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家庭医療学研究会会報 第37

発行所 事務局(川崎医大総合臨床医学)
編集人 東町ファミリークリニック
発行日 1999.9.1.  武田 伸二

第11回家庭医療学研究会ワークショップ開催される

 さる8月6日より8日まで、家庭医療学研究会主催の夏季セミナーが倉敷の川崎医科大学にて開催されました。学生、研修医を合わせて35名、手弁当で駆けつけてくださったスタッフの先生方26名、合計61名で活発な意見の交換と研修や見学の時となりました。今回の参加者の全体的な印象は、家庭医に対する認識がさらに向上しており、プログラムの中でも夜の歓談の一時でもかなりレベルの高い討論がなされたように思います。

 以下、プログラムと簡単な内容をご紹介いたします。


プログラム

【8月6日】
  13:30〜14:00 アイスブレイク      小笠原幸裕
  14:00〜15:15 ワークショップ「家庭医とは」      藤沼康樹
  15:30〜16:30 レクチャー「家庭医とは」      津田 司
  16:30〜17:15 「米国の家庭医について」      佐野 潔
  18:30〜 懇親会

【8月7日】
−Aコース−  
  9:00〜12:00
実習  臨床倫理      白浜雅司
 医療面接      藤崎和彦
 小 外 科      大滝純司
  13:30〜16:15
実習  家族指向のケア   竹中裕昭
 身体診察法     中泉博幹、大西弘高
  16:45〜17:30 ビデオ
−Bコース−  
  9:00〜18:00
見学実習  青木内科小児科   引率 大和健司
 かとう内科並木通り病院   引率 中田裕子
 奈義ファミリークリニック   引率 矢部正浩
  19:30〜21:00 ABグループ合同で本日の講義、実習についての報告、討論   武田伸二
  21:00〜21:30 「家庭医の将来」   前沢政次
  21:30〜 懇親会

【8月8日】
  9:00〜12:00 Evidence-Based Medicineによる診断・治療についての問題志向型学習   山本和利
  12:45〜13:45 研修施設紹介
  14:00 終了

 川崎医大小笠原氏の司会で参加者の緊張をほぐすアイスブレイクのあと、生協浮間診療所の藤沼氏のリーダーシップの下、早速家庭医についてどのようなイメージを持っているかを語り合う、ワークショップが始まりました。今年の参加者は例年よりさらに家庭医についての知識が豊富で、正確なイメージをもって参加されている方が多いと言う印象を受けました。このセミナーが、ぼんやりと持っている家庭医のイメージを具体化し、ビジョンが膨らんで現実のものになって行く手助けになればと思いました。
 家庭医に関するレクチャーは、川崎医大の津田氏と今年も米国より応援に駆けつけてくださったミシガン大学の佐野氏が熱弁をふるわれました。
 津田氏は現在の医療現場の実情とこれから変化して行くであろう医療情勢の中で、ますます重要になってくる家庭医の果たすべき役割について語られ、そのような役割を担える家庭医になるために研修をどのようにして行くべきか、分かりやすいプレゼンテーションで説明されました。
 続いて佐野氏からはアメリカで実際に家庭医としてグループ診療に携わった経験を具体的に語られました。家庭医として必要な資質、要求される能力、生きがいなど熱っぽく語られる先生の話しから学生や若い医師に伝わるものがたくさんあったと思います。
 これらのレクチャーの後は会場を宿泊施設に移して懇親会と歓談の一時を持ちました。宿舎は倉敷の昔の町並みを残す美観地区の一角にある宿で、おいしい夕食にアルコールが入って話しがはずみました。今回初めて参加した学生の中には、大学に貼出されたポスターを見たり、インターネットでこの集まりを知って申し込まれた人たちがかなりいて、驚きました。家庭医に関心を寄せる若い世代が増えているのですね。でもまわりがほとんど専門医を目指すの大学の中で、家庭医指向を細々と育ててきた参加者が同じ思いの仲間を得、生き生きと語る姿を見ると、このようなセミナーをどんどんアピールし、継続して行くことの大切さを感じました。

