多発性筋炎
27歳 女性
主訴:四肢筋力低下
既往歴・家族歴:特記すべきものなし
現病歴:1年半前第1子出産後両側の握力が低下していることに気づいた.そのまま放置していたが半年前頃より手を使わないとたてないようになり,気管にものが入りそうになるなどの症状が出現したため慈恵医大神経内科受診.筋痛や筋肉のびくつきを感じたことはなく,また筋力低下の日内変動,休息後回復などの現象はみられない.知覚障害なく,血圧も正常といわれてきた.ただここ1年くらいで体重が52〜53kgから44kgに減少した.
身体所見:発疹なし,リンパ節腫脹なし,甲状腺腫なし,関節腫脹なし,胸腹部理学的に異常所見なし.精神機能正常,脳神経では軽度の嚥下障害を認め軟口蓋の動きは両側やや不良.胸鎖乳突筋および僧帽筋の筋力低下,軽度筋萎縮あり,四肢筋力低下は左右対称性で上肢の方でより著明である.上下肢とも近位部に筋力低下がより明らかである.筋萎縮は軽度で筋線維束性攣縮なし,ミオトニアなし,運動の繰り返しによる筋力の低下なし.知覚正常.協調運動障害なし,軽度動揺性歩行,深部反射全体に減弱,病的反射なし.
検査所見:血沈45mm/hr,CRP(++),CK2930U(0-20),GOT144U(7-38),GPT57U(8-40),LDH215U(35-88),Aldolase25U(<6),γ-globulin28.6%.RA-test(+),LE-test(-),サイロイドテスト(-),マイクロゾームテスト(-),抗核抗体(-),血清梅毒反応(STS)(-)
入院後,診断確定のため筋生検術施行.