実際の臨床現場では、原因疾患の検索よりもまず脳に十分な酸素・ビタミンB1・ブドウ糖を供給することを考える
酸素・ビタミンB1・ブドウ糖の欠乏は短時間で非可逆的脳障害を引き起こす
ただちに適切な換気と循環を確保すると共に、ビタミンB1を経静脈投与し、その後簡易血糖値測定検査で低血糖があれば、ブドウ糖の静注を行う
㊟Wernicke脳症であった場合、ブドウ糖を先に入れると、ビタミンB1の消費が進み、病態をより悪化させる ビタミンB1 ⇒ ブドウ糖の静注と必ずビタミンB1を先に投与する
病歴
使用中の薬物(医療用その他)、自殺企図の可能性、基礎疾患の有無、意識障害に至までの様子など、可能な限り多くの情報を集める
診察の進め方
五感をフルに働かせ、全身を詳しく調べ、原因について何か手がかりがないかどうかをみる。その後、網様体賦活系と密接な関係にある神経学的所見を調べる
特に注意するのは、呼吸状態、瞳孔、眼球運動、そして痛み刺激に対する運動反応である
非外傷性昏睡の予後:病初期に角膜反射・瞳孔反射・前庭眼反射のうち2つ以上が消失しているケースでは、その後回復する可能性は1%未満である
発症機転
突然発症:若年者では、薬物中毒やクモ膜下出血、外傷を、年長者では、脳出血や梗塞を考える
徐々に進行する意識障害では、硬膜下血腫や代謝性脳症を考える
発症前の訴えに関して
頭痛は、圧迫性病変を示唆する
うつ病など精神科疾患では、薬物中毒の可能性
局所麻痺、めまいの有無など、病変を特定するのに役立つ
外傷の有無
既往歴
糖尿病、腎不全、心疾患、精神疾患、等
服薬歴
鎮静剤、精神科関連薬、等
身体所見
外傷の有無
急性あるいは慢性全身性疾患の徴候
薬物依存の徴候(注射痕、呼気アルコール臭))
頚部硬直の有無(外傷を除外後)