 2日目はそれぞれが希望のコースに分かれて実習や見学をしました。前日夜遅くまで話し込んでいた人もいたようですが、みなさん元気で眠い目をこすりながらもそれぞれの希望のコースに散って行きました。
 この日一同が集まったのは夕食時で、アルコール抜きの食事の後、東町ファミリークリニック武田氏の司会で報告の時を持ちました。
 地域の医療機関に見学実習に出かけたグループからは、昨日レクチャーで語られ、頭の中で描いたイメージを医療の実践の場で体験したことが語られました。
 大学や大病院では見られない診療形態や、そこでエネルギッシュに働いておられる先生の姿、実際の患者さん方と関わり、チームとしてケアを実践している医師以外の医療関係者とのつながりなど、新しく接した医療現場での新鮮な感想が語られました。引率してくださった筑波メディカルセンターの中田氏、川崎医大の矢部氏、日本原病院の大和氏、ご苦労様でした。
 川崎医大に残ったグループの講義、実習は医療倫理を三瀬診療所の白浜氏が、医療面接を奈良県立医大の藤崎氏、小外科実習を北大の大滝氏、家族思考ケアを川崎医大の竹中氏、身体診察法を川崎医大の中泉氏と佐賀医大の大西氏がそれぞれ担当してくださいました。実際の診察や外科手技などの医療技術を習得することと同時に、患者さんにどのように接し、話を聞き出し、複雑な問題を的確に漏れなく整理し、みんなが納得できるように解決してゆくか、大学の授業では聞いたこともないような講義と実習に参加してそれぞれ得るものが数多くあったようです。
 報告の後、北大の前沢氏から、「家庭医の将来」と題して先生のこれまでの歩みから、家庭医の素晴らしさをユーモアを交えたほのぼのとした話の中から語ってくださいました。家庭医がいかにやりがいのある仕事かが、伝わってきたように思います。
 ここで2日目のプログラムが終了し、やっとアルコールが入ってそのまま懇親会に突入しました。あちらこちらで小さなグループに分かれてかなり話が盛り上がっていたようです。

 3日目は朝食の後川崎医大に移り、午前中は札幌医科大学の山本氏よりEBMの講義、実習の時を持ちました。医療現場でよく見られる経験的な曖昧さをどのように科学的な数値に表して合理的な医療を進めて行くか、事例を用いながらわかりやすく解説してくださいました。今回初公開という治療閾値にまで話が及び、学生の間からはいろいろ質問が出ていましたが、なかなか実際の医療現場で多くの医師がこれを使いこなすにはまだ道のりが遠いように思いました。
 昼食の後には、家庭医を目指し研修をするための施設の紹介があり、3日間のセミナーを終了しました。
 真剣に家庭医療学を考え、そのような方向に興味を持っている学生が増えるに連れて、彼らの今持っている夢をしぼませることなく現実のものとできるような環境を整える必要性を感じました。ある学生が「自分と同じような思いを持っている医師や医学生がこんなにたくさんいるとは思わなかった」と言って家庭医療に対する熱い思いを語ってくれました。私たちの研究会がもっともっと同じ思いの方々を吸収して元気になって行きたいものです。




第14回「家庭医療学研究会」のご案内と演題募集

家庭医療学研究会主催による、研究発表と講演会を中心とした学術集会です。
 今年はワークショップ形式の企画もあります。懇親会や当研究会の総会も併せて行われます。「一般演題」と「研修プログラム紹介」を募集しますので、是非御応募ください。

<概要>
日 時 : 1999年11月6日(土)〜7日(日)
場 所 : 三菱総合研究所ビル(東京都千代田区大手町2-3-6)
テーマ :
「家庭医養成の現状と未来」
プログラム :
11/6(土)
◆一般演題・(応募多数の場合、一部はポスターになります)
◆基調講演+ワークショップ
  「家庭医養成のための卒後研修−何を必修にすべきか?」
◆総会・ワーキンググループ報告
◆懇親会
11/7(日)
◆一般演題・(応募多数の場合、一部はポスターになります)
◆ポスターセッション
  「研修プログラム紹介」
◆特別講演 Prof. Thomas L. Schwenk (University of Michigan)(内容未定)
◎ 参加費 : 会員5000円、学生2000円

<一般演題募集>
家庭医療学に関する研究発表を募集します。口演発表(発表10分+討論5分)を予定していますが、応募多数の場合は、ポスター発表をお願いする可能性がありますので予め御了承ください。

