRは直腸の切離する肛門からの距離・内肛門括約筋の切除範囲により、①Partial ISR、②Subtotal ISR、③Total ISRの3つに分けられます。内肛門括約筋の残る量が多いほど、術後の肛門機能は良好となります。ISRの際には一時的な回腸人工肛門を造設しますが、術後3-6カ月程度を目安として、人工肛門の閉鎖を行っております。


ISRは内肛門括約筋の一部あるは全部の切除を伴うため、術後の肛門機能の低下の可能性もあるため、その適応については慎重に決定する必要があります。また、外肛門括約筋まで病変が広がっている場合にはISRの適応はないため、手術に際しては十分に患者さんに十分説明し、相談した上で手術を行っております。


内肛門括約筋切除

化学療法 (抗がん剤治療)

大腸がんの化学療法には、①進行再発大腸がんに対する化学療法と、②大腸がん切除術後の補助化学療法に大きく分けられます。また、投与方法としては、経口内服薬と点滴(注射薬)によるものがあり、化学療法の種類によっては、内服と点滴を組み合わせたものもあります。


内服の場合も点滴が必用な場合も、基本的に外来で行います。点滴を受ける場所は、外来化学療法室となります。外来化学療法室は50床あり、プライバシーの確保はもちろんのこと、患者さんに少しでも快適に治療時間を過ごしていただけるよう配慮しております。


化学療法の治療内容や治療期間などについては、患者さんにより異なりますので、詳細は担当医にお尋ねください。


外来化学療法室1
外来化学療法室1
外来化学療法室2
外来化学療法室2

進行再発大腸がんに対する化学療法

手術の適応のない(切除不能な)進行大腸がんや大腸がん術後の再発の方に対して行う化学療法は、がんを小さくして症状コントロールしたり、切除可能な状態にして根治手術を行う目的と、がんの増大を遅延させて生存期間の延長を図る目的で行う場合があります。


2016年度版の大腸癌治療ガイドラインでは、切除不能進行再発大腸癌に対する化学療法として一次治療から三次治療以降までの記載がありますが、それぞれの患者さんに使用できる薬剤の状況により、どの段階までの治療が可能かが変わります。また、近年、当科においては、ほとんどの患者さんに分子標的薬が使用されており、その効果を予測するために様々な遺伝子検索を行っています。


大腸癌治療ガイドライン

強力な治療が適応となる患者さんの化学療法メニュー (大腸癌治療ガイドライン2016より)

強力な治療が適応となる患者さんの化学療法メニュー

大腸がん術後の化学療法 (術後補助化学療法)

術後補助化学療法は、大腸癌に対して根治切除が行われた患者さんに対して、再発を抑制し予後を改善する目的で術後の一定期間行われます。


病理組織検査結果がわかり、最終的な進行度(ステージ)が決定した段階で、担当医から適応のある方に対して説明をさせて頂きます。基本的には、ステージ3の方を対象としていますが、再発リスクの高いと考えられるステージ2の方も含まれます。


推奨される療法(日本における保険適応収載順)
  • 5-FU+LV
  • UFT +LV
  • capecitabine
  • FOLFOX
  • CapeOX
  • S-1

放射線療法

大腸がんに対する放射線療法は、①直腸がんの局所再発に対するもの、②手術前に照射し病変を縮小させ切除率を向上させるものに分けられます。


放射線治療は目的により、治療前に照射領域、照射量、治療期間を含めた治療計画を立て、それを元に外来通院にて治療を行います。放射線治療は、放射線科医師が行うため、当科では放射線科とも連携をとりながら治療を行っております。


また、神奈川県立がんセンターでは、平成27年度に重粒子線治療施設「i-ROCK(アイロック)(「ion-beam Radiation Oncology Center in Kanagawa」神奈川県の放射線腫瘍センターの重粒子線治療)を開設しました。重粒子線治療の特徴としては、からだ深部のがんに集中して照射することができ、従来の放射線治療では治りにくい腫瘍に対しても効果があるとされています。大腸がんの領域では、直腸癌の局所再発などが対象となっていくと思われます。


注意)現在は、まだ直腸がんに対する重粒子線治療は行っておりません。



i-ROCK

神奈川県立がんセンター「i-ROCK」


 

PAGE TOP