学会概要
学会概要
- 日本環境アレルギー学会(Japanese Society of Environmental Allergy)は、我が国における環境のアレルギー疾患に与える影響を、疫学調査、基礎的・臨床的研究を通じて明らかとすることにより、治療法や予防法の開発を行い、社会へ貢献することを目的としております。
本会は、1970年に職業アレルギー研究会として発足しました。当時は多くの新しい職業性アレルギー疾患症例が報告され、職業性アレルギー疾患研究の黎明でありました。1993年には、日本職業アレルギー学会として学会化し、2002年より環境問題への関心の高まりから職業性アレルギー疾患だけでなく、広く環境中のアレルゲンに起因するアレルギー疾患も基礎的・臨床的に追求する学会として「日本職業・環境アレルギー学会」と改名し、今日まで発展してまいりました。しかし、職場環境の整備による職業性アレルギー疾患の減少、一方、温暖化を含めた気候や住環境の変化により、環境因子のアレルギー疾患に及ぼす影響の深刻化などから、近年学術大会の演題の9割以上が、環境とアレルギー疾患の関連となっていることを鑑み、2024年5月27日より日本環境アレルギー学会と改名いたしました。
本会では、今まで多くの職業性アレルギー疾患の発見、研究を行ってきました。特に1951年に報告されたコンニャク喘息や1962年に報告されたホヤ喘息では、症例の発見、疫学研究、治療法の開発、予防を行い、現在はその発症がほとんどみられなくなりました。さらに職業性アレルギー疾患は、重篤化難治化により患者は職を失い社会的・経済的に困難に直面する場合もあるため、早期に診断・治療を行い、予防対策を講じることは、職業性アレルギー疾患のコントロールや予後改善に極めて重要です。そこで、職業性アレルギー疾患の診断・治療・予防の標準化が必要との要望から、2013年に「職業性アレルギー疾患診療ガイドライン2013」を、本邦で初めて刊行し、2016年にはその改定版を出版いたしました。このガイドラインの要約は、アレルゴロジーインターナショナルに英文でも発表され、世界からも注目されております。
さらに活動の一貫として年1回の学会・総会、年2回の学会誌を刊行しておりますが、雑誌名も日本職業・環境アレルギー学会雑誌(Occupational and Environmental Allergy, OEA)から、日本環境アレルギー学会雑誌(Journal of the Japanese Society of Environmental Allergy,JEA)に変更いたしました。
構成会員は内科・耳鼻科・皮膚科医、産業医、衛生学や公衆衛生の専門医など多岐にわたっております。今後は、コメディカルの参加者の増加も図っていく所存です。 近年、環境の激変・複雑化とともにアレルゲンや刺激物質の増大・複雑化が指摘され、これらに起因するアレルギー疾患も複雑化し、それへの対応が急務とされております。社会における本学会への期待も大なるものがあると考えます。関係諸氏の本学会への御参加・御支援をよろしくお願い申し上げます。
2024年5月27日
日本環境アレルギー学会理事長 土橋邦生
日本環境アレルギー学会理事長 土橋邦生