◆ 応募締め切り : 1999年9月20日(必着)
◆ 申込方法 : 演題名・発表者・共同発表者・所属・800字以内の抄録をB5用紙にプリントし、MS-DOSテキストファイル(フロッピーディスク)と共に郵送してください。別紙に、連絡先住所・郵便番号・電話番号・FAX番号・(日常的に使用している場合)E-mail addressを記してください。
申 込 先 :  〒060-8648 札幌市北区北十四条西五丁目
 北大医学部附属病院総合診療部 大滝純司
 TEL : 011-706-7005  FAX : 011-716-3985

<研修プログラム紹介募集>
家庭医養成などプライマリ・ケアを重視した卒後臨床研修プログラムの内容をポスター形式で紹介していただき、今大会のテーマである「家庭医養成の現状と未来」を展望することを目指した企画です。医学生も参加いたしますので、研修医募集の機会にもなります。研修の責任者や指導者だけでなく、研修医や研修修了者による発表も歓迎します。応募多数の場合は、当研究会会員による発表を優先的に採用しますので予め御了承ください。

◆応募締め切り・申込方法・申込先 : 一般演題と同じ



第1回 名古屋−ミシガンプライマリ・ケア フォーラム

開催日 : 平成11年11月3日(水)文化の日 13:00-17:00
会 場 : 名古屋大学医学部鶴友会館
(名古屋市昭和区鶴舞町65 JR中央線鶴舞駅下車徒歩5分)
主 催 : 名古屋大学医学部総合診療部
University of Michigan, Department of Family Medicine
参加者 : Thomas L. Schwenk (University of Michigan)
Mike Fetters (University of Michigan)
伴 信太郎(名古屋大学総合診療部)他
● トピックス :
プライマリ・ケア  臨床医学教育  臨床研究  国際比較 etc
● 問い合わせ先 : 伴 信太郎
〒466-8560 名古屋市昭和区鶴舞町65番地
名古屋大学医学部附属病院総合診療部
TEL & FAX: 052-744-2950
E-mail : nobuban@med.nagoya-u.ac.jp



当研究会メーリングリスト開設のお知らせ

平成10年11月15日の総会で会員から要望のありましたメーリングリストを開設しました。
これは、入会を希望する会員がディスカッショングループを作り、日常の診療上の問題について相談し合ったり、その他いろいろの問題などについて意見交換をするためのものです。
 入会希望の方は、当研究会のホームページを見て入会手続きを取って下さい。

    以下省略
    こちらをご参照下さい




家庭医療学研究会世話人会議事録 (8/6/99)

出席者 : 津田、前沢、大滝、武田、藤崎、藤沼、白浜、大西、竹中(敬称略)

1) 会員数 : 226人(1999年8月5日現在)

2) 第14回家庭医療学研究会総会について
  • 特別講演をミシガン大学Tom Schwenk教授に依頼する
  • ワークショップ形式で研修の必修化などについてディスカッションを
  • 研修施設紹介は10カ所程度、ポスターセッションを予定している
  • ポスターセッションはラウンジに設置するが、ポスター用パネルボードについては予算を考慮しながら決定する
  • 発表スライドをフロッピーにて受け付ける(Mac.,Win対応)。その際、初めての試みのためトラブル時を考慮し、スライドも用意してもらう
  • 昨年同様、事前に抄録集を郵送するが、抄録集は会誌「家庭医療」の臨時増刊の形式を採用する

3) 第7回春の「家庭医の生涯教育のためのセミナー」報告
参加者は44名、約10万円の収益があった。詳細は次回世話人会で報告。

4) 今後のスケジュールについて
  • 第8回春の「家庭医の生涯教育のためのセミナー」
    日時 : 2000年3月18日(土)-19日(日)
    場所 : 名古屋邦和セミナープラザ(今年と同じ場所)
  • 第12回夏の「学生・研修医のためのセミナー」
    関東ブロックで開催の方向で検討
  • 第15回家庭医療学研究会総会
    大会長 : 山本和利氏(札幌医科大学附属病院地域総合診療部)

5) JIMへの連載、家庭医療学教科書の件
  • 早急にまとめ、E-mailにて世話人に相談の上、2000年1月か4月から2年間連載の方向へ
  • 中外医学社から発行予定の学生、研修医向けの教科書はもうすぐ執筆依頼を出す手順になっている

