日本家庭医療学会マーク 日本家庭医療学会
HOME学術集会・教育集会学会認定研修プログラムの認定について学会について会誌『家庭医療』会報会員ページ関連リンク
学術集会・教育集会
HOME学術集会・教育集会その他の教育集会など > 第3回 家庭医療後期研修プログラム構築のためのワークショップ(2006.1.28〜29)

開催しました

その他の教育集会など

日本家庭医療学会主催
第3回 家庭医療後期研修プログラム構築のためのワークショップ

TOPページ 記録(テープ起こし)版
1月28日午前
記録(テープ起こし)版
1月28日午後
記録(テープ起こし)版
1月29日

◆ 期日 : 平成18年1月28日(土)〜29日(日)
◆ 場所 : 都道府県会館 (東京永田町)
◆ 対象者 : 日本家庭医療学会理事(旧運営委員)、若手家庭医部会、現在家庭医療後
期研修プログラムを運営している指導者、または将来立ち上げを計画している指導者
(学会員に限る*)
*非学会員の方は当日入会手続きをしていただけます。

記録(テープ起こし)版

1月28日(土) 午前

竹村副代表理事
(スケジュールの説明)
皆さんがメーリングリスト上でも熱く語っていただき、われわれ非常に敬服している次第です。今回は最終プロダクトを作るという予定でございますので、このワークショップでもぜひともご活発なご議論をお願いしたいと思います。
2日間の流れをちょっと説明したいと思います。まず山田先生の方からお話いただいた後に、さっそく各班(病院グループは1,2が一緒になったということですので)病院グループと診療所グループと大学グループでネット上で作成していただいた家庭医療後期研修プログラム案をおのおの発表していただきます。その発表の後に、各班からのいろいろな議論があると思います。ご意見、ご質問等があると思いますので、ここで十分な議論をしていただいて、できるだけ合意の方に向かっていただきたく思います。それが大体午前中の予定です。3時間弱ありますので、十分時間を使ってご議論いただけたらなと思います。
昼食後はロジャー・ネイバー先生から、まず英国の家庭医養成について、その養成の仕方についてお話をしていただきます。その後それを基に更に皆様でご議論いただいて、マイナーな修正等をしていただきます。さらにネイバー先生から研修カリキュラムのデザインの仕方についてお話をしていただいて、その上でまた皆様にご議論していただく。その頃にはもうだいたい素案が出来上がり、最終的な案に近づいているという状態にしたいと思っております。その後6時を目処に懇親会ということになります。
そして、明日の朝には執行部の方から「素案」、「皆さんの合意を得られた後の案」を出させていただきます。よろしくお願いします。その後、研修プログラム作りから実際の指導の仕方に話を移し、まずネイバー先生のレクチャーで、指導の仕方、評価の仕方についてお話していただきます。その後皆さんがご指導される場合はどのようにするか、将来に向けてご議論いただきたく思います。こんなことうちでも出来るんじゃないかという意見もあるかもしれませんね。もちろんプログラムについてもご質問があったらいつでもしていただきたいと思っております。今後、認定医という話も、この場ではなく、3学会合同、プライマリ・ケア学会、総合診療医学会、そしてわれわれ家庭医療学会の3者ですることになると思います。その方向に向けて、ネイバー先生から、スタンダードの設定の意義と認定医はなぜ必要かということをお話をいただきます。その後まとめということになります。この2日間で一応のプログラム「家庭医療後期研修プログラム」の最終案を出したいと思っております。皆様、思い残すことのないように、存分にご議論いただきたいと思います。ということでこの会を始めさせていただきますが、まず会長の山田先生の方からお話をいただきたいと思います。

