筋萎縮性側索硬化症 頚髄LFB-HE染色
48歳 女性
主訴:ものが飲み込みにくい
既往歴・家族歴:特記すべきものなし
現病歴:従来健康であった.1年前から右手で洗濯ばさみが掴みにくくなり,その後右足が動きにくい感じがあり,さらに左上肢が頭の上に上がりにくく,左足の運びも悪くなってきた.四肢には筋力低下とともに筋にピクピクする動きがみられ,ものが飲み込みにくい,喋りずらいということにも気付くようになった.
身体所見:意識清明で診察に協力的.眼球運動正常.挺舌困難.舌萎縮あり.繊維束性収縮あり.両上肢は全般的に筋力低下,母指球筋,小指球筋,骨間筋の萎縮あり.両下肢遠位筋の軽度痙性対麻痺.感覚系に異常なし.下顎反射の亢進と下肢で両側中等度亢進,Babinski徴候(+).小脳系保持.自律神経系正常.膀胱直腸障害はない.
入院後経過:補助的診断のため左上腕ニ頭筋の生検術施行.歩行は痙性歩行である.下肢の痙性に対してリハビリテーションを試みたが,次第に四肢の動きが悪くなり,車椅子生活となった.また,食物の誤飲が多くなり,肺炎を繰り返すようになった.本年9月肺炎から呼吸不全となり死亡.