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この度第41回アルコール医学生物学研究会学術集会の会長を拝命しました川崎医科大学肝胆膵内科学の日野啓輔です。歴史と伝統のある本学術集会を担当させていただくことを大変光栄に存じます。
令和時代に入って肝臓学研究も大きく様変わりし、代謝や臓器関連そして肝癌治療の新たな展開に注目が集まっています。そのなかでアルコールは古くて長いテーマですが、2018年の日本肝臓学会監修による50,903例の肝硬変成因別実態ではアルコールは19.4%を占め、非B非C型のほぼ半数を占めています。生活様式の変化からとかくNASHの増加が注目されがちですが、実はアルコールはわが国の肝硬変の2番目の原因となっています。このようにアルコールは臨床的にも大きなインパクトがありますが、残念ながらアルコール医学に対する関心は高いとはいえない状況です。一方、アメリカではアルコール医学に対して多額の研究費予算が設けられ、その関心の高さは日本と対照的です。
本学術集会はアルコール医学という観点から臨床、基礎を分かたずさまざまな領域の専門家が集い討議する場となっています。そこで学術集会のテーマを「アルコール医学の現状と未来を俯瞰する」とし、アルコール医学の活性化に何が必要で、アルコール医学の面白さはどこにあるのかをさまざまな観点から討議していただきたいと考えています。アルコール医学のなかでとくに注目を集める分野については特別講演やセミナー、シンポジウムを企画し、まさしくアルコール医学の現状と未来を俯瞰する場を提供できればと願っています。
今回の学術集会は倉敷市で開催しますが、会場から歩いて数分で倉敷美観地区があります。江戸時代の天領に指定された地域の町並みが今なお保存され、また日本最初の西洋美術館である大原美術館があり全国的にも有名な観光スポットとなっていますので、学術集会の合間を縫って散策をお楽しみいただきたいと思います。多くの皆様のご参加を心よりお待ち申しあげます。