体力医学研究の倫理に関する基本的な考え方
日本体力医学会は,日本医学会総会第39分科会であり,平成21年4月1日に導入された臨床研究介入事前登録制度の趣旨を十分理解し,研究計画立案・実験遂行に適切に対応することを会員に周知徹底する努力を重ねている.日本体力医学会会員はヒトを対象とした実験・研究を行う場合には,ヘルシンキ宣言に則り被験者の尊厳および人権を尊重し,インフォームドコンセントの実施,研究内容の説明や情報保護等に努め,臨床研究介入事前登録制度に関わる介入研究や観察研究についての正確な知識・情報および関連法規を理解し,遵守することが必須であることを理解しなければならない.日本体力医学会は,平成22年9月17日に日本学術会議健康・生活科学委員会および健康スポーツ科学分科会の協同主催として公開シンポジウム「体力医学研究の倫理と法」を開催した.4人のシンポジストが「田代志門 東京大学大学院助教,研究倫理の基本的な考え方−ヒトを対象とする研究のルールとは−」,「津谷喜一郎 東京大学大学院教授,研究成果公表における倫理的問題」,「深沢岳久 弁護士,研究成果公表後における法的問題」,「栗原敏 東京慈恵会医科大学学長,指定発現」の演題名のもと研究倫理の考え方とその本質の理解を深めるための講演を行った.研究倫理とは何か,研究倫理の誕生,ベルモント・レポートの3原則,リスク・ベネフィット評価,倫理原則の意義,臨床試験登録制度,Duplicate publication,学校保健との関係,研究エビデンス,統計エビデンス,監査エビデンス,協議エビデンス,日本国憲法第3章「国民の権利及び義務」,日本国憲法13条,日本国憲法18条,日本国憲法31条,インフォームドコンセント,意思表示の構造,民法90条「公序良俗」,適正手続きの遵守に関する理解を深めた.
日本体力医学会は,このシンポジウムの内容を機関誌「体力科学」(2010)59,943-961に掲載し,体力医学研究の倫理の考え方の共有の礎を起こした.
日本体力医学会
2013年7月19日
2013年7月19日