山田代表理事
(代表理事あいさつ)
皆さん、おはようございます。後期研修プログラムのワークショップにお集まりいただきありがとうございます。今日がやっと3回目で、なかなか議論が進んだり進まなかったりということだったのですが、まあこの2日間で、強引なんですけれども、なんとかたたき台というか、今後家庭医療学会が基本、基準とするような後期研修プログラムのスタンダードというかコアなカリキュラム、一番基本なところだけ、ぜひ詰めてもらいたいなと思います。
今回は、前回のワークショップからグループ分けをして、今回作ったプログラムが診療所の先生方や地域病院の先生方、あるいは大学病院の先生方にとっても受け入れられる、それでもってベーシックが保証されそうなプログラムになるというようなことを目指したいと思いますから、さきほど竹村先生がいわれましたが、それぞれの実際の立場のところで、そのプログラムが実行できるというところでご議論していただいてすり合わせしてほしいなと思います。
そして明日の朝には、今日の議論をふまえて何とか、執行部の方もふくめて、皆さんのコンセンサスというか合意を得た部分のまとめみたいなものをご提示して、家庭医療学会としての後期研修プログラムの基本ルールはこれだというものを、皆さんご同意いただけるような形で最終的に提案したいなと思っています。
明日はその後、今後の活動について。たとえばプログラムディレクター、研修責任者の会を学会が中心になってやったらどうか。そういった活動をどうするかとか。あるいは明日のレクチャーでも出てくると思いますが、指導医養成の方法をどうやっていくのか。あるいは認定医の話もでましたが、これから3学会協調して、あるいは他の団体とも協調してどういった方向性でやっていくのかといった議論もしていただければありがたいと思います。
今回は英国家庭医学会のロジャー・ネイバー先生に昨日からお越しいただいております。昨日も講演会をしていただきました。イギリスの家庭医G.P.の研修のあり方とか、それよりもイギリスの幅広い医療制度改革とか、全般のことをお話いただきました。その中で、家庭医をトレーニングするにあたってどのような苦労をなされているか、といった話が我々の共感を生んだのですが、後期研修のプログラムだとか、プログラミングだとかカリキュラムだとかについて今日、明日で4回もお話いただけるということで、日本中で家庭医を志しているグループではもっとも幸せな2日間じゃないかなと思いますので、この2日間でおおいに学んでください。単にイギリスの事情を日本に移入すればいいいというものじゃないということは、皆さんご存知だと思いますが、やはり先進国というか、今までにそういった経験を積まれているところで、どんな苦労があって、さらにいまだにどんな苦労をもたれているかということは、非常に勉強になるということは確かなので、ぜひそういったところを学んで色々と議論のたしにしていただければと思います。この2日で、熱い議論をしていただいて、ぜひ実のある成果を出していただければと思います。よろしくお願いします。

葛西(ネイバー先生紹介)
昨日からRCGPのロジャー・ネイバー先生が来られております。昨日の講演でも非常に熱い語りで、家庭医の専門性と、それをやることの生きがいを含めたお話がありまして、これについてはホームページ上で画像も見られるような形で、また使用されたパワーポイントや日本語訳のものも同じく見られるようにして共有したいと思います。
ネイバー先生には午後から明日にかけて4本のショートレクチャーをやっていただくわけですが、この場をお借りして私の肩から紹介して、簡単な挨拶をしていただこうと思っております。ホームページにも載っておりますが、経歴としましては2003年からRCGPの会長をしておられます。(中略)日本には京都WONCAのカンファレンスワークショップで中島先生とか吉村先生とかと一緒にやりました時に来てくれたのが初めてで、私もそこで初めてお会いしました。それから非常に家庭医療学会を応援してくれるようになりまして、今回RCGPの方からもお金を出して来てくれているという、素晴らしいサポーターを得ました。本当に、日本家庭医療学会は世界の家庭医からがんばってほしいと支援を受けています。
ネイバー先生は、非常にきさくな方でレクチャーだけでなく、ワークショップの期間中いろんなことで皆さんと個人的にお話してもらって、いろいろと学ぶチャンスをいただけると楽しみにしているところであります。それではネイバー先生にご挨拶をしていただきます。

R.Neighbour先生のご挨拶

葛西
ということで訳しませんが、皆さんよろしいですね。重要なところ、レクチャーのところではお話いたしますが。

竹村
では、さっそくですが発表を。各班でネット上でディスカッションしていただき、非常に熱く1日に何回もメールが往復しているところもありましたし、また、あまりそうでもないところとかありましたが、皆様のコンセンサスが得られることが大切でございますので、熱く語ったところはまた同じように熱く、熱くならなかったところは、今までにできたところまでで結構ですので、ご発表ください。また適宜、皆様から質問やコメントをしていただけたらと思います。
まず最初に「大学」の方から、合意が得られたプログラム案がございますので(印刷物)、こちらを発表していただきたく思います。そのあと他のグループの皆様に質問とかコメントをいただき、これはうちじゃあ出来ないとか、うちじゃあもっとした方がいいんじゃないかとか、ぜひとも議論していただきたいと思います。ではどうぞ。


