髄芽腫



6歳 女児

主訴:頭痛,よろめくように歩行

既往歴・家族歴:特記すべきものなし

現病歴:特に誘因もなく3〜4週間前から元気がなく,頭痛を訴えるようになった.学校で体育の授業中に転びやすく,よろめくような歩き方をすると注意があった.数日前に2回ほど,おもらしがあった.

身体所見:頭囲拡大,変形は認めない.左眼の外転神経の軽度麻痺があり,眼振を認める.軽度の乳頭浮腫があるが,視力,視野に著変はない.他の脳神経の機能には異常はなく,四肢の深部腱反射は両側ともにわずかに亢進し,病的反射を欠く.著名な所見として体幹の失調があり,ベッドに座っていても両腕で支えるほどである.両上肢の共同運動障害はほとんど認められず,歩行は失調性歩行である

検査所見:頭部CTでは著名な脳室拡大があり,脳表,脳回,髄液槽もタイトな印象である.閉塞性水頭症の所見があり,第4脳室は認められない.円形の低吸収域に囲まれたほぼ円形の等吸収ないしは,わずかに不整な高吸収域のまじった腫瘍により埋められている.造影CTにより,この腫瘍はびまん性に陰影増強を示した.