平成20年2月4日
日本医学教育学会主催、第34回
「医学教育者のためのワークショップ」
に参加した医学部・医科大学教員や研修病院医師からのメッセージ
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※ このメッセージは、平成19年12月9日より12月13日に開催された医学教育者のためのワークショップ(富士研ワークショップ)の参加者(医師養成機関において指導的立場にある者)の議論にもとづいてまとめられたものである。 |
よき医師を育てるために、医学生や研修医の教育にご協力ください。
質の高い医療が安心して受けられる社会は、本当の幸せ、本当の健康の土台となるものです。こうした医療は、それに携わるすぐれた人材によって支えられなければなりません。
医学生や研修医(医師国家試験合格後2年間の研修中の医師)が、国民の皆様の期待に応えられる十分な能力を備えた信頼できる医師に育っていくために、医学生が指導医の監督下に実際の診療に参加することや、研修医が研修指導医と共に行う診療に、皆様のご理解ご協力をお願いいたします。
次世代の医療を支える医師は、国民の皆様のご協力があってこそ育ちます。
「医学教育者のためのワークショップ」参加メンバーからの具体的提言は、以下のとおりです。
- わが国の医療制度では、誰でも質の高い安心な医療が受けられます。そうした特長をみんなで大事にしていきましょう。このような医療は、献身的で実力のある医師によって支えられています。
- こうした医師の育成には、学生や研修医が医療の現場で患者さんのケアに参画する実践的な教育が不可欠です。しかし、未熟な学生や研修医が、いきなり皆さんに診療をおこなうのではなく、私どもは臨床実習や研修に参画する前の「臨床前教育」に力を注いでおります。その中では医療安全の教育を重視し、たとえばシミュレータといわれる人形や装置で反復練習する教育も推進しています。是非、こうした努力をご理解ください。
- 医学部の学生には、臨床実習開始前に‘共用試験’といわれる医学知識、医師としてのあるべき態度、診察などの技能を担保する試験が課せられ、これに合格しなければ臨床実習として患者さんの診療に参加することはできません。また、医師としての第一歩を踏み出すには、まず医師国家試験に合格しなければならないことはご存知のとおりです。彼らが、私たち指導医とともに、あなたの診療を担当させていただくことをご了解ください。そして、実際の経験が少ない学生や研修医に問題があった場合は、是非、そのことを本人や指導医にご指摘ください。
- 指導医は、単に専門的医療を提供するだけではなく、若い医師を育てなければならないという使命も担っています。是非、国民の皆さんには、こうした教育負担についても知っていただきたいと考えています。そして、一緒に、良い医師を育成してすばらしい医療を実現しようではありませんか。
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