● 大学班:宮崎
おはようございます。昨日やっと何とか形になった案です。大学班のやり方は、最初にこのプログラムを終えた人がどういう家庭医を作っていくのかということを提案しまして、そのためにどんな研修が必要かということと、実際にそのためのプログラムを考えて作って検討しました。
大学班が最初に掲げた、プログラムを終えた時の医師像ですけれども。「卒業生は地域のプライマリ・ケア医として患者をその家族も含めて包括的にケアを提供し、あらゆる地域における医療ニーズに柔軟に対応することができる。またプライマリ・ケアの領域における研究教育の重要性についても配慮できる。希望に応じプライマリ・ケア学会および内科学会の認定医が取得できる。将来的には家庭医の認定医取得に対応できる。」という風にしました。
次に、どういう研修が必要か、そのためにどんな方法が必要かということですが。これは分離できずに同時進行という形になりました。研修プログラマーは、執行部の方から出されたプログラム案をもとに追加や削除を繰り返し、意味を見出すという形をとりました。
研修期間ですけれども、「研修の全期間は5年間とする。」と最初はなってたんですけれども、大学の人が所属しているプログラムは後期が3年のものだけでなく4年のものもありましたので、後期研修については「3年。またはそれ以上」と規定しました。それから原案では「後期と前期はプログラムは自由で、後期の時は基本的にはそれ以外のもの」とあったんですけれども、それは実際には臨機応変に対応するしかないだろうということで、そのへんは削除しました。ただ、初期研修2年間というものが、かなり研修医によって終えたものが違うだろうということで、最終的な目標として、「プログラムの全期間を終えた時に習得できていてほしい項目が習得できるようなプログラムを研修できれば最終的にはかまわないのではないか」という項目をつけさせていただきました。
研修場所ですけれども、プログラムには病院と診療所を含むというふうに当初からなっていました。これに対して、議論の途中で老年保健施設なども必要であるとして含むという案も出たのですが、結果最終的には必須には盛り込まないということで。研修内容の方に、そういう研修を含むことが望ましい、ということでつけさせていただきました。
人材のところにいろいろ議論がありました。大枠は原案に近いのですが、最初は「プログラムには以下の要員が確保されている」としか書かれてなかったのですが、ここにあげた方々から教育を受ける指導者としてこういう人がいてほしい。ただ存在するだけでは意味がないということになりまして、「指導または教育にたずさわる人として」要員が確保されていることが必要ということにかかせていただきました。実際には(1)ディレクターと(2)診療所研修における指導医は一緒のこともあるでしょうし、それぞれ置かなければいけないというわけではないだろうということで、兼務でもいいんじゃないかということになりました。実際(2)以下は決めにくい。確保できないかもしれなくて、現実的には(1)のディレクターがあくまでもしっかりしていることが大事であるという意見もでました。(3)病院研修のおける指導医と(4)各領域の研修をするに当たり必要な専門診療科指導医を区別している意味は何なんだろうとか、このへんはあいまいなまま終わってしまいましたけれども、専門診療科の指導医という言葉も入れてあります。
その他に、絶対にいなければならないというわけではないのですが、コメディカルにあたる方ですとか、SPさんのような方からも教育は受けられるだろう。そういう人が確保できるのであればそれは望ましいことではないかということで、追加しました。
実際のプログラムですが、まず「診療所等の施設において以下の項目の研修がなされること。これらの項目が、この施設において実際に恒常的に行われている必要があると。」ということですが、ここは研修施設の条件付けというふうに捉えました。「また、この施設における研修は、6ヶ月以上ある必要がある。」となっていたと思います。ここでも「6ヶ月以上」の意味について、継続性という意味の6ヶ月だろうという判断もあったのです。
それ以外にそのあとで出てくる継続的なケアというところで、「研修期間の3年間を通じて特定の患者をケアすることが望ましい」というのが原案では「特定の患者をケアする」となっていたと思うのですが。ハーフデイバック方式も含めてそれを認めるというような考え方では……ハーフデイバック方式をすることの意味ですが、継続性という意味でのハーフデイバック方式はあまり評価できないんじゃないかという意見がありまして。これは包括性とも近いんですけれども、自分の担当する患者さんに起こってくるいろんなこと、いつ何が起こるか分からないことに対しては対応できないので、ある施設において一定の期間毎日そこで患者さんに対応する期間が必要であるという意見もありました。
一応は6ヶ月以上が望ましいのですが、それが出来なかったとしてハーフデイバック方式でやる方法も認めてもいいんじゃないか、その場合でもブロックでやる期間も必要だろうという意見もありました。ここでは例として数値を出しましたけれども、あまりこの数値には厳密に決める条件は今のところ、本質的に決まったわけではありません。
