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このたび、第42回アルコール医学生物学研究会学術集会を2023年(令和5年)2月3日(金)・4日(土)に東京・東京アメリカンクラブで開催することになりました。歴史と伝統のある本学術集会を担当させていただくことを大変に光栄に存じます。
アルコール医学生物学研究会は、アルコール代謝と肝研究会を前身として1981年に発足した研究会です。肝臓からスタートした本研究会ですが、アルコールを基盤とする臓器障害は肝臓にとどまらず、病態形成には全身の臓器相関が重要な役割を果たしており、広い視野でのアルコール医学研究が求められています。そのような中、肝臓学の世界も、最大のアンメット・ニーズであったウイルス肝炎の制御が可能となりつつあり、大きな転換期を迎えています。肝硬変・肝癌の約半数はいまだ肝炎ウイルスを原因としていますが減少傾向にある一方で、非ウイルス性肝疾患は確実に増加傾向にあります。その約半数がアルコール関連肝疾患です。アルコール性臓器障害は非常に重要な疾患であるにもかかわらず、その重要性に比してアルコール医学の研究は必ずしも十分にされてきたとは言えず、もっと積極的に取り組むべきテーマの一つです。われわれはアルコール医学研究のギアを上げ、もっと高みを目指すべきであると感じています。そこで、今回の学術集会のテーマを「より高きものを目指して」とさせていただきました。これは実は千葉大学が掲げる教育の理念「つねに、より高きものをめざして」とも通じ、また、リチャード・バック氏の著書カモメのジョナサンに出てくる私の好きな言葉「より高く飛ぶカモメはより遠くを見通す」に通じるところがあります。アルコール医学研究の面白さと重要さを再認識できるような、また、アルコール医学の未来を切り開くような学術集会になることを祈念しております。