瞳孔の大きさと対光反射の反応から推測する病変部位
縮瞳(<2mmφ)・散瞳(>5mmφ)
瞳孔径は原則左右同大である。左右差がある場合は異常と考える。
縮瞳・対光反射あり ⇒ 両側大脳半球:代謝性脳症・薬物
縮瞳・対光反射あり ⇒ 間脳
散瞳・対光反射無し・瞳孔動揺 ⇒ 中脳視蓋前野
ほぼ正常の大きさ・対光反射無し ⇒ 中脳正中
片側の瞳孔散大・対光反射無し ⇒ 同側の動眼神経麻痺
pinpoint瞳孔・対光反射あるが観察困難 ⇒ 橋の交感神経の障害により縮瞳
対光反射
光の入力 ⇒ 網膜 ⇒ 視神経 ⇒ 視交叉 ⇒ 視索 ⇒ 視蓋前域オリーブ核 ⇒ Edinger-Westphal 核 ⇒ 動眼神経 ⇒ 毛様体神経節 ⇒ 瞳孔括約筋 の何れかの経路が障害されると対光反射は消失する。
直接対光反射 ⇒ 一側の瞳孔に光を入れ、同側の対光反射をみる
間接対光反射 ⇒ 一側の瞳孔に光を入れ、反対側の対光反射をみる
直接対光反射と間接対光反射を両眼球で観察することにより、障害部位をより詳細に同定可能である
例 右眼に光入力で左右瞳孔収縮なし 左眼に光入力で右瞳孔収縮なし ⇒ 右側の眼球から視神経の障害
例 右眼に光入力で左瞳孔収縮あり右瞳孔収縮なし 左眼に光入力で左瞳孔収縮あり右瞳孔収縮なし ⇒ 右側のEdinger-Westphal核から動眼神経・毛様体神経節・瞳孔括約筋の障害
Marcus Gunn瞳孔 ⇒ ごく軽微な視神経障害では、健側眼に光を数秒当てた後に患側眼に光を当てる作業を交互に繰り返すと (swinging-flashlight test)、患側眼に光を当てたときに、(わずかに収縮した後)散瞳が起きる。対光反射は、直接対光反射(DLR)に比べ間接対光反射(IDLR)の縮瞳が弱い。DLRが100%として、IDLRの時は95%の縮瞳と仮定し、患側の視神経が80%に機能低下したとする。健常側に光を入れると80%の力で患側の瞳孔は収縮 (IDLR) するが、患側に光を入れると患側の瞳孔は80%の力でしか収縮 (DLR) できず、健常側から患側に光の入力を移したときに瞳孔が散大すると考えると理解できる。