他に診療所に求められる条件としては、(1)外来における患者中心のケアが行われている(2)近接的なケアができる(3)継続的なケアができる(4)包括的なケアができる(5)保健や介護関連の活動をしている(6)家族指向、地域指向のケアをしている。といった施設を最終的な施設と考えています。
次に研修の領域ですが、一般的には「他」と書いてあるところが多いのですが、これに関しては家庭医以外の他科研修を主に念頭においているのですが、ものによってはブロック期間を決めてこれぐらいはやってほしいというものから、こういうことは学ぶべきだというただ項目があがっているところまでバラツキがありました。
まず内科ですが、できれば指導医は家庭医に理解があるところで、入院に関して混合、総合的な病棟で行われることが望ましい。これは初期の必須6ヶ月だけでは不十分ではないかという意見が多く、後期研修中に3ヶ月(または6ヶ月という意見も)程度を、初期に加えてブロックであればいいんじゃないかという意見がありました。
一般外科、小児科ですが、ここも意見がありまして、後期であえて一般外科のブロック研修はいらないんじゃないかという意見がありました。初期はいろんなことをやってくる人がいて、専門の外科の研修をやったという研修医もいるだろうということもあるだろうし、求めている能力としては小児外科の能力は必要だと思うのだが、指定する診療所によっては外科性の疾患を取り扱っていないかもしれないとか。そこであえてここに「1.診療所での小外科」「2.(初期研修と合わせて)約2ヶ月の一般外科ブロック研修」が必要ではないかと。1と2を選択制にするという案もありました。
救急医学ですが、最終的には初期と後期も合わせて、ブロック研修や定期的な救急当直研修を、1次2次の救急を集中できるという条件で経験する。そして対応できるということをいれました。
小児科ですが、これもかなり議論が出ました。何がいいという最終的な、きちんと皆さんがこうだというものはなかったのですが。後期研修のみでブロック研修が必要である。外来の研修が必要である。それから乳児検診、予防接種などを含むということになったのですが、診療所によっては指導医のもとで十分な数の乳児検診、予防接種をみられる場合はいいのですが、そうでない場合は小児科の専門の外来研修を盛り込むというふうに、ある程度経験の数によって、場所ではなくて数が問題になるのかなということでした。
整形外科と皮膚科ですが、外来研修は中止する方向を選びました。ただ指導医が整形外科専門医や皮膚科専門医であるということは決めていなくて、できれば指導医が家庭医に理解がある人を選んでほしいと。つまりどういう●●を見ていてくれるかということにも係わってくると思うのですが。項目として整形外科領域や皮膚科領域を学ぶことは必須なんじゃないかなということで。
介護老人保健施設、介護老人福祉施設での研修ですが、これも議論があって。必修の方に入れるか、望ましいぐらいのレベルかで、最後まで意見が分かれました。短期であっても一定期間の研修は行った方がいいという意見もありましたので、これは最終的にまとめた私の判断でここに入ったのですが、この次にくる「望ましい」でもいいんじゃないかという意見もありました。在宅医療は、研修として必須にしたいなと。
次に、必修とまではいわないけれど研修を受けることが望ましいというもので、産婦人科と精神科、心療内科、そしてリサーチをあげました。産婦人科は議論の多いところだと思いますので、必修には入れにくいかなと。産科もしくは婦人科とか、どの領域のことを勉強するのかといったことで変わってくるかもしれませんが、やっぱり地域のニーズとかで変わってくるのではないかと思っています。
あとはオプションとして、家庭医として必要な能力を得るために以下のような選択肢が考えられるということで。泌尿器科、眼科、耳鼻科、放射線科、それから臨床検査、生理検査、議論の途中のカッコのままですが地域保健、医療管理、教育、海外研修、選択などがあげられます。
以上がプログラムとしての大学班のまとめた大枠の内容です。それ以外の意見として、ハーフデイバックも含めて他科研修をしている間にアイデンティティを保つ工夫が研修施設もしくはプログラムディレクターに求められる。これはプログラムそのものではないんですが。それから、プログラムディレクターは自分で私はプログラムディレクターですというだけではなく、ある程度学会が認定というか基準を設けた方がいい、自称ではちょっと困るんじゃないかという意見。それからプログラムを組む際に、特に他科専門医や他のスタッフとの申し合わせを最初に行ってほしいということも意見としてでてきました。
ただ、大学班が形としてこういうふうにまとめたんですけれど、実際にはどういうことまで要求されるのかということを決めると多少プログラムもそれに合わせて変わっていくのではないかということで、今の時点ではこれが大学班の案ということになります。

