ピック病 海馬傍回
60歳 女性
主訴:物忘れ。妄想。
既往歴・家族歴:特記すべきものなし
現病歴:57歳より、ガスの火を消し忘れるなどの物忘れや、命令がこないので階段を下りられないなどの妄想が出現。情動失禁も認められた。計算力は保持。58歳より、歩行障害・尿便失禁が出現。当時、HSD-R 19.5点、感情失禁、自発性・意欲低下が著明。また、落ち着きのなさ、焦燥、不安、軽度抑うつ等の精神症状が強かった。 神経学的所見:左不全片麻痺、吸引反射・口とがらし反射、把握反射が誘発された。 頭部CTにて右優位の両側側頭葉萎縮。 前頭葉症状および、頭部CT所見より、Pick病と診断され経過観察されていたが、60歳時肺炎による呼吸不全にて死亡。
病理所見 死後8時間40分で解剖。脳重量1010 g。