角膜を綿毛やティシュペーパーなどで軽く触れると瞬目を生じる。
求心路:三叉神経第1枝、第2枝 ⇒ 三叉神経脊髄路核
遠心路:顔面神経 ⇒ 眼輪筋収縮、動眼神経 ⇒ 両眼球の上方偏視(Bell現象)上眼瞼挙筋抑制
角膜反射の求心路・遠心路の何れかの経路が障害されると角膜反射は消失する。三叉神経が脳幹に入る位置より上の橋上部あるいは中脳の病変では、Bell現象が消失するが瞬目は保持される。Bell現象が保持されているが、瞬目が消失している場合は、顔面神経あるいは顔面神経核の障害が示唆される。また、顔面神経の上位ニューロンの障害によっても角膜反射は消失する。角膜反射は表在反射であり、腹壁反射が錐体路障害で消失するのと同じで、表在反射に共通の現象である。
睫毛や眼瞼、眉間などの刺激でも瞬目がおこる。この反射弓も角膜反射と同じと考えられている。この反射は、繰り返すと馴れが出現し消失する。眉間反射(glabellar reflex)は、パーキンソン病では繰り返しても消失せず、Meyerson徴候と呼ぶ。
角膜下顎反射
角膜下顎反射は、角膜を刺激すると下顎が刺激と反対側に偏倚する。求心路は三叉神経第1枝・第2枝、遠心路は三叉神経運動路核から外側翼突筋である。健常人では目立たないが、三叉神経運動路核の上位ニューロンが障害されると脱抑制状態(開放現象)となり認められるようになる。筋萎縮性側索硬化症や多発性脳梗塞などの仮性球麻痺、中脳病変、両側大脳半球を障害する病態で現れる。
下顎反射
下顎反射は、咬筋や側頭筋などの咀嚼筋の筋伸長反射である。求心路および遠心路は三叉神経第3枝である。下顎反射をみるときは、被検者をリラックスさせて口をわずかに開けさせ、検者の示指を被検者のおとがいの上にある溝(おとがい唇溝)の部分にあてて、その指をハンマーで軽く叩く。角膜下顎反射と同じで、健常人では何の反応もないか、わずかに下顎の上昇認められるが、三叉神経運動路核の上位ニューロンが障害されると脱抑制状態(開放現象)となり明らかになる。筋萎縮性側索硬化症や多発性脳梗塞などの仮性球麻痺、中脳病変、両側大脳半球を障害する病態で現れる。