老人斑



 アミロイドβの沈着を中心に認める典型的老人斑やコア形成を認めない原始老人斑、不定形の老人斑(上図右)が観察される。
 正常加齢では、典型的老人斑が目立つが、アルツハイマー型認知症では、びまん性老人斑や原始老人斑が多数認められる。  

substantia nigra

 
 上段がBodian染色、下段がGallyas染色で、左より変性した神経突起に乏しいびまん性老人斑、変性した神経突起からなる原始老人斑、コアを伴う典型的老人斑となる。

substantia nigra

 
 綿花状老人斑で、変性した神経突起に乏しいcotton-wool plaques。
 遺伝子異常のある症例では、presenilin1遺伝子変異や痙性対麻痺を呈する家族性Alzheimer病によく認められるが、遺伝子異常の無い症例でも観察されることがある。


Amyloid precursor protein (chromosome 21)
substantia nigra


アミロイドβ(Aβ)ペプチドは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)と呼ばれるより大きな前駆体分子、695〜770アミノ酸からなる1型の膜貫通型タンパク質から、タンパク質分解を経て造られる。APPは、2つの経路のタンパク質分解処理を受ける。大部分は、Aβが造られない非アミロイド性経路(α-セクレターゼ切断)を介して処理される。α-セクレターゼによる切断はAβドメイン内で行われ、それによってAβペプチドの生成と放出が阻止される。一方、β-セクレターゼ(β-サイトAPP切断酵素1;BACE1)は、APP分子を切断し、エクトドメイン(sAPPβ)を放出し、膜内にAPPの最後の99アミノ酸 (C99) を保持する。C99の最初のアミノ酸はAβの最初のアミノ酸で、C99は、その後、プレセニリン1または2、ニコストリン、前咽頭欠損およびプレセニリンエンハンサー2からなるγ-セクレターゼ複合体によって、アミノ末端から38〜43アミノ酸が切断され、Aβを放出する。この切断は、主にAβ1-40と、よりアミロイド原性の高いAβ1-42を10:1の割合で産生する。