竹村 いかがでしょうか。ひとつずつ、見ていきましょうか。まず前文のようなものが書かれてあるのですが、のちほど執行部から前文の案が提示されますが、これについてご議論をお願いできますでしょうか。
○○ 「研究、教育の重要性について配慮できる」とあるのですが、「配慮」とは具体的にどういうことでしょうか。
宮崎 まずこの文章自体ですが。これは学会レベルでやるものであって、あくまでこれを書いたのは、今回のメーリングリストの中で議論をするために共通認識を得るための文章なので、あまり文章の細かい表記に関しては煮詰めてもしょうがないんじゃないかという前提で、一人が案を出してみんながそれに意見を出してという形で。「配慮」という用語に関しては、大学班であるという意味も含めて、教育とか研究に関しても意識を持たせるようなことは最低限必要で、実際にそういう研究をするとか、ひとつ成果を出すというのも、最終的にはそういう方向へ持っていきたいという思いはあるのですが、ちょっとそこまでは言えないので、一応「配慮」という単語でさせていただいたのですが、あんまりそれ自体に意味はありません。
竹村 よろしいでしょうか。続いて内容に関してはいかがでしょうか。多少、違和感を持っておられる方もいらっしゃるんじゃないかと思うのですが。プライマリ・ケア医などという言葉も出てきたりして…。
宮崎 なぜ「プライマリ・ケア医」という言葉が出てくるかというと。家庭医という言葉を、メーリングリストをやりとりするみんながどういうふうに思っているのか、みんなが同じように思っているのかよく分からなくて。プライマリという言葉は初期対応とかいった意味も含めて、この言葉で表現したということで、名前自体にはあまりこだわりがないのです。
竹村 これは家庭医後期研修プログラムであって、プライマリ・ケア医後期研修プログラムではないのですから。
宮崎 どんな家庭医を作るかということで「家庭医」という単語を使うとちょっと…。家庭医とは何ですかと聞かれて、それはこういう家庭医ですよというのも、ちょっとおかしくて。プライマリ・ケアという言葉に全然こだわりはなくて、話の展開の中で初期対応とか、地域でのすべてのニーズに対応するとかを表現する時に、勝手に入れただけなので。他に何かいい単語があれば教えていただきたいのですが。
山田 家庭医とか家庭医療という定義がしっかりなされているわけじゃないし、日本ではプライマリ・ケアあるいは総合診療という用語が共通のコンセンサスとして言葉で定義されているということもないので。だから、こういうことをやりながら、みんなプライマリ・ケアとはこういう概念じゃないのかなとか、家庭医療学会が言っている家庭医とか家庭医療というのはこんなものじゃないかなと、議論しながら枠組みができるんじゃないかなと思います。そんな中で今回、後期研修のプログラムを作りながら、家庭医療学会が考える家庭医とはというものを表現できればいいんじゃないかなと。アメリカの家庭医とも違うし、イギリスの家庭医とも違うし、日本でいう家庭医とはこういうものだということが、こういった議論の中で定義されていけばいいなと思います。この前文の中では、2行目、3行目を中心として、日本で考える家庭医というものを今このプログラムで作ろうとしていますということで。用語としてはやはり、ぜひとも家庭医とか家庭医療という言葉を使ってほしいなというか、議論の中で、家庭医療学会が考える家庭医という用語を定義づける、肉付けしていってほしいなというのが私の望みでもあります。
