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このたび、第43回アルコール医学生物学研究会学術集会を2024年(令和6年)2月2日(金)・3日(土)に東京・京王プラザホテルで開催することになりました。歴史と伝統のある本学術集会を担当させていただくことを大変に光栄に存じます。
アルコール医学生物学研究会は、アルコール代謝と肝研究会を前身として1981年に発足した研究会です。肝臓からスタートした本研究会ですが、アルコールを基盤とする臓器障害は肝臓にとどまらず、膵臓・食道、脳神経系など全身の臓器に影響を及ぼし、全死亡率に及ぼす影響は大きいとされています。病態・治療・予防など広い視野でのアルコール医学研究が求められています。そのような中、肝臓疾患で大きな問題であったウイルス肝炎の制御が可能となり、一方非ウイルス性の肝硬変・肝癌は確実に増加傾向にあります。その約半数がアルコール関連肝疾患です。アルコール性臓器障害は非常に重要な疾患であるにもかかわらず、禁酒すればいいこと、自己責任などの意見も多くアルコール医学の研究・診療の進歩を阻んでまいりました。またコロナ渦の中、益々常習飲酒者・依存者の増加も問題となっています。社会としてもっとニーズの高いテーマです。われわれはアルコール医学研究・診療にもっと真摯に取り組むべきと感じています。そこで、今回の学術集会のテーマを「今こそアルコール診療の充実に向けて―ポストコロナ、ポスト肝炎ウイルスの時代に―」とさせていただきました。アルコール医学研究の面白さと重要さを再認識できるような、またアルコール障害を少しでも軽減させ未来ある日本に貢献できるような学術集会になることを祈念しております。