開催にあたって

学術講演会・総会会長 大倉 元宏

 第43回日本交通科学協議会総会・学術講演会は東京(成蹊大学)で開催されることとなりました。わが国における交通科学分野の研究をリードしてきた本協議会がますます発展する、充実した講演会に致す所存ですので、会員諸氏のご指導とご協力をお願い申し上げる次第です。
 今回のメインテーマは「変化する交通環境における立場の弱い人々の安全」といたしました。ここでいう「立場の弱い人々」とは、重度の移動制約者と厳しい交通労働環境で働く人々を想定しています。前者には視覚障害者や車椅子使用者が、後者には高齢ドライバーや職業ドライバー(トラック、タクシーなど)が含まれます。いわゆる交通バリアー法が施工されて6年が経過しようとしていますが、果たして重度の移動制約者には恩恵があったのか、新たな問題点はないのか。サプライチェーンマネジメントの展開をはじめとして、さまざまな分野で物品輸送の効率化が強く求められています。また、規制緩和によりタクシーの台数が増加しました。これらが職業ドライバーにどういう影響をおよぼしているのでしょうか。こういったことがこのテーマを設定した背景要因になっています。

 このテーマに即して次のような特別講演とシンポジウムを計画しています。
・特別講演「視覚障害者用移動支援設備の発想と展開」田内雅規氏(岡山県立大学)
・シンポジウムⅠ「重度移動制約者と交通安全、現場からの報告」座長:清水美知子氏(視覚障害リハビリテーション専門家)
・同Ⅱ「変化する交通労働環境において苦悩する人々」座長:北島洋樹氏(労働科学研究所)

さらに、興味深いオプショナルプログラムも準備しています(オプショナルプログラムのご案内)。
会場となる成蹊大学では、開催時期には欅の若葉が今を盛りに芽吹き、見事な風景をみせてくれます。大勢の会員の方のご参加をお待ちしております。