学術講演会の開催にあたって
第42回総会会長・津久井一平
(財団法人 航空医学研究センター所長)
この度、第42回日本交通科学協議会総会・学術講演会が東京で開催されるにあたり、会長の大役を仰せつかりました。伝統ある本協議会の歴史を汚さぬよう、充実した講演会に致す所存ですが、諸先輩諸兄のご指導を賜りたく、ご挨拶方々お願い申し上げる次第です。
昨今、報道の機会に比例するように、公共性の高い分野における事故への関心が高まり、関連する情報の開示とともに、その対策と防止への努力の必要性が叫ばれております。
医療も交通事故も例外ではありません。大会の招待講演として、航空工学がご専門で数々の著作で有名な東京大学名誉教授の加藤寛一郎先生から、こうした状況を踏まえて、多様化する事故と人の対応の限界について、最近の先生のご研究成果をお話頂けることになりました。
また、シンポジウムには、陸海空の各交通分野に共通するテーマを取り上げたいと考えております。その一つは、見学会(オプショナルプログラム)に、いまや航空の技能訓練やチェックに欠かすことのできないシミュニレータの見学を予定しておりますが、それと関連して、各分野でのシミュレータの現状と活用の実態を主に事故防止の観点から紹介して頂き、研究の発展に寄与できればと思っております。
さらに、高速でかつ快適性を求める日進月歩の各交通手段にあって、乗り物酔いがどのように検討され対処されているか、二つ目のテーマとして移動に関わるヒトの特性を理解する一助になれぱと企画中です。宇宙旅行から新幹線による移動、或いは船酔い、自動車のそれと、幅広い分野の専門家の皆様にご参集頂く予定です。一般演題にも、多くのご参加を期待しております。