帝京大学
先端総合研究機構
危機管理研究部門
甲斐研究室
これまでの歴史において人類は様々な病原体の脅威にさらされてきました。それらの正体は突如野生動物からヒトにもたらさた細菌やウイルスであり、時には健康上の大きな被害を招き、時には家畜や野生動物に流行を起こし大きな経済的損失を生みました。医療が進んだ現代でさえ多くのウイルス感染症は未だ克服されておらず、そのうえ新興・再興ウイルス感染症は現在も様々な地域で発生しています。したがってこれからも人類とウイルスとの戦いは長く続くと言っても過言ではありません。

革新的
主な研究分野

RNAウイルスの病原性発現機構の研究
我々はこれまで人類および家畜・野生動物に大きな被害をもたらしてきたRNAウイルスの一科であるパラミクソウイルスに焦点を当て、その分子レベルでのウイルス産物の機能解析に取り組み、生体内でどのように疾病を引き起こすのかを遺伝子解析などで様々な側面から研究を行っています。
ウイルスを用いたがん治療
長い経験の中で、麻疹ウイルスHL株が様々ながん細胞に対して強い障害性を持つことを見出し、さらにリバースジェネティクスを用いて遺伝的改変を施し、はしかを引き起こさずにがん細胞のみに選択的に感染して腫瘍溶解能を発揮する組換えウイルスの作出に成功しました。
顧みられない病(ND)のワクチン開発
パラミクソウイルスのひとつであるモービリウイルスを用いたウイルス開発に取り組んでいます。特に組換え麻疹ウイルスを用いたニパウイルスワクチンは非常に優れたワクチンであることが認められ、国際団体の支援により実用化に向けて本格的な取り組みを行っています。
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大学院生(修士課程・博士課程)、卒研生、研究生も随時募集しています。
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SCARDAによるニパウイルスワクチン実用化プロジェクト採択
2022年12月「⿇疹ウイルスベクターを⽤いたニパウイルス感染症ワクチンの開発 (甲斐知惠子特任教授)」が、AMEDに設置された先進的研究開発戦略センター(SCARDA)により、開発支援すべきワクチンとして、ワクチン・新規モダリティ研究開発事業の採択画題に選定されました。
ウイルスを用いたがん治療
当研究室は長い経験の中で、我々の持つ麻疹ウイルスHL株が乳がんをはじめ、様々ながん細胞に対して強い障害性を持つことを見出しました。さらにリバースジェネティクスを用いてこの麻疹ウイルス株に遺伝的改変を施し、はしかを引き起こさずにがん細胞のみに選択的に感染して腫瘍溶解能を発揮する組換えウイルス(rMV-SLAMblind)を作出しました(下図)。これまでrMV-SLAMblindは担癌マウスモデルで顕著な抗腫瘍効果を発揮することがわかり、新たながん治療法として有望であることが示唆されています。
現在rMV-SLAMblindの実用化に向けて、医師主導治験を目指し本格的に研究開発に取り組んでいます。
