学生・研修医・医療者教育指導者のための学修者評価ガイド
~理論と実践~

日本医学教育学会(21−22期) 学習者評価部会

第2章簡易版臨床能力評価法(Mini-CEX)

4) 評価の準備 評価を始める前に

 「2) Mini-CEXを用いた評価の基本的な考え方」で示したようにMini-CEXは単回の評価で合否判定できるものではなく、複数回、多様な設定、多彩な症例で観察評価する評価ツール、とお分かりいただけたかと思います。

 しかしながら、はじめからMini-CEXの評価票の全てを書き込ませるような取り組みで開始すると、評価者の大きな負担となり、挫折しやすいです。そこで、次の4つのステップで準備を開始することを勧めます。ステップ4は少しMini-CEXを使い慣れてから行っても結構です。

ステップ1

 Mini-CEXは「学習者評価ツール」ではなく医学生(研修医)の「診療体験学習の支援ツール」であると指導医(評価者)には紹介し、日常の実習(研修)での試用を促しましょう。

ステップ2

 ハンディで速やかに記入できる評価票を用意しましょう。

ステップ3

 Faculty developmentや部門ミーティングなどでMini-CEXの評価の練習しましょう。その際は、まずは評点以外の欄を埋める練習をしましょう。

ステップ4

 最後に、医学生であれば「4.臨床実習修了時(卒業時)のレベル」、初期研修医であれば「3.臨床研修の終了時点で期待されるレベル」を判断する基準を機関や部門で考えていきましょう。また、複雑さのレベル「易・普通・難」の基準についても同時に考えてみましょう。