6) 会誌について
  • 昨年度の会誌発行が大幅に遅れたため各施設で積極的に投稿をお願いしたい
  • 前述の通り、臨時増刊として第14回総会抄録集を発行予定
  • 優秀論文賞は過去3年間の原著論文より世話人会が推薦。9月20日までに事務局に各世話人は推薦を。優秀論文賞として賞状および副賞5万円を予定している

7) ワーキンググループ進捗状況
  • 外来ワーキンググループ
  • エッセイ、提言が多く、現在編集中
  • 外来教育における日本の文献を収集中、それを集約し、日本のレビューを作成したい
  • 研修プログラム作成の手引きも作成する
  • 在宅ワーキンググループ
  • 3人メンバーが変わった
  • 介護保険を見据えながら11月に中間報告を
  • コミュニティー、地域作り、在宅での看取り、在宅ターミナルケアなど

8) 事務局長の件
現在、竹中裕昭が代行を務めているが、豊島元(川崎医科大学総合臨床医学)が次期事務局長として就任予定

9) コピー機、FAXの件
これまでコピー料金、FAX料金は川崎医大総合臨床医学教室が負担していたが、今後は、川崎医科大学総合臨床医学でコピー機(FAX付き)を購入し、コピー代、用紙代、FAX代を使用した分に応じてその都度請求する。

10) 役員改選は来年度(2000年11月)

11) 退会手続について
会則第9条では会費滞納2年目に退会と規定しているが、会員拡大のため、慣習通り2年間会費を滞納し、かつ催促に応じない会員を退会扱いとする。

12) 会計年度について
総会が11月にあるため、従来通り10月1日から9月30日までを会計年度とする

13) 研究会から学会への改組について
日本プライマリ・ケア学会との合同大会の検討、2005年のWONCA Asia-Pacific Conference(京都)などを通じて活動を拡大していく予定だが、早急な改組の必要性はないと思われる

14) 学生部会について
東京女子医科大学6年中村明澄さんを中心に発足を検討中。その世話人として佐賀医科大学総合診療部大西弘高氏が就任。研究会本体からは、今のところホームページへの掲載、メーリングリストの作成、ポスター作成について協力予定。その他の協力は必要に応じて検討

15) 夏の「学生・研修医のためのセミナー」の学生、世話人の負担について
学生の参加費をもっと安くして、研究会から助成金を出すことが諮られたが、現在でもそんなに高いとは思えないので、このままでよいということになった。どうしても問題が生じた時には奨学金制度なども検討。世話人の負担も従来通りでよいが、今後のことに関しては秋の世話人会で検討。

16) 次回世話人会は11月の総会時に



♪♪♪ お知らせ ♪♪♪

<<会費納入のお願い>>

会員の皆様の中で会費の納入をお忘れになっていらっしゃる方はいませんか。
ご確認の上、未納入の方は同封の振込用紙を利用して早急に納入をお願い致します。
2年間滞納されますと、自動的に退会扱いとなりますのでご注意ください。
ご自分の納入状況を確認したい場合は、事務局までお問い合わせください。

<<入会手続きについて>>

当研究会では会員を募集中です。学生会員も大歓迎です。
入会手続きについては、事務局までお問い合わせください。
会誌にも手続き用紙が入っています。

<<「家庭医療」誌編集委員会より>>

「家庭医療」誌への投稿が少なく、発行に至りません。
みんなで良い機関誌を作って行きたく思いますので、研究などふるってご投稿ください。
投稿の規定については会誌「家庭医療」の2巻1号81頁を御参照ください。

<<会報への投稿のお願い>>

会報への投稿をお願い致します。家庭医療学に関する様々な情報をお待ちしています。
宛先は事務局あるいは担当武田まで

● 事 務 局 : 〒701-0192 岡山県倉敷市松島577
川崎医科大学総合臨床医学教室内 家庭医療学研究会事務局
TEL ; 086-462-1111(3707) FAX ; 086-464-0261
Email ; jafm@med.kawasaki-m.ac.jp
ホームページ : http://www.kawasaki-m.ac.jp/family  (注)現在とは異なります
● 広報(武田) : 〒168-0015 岩見沢市東町1条8丁目932-74
東町ファミリークリニック
TEL ; 0126-24-5771 FAX ; 0126-24-3835
Email ; VZE03666@niftyserve.or.jp  (注)現在とは異なります


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