○○ 執行部が3人そろっているので、プレッシャーがあるかもしれませんが。私も山田先生の考えに賛成です。日本で家庭医、家庭医療がどういう定義をするかっていうのは、これからみんなで考えていけばいい。だけど、スタートとして共通の言葉を使いましょうと。共通の言葉を使うとその言葉で意味するものをみんなで考えていかなければなりませんね。まだ決まってないからプライマリ・ケアという用語を私は使おう、私はこの言葉を使おうといってたら、訳が分からなくなりますから。家庭医という言葉を使って、(とりあえずワーキングディフィニションと言ってますけど)今考えられる定義というと、北海道家庭医療センターでは昨年1月に発表したものがあります。我々もあれでもう決まりとしているわけじゃなくて、あれをスタート地点としていろんなことを日本で考えて必要なものは取り入れていく、いらないものは排除していくという形で改訂版をどんどん出していこうと。それがワーキングディフィニション、作業法定義という考え方です。まずはその作業法定義で、私たちのところに賛同するかどうかは別にして、共通の言葉として「定義」という言葉を使う。なぜかといったら日本家庭医療学会という名前なので、その認定医の名前でプログラムの中で家庭医、家庭医療という言葉は非常に自然ですね。その意味するもの、内容についてはこれからみんなで考えていけばいい。日本の家庭医のディフィニションを世界に発表できるように。
◯◯ 中に「家庭医に理解があること」と書かれているのですが、これが一番の難しいところだと思います。それがプログラムを通じて家庭医がどんな人なのか、どんなことをすれば家庭医になれるのか、読んで理解できる問題だといいと思うのですが、そういう視点で考えると、プライマリ・ケアという言葉を使うよりはしっかり家庭医という言葉を使って、むしろ理解してもらうためにプログラムを作るという視点の方がよろしいんじゃないかと思います。
宮崎 そうしますと、今の言葉をふまえると「卒業生は地域の家庭医として云々」、そして領域の話はこれはもう仕様がない「プライマリ・ケアの領域における」…
◯◯ 「家庭医療の領域」
宮崎 なるほど、分かりました。
◯◯ 「なんとか医」というところは「家庭医」でいいと思うんですけど、家庭医とはこういうことをする人たちで、こういう領域ですと表現する時に、「家庭医は家庭医療をします」では何のことか分からなくて。一般の定義とかを見ると、プライマリ・ケアを実践する専門家が家庭医なんだと、よくアメリカなんかでは使いますね。そういう意味でプライマリ・ケアにおける領域とかそういう言葉が残っていてもいいんじゃないかなと。あまりにも「家庭医」「家庭医」という言葉が出てくると、何か違和感を感じる部分もあるんですけど。最初の「卒業生は地域の家庭医として」は賛成ですが、それ以降にプライマリ・ケアという言葉が出てきても、それは概念の説明ですから、いいんじゃないかのかなという気がしました。
◯◯ このことについてお話をしていくというのであれば、いろいろなところから出ている概念というものを出して、それでディスカッションしないと、これをたたき台にするわけでもないのですよね。他のところからも出ている概念も出してディスカッションすべきだと思います。ひとつのトピックについてグループワークを考えていくことも出てきていると思うし、その上で全体としてどう考えていくか。要するにプログラムはそれぞれ別のところで作るわけでもないのですから。
山田 おっしゃる通りだと思います。このあと他のグループからも発表していただきますので。前文にあたるようなものは執行部でも考えているところもあって、全体の概念というか、プログラム全体を説明するような文章だと思うので、よく議論が進んでからの方が。前文についてはこれくらいにして、また内容を議論しながら最後にフィードバックすることになると思うので、そのときに議論していただければ。
竹村 続いて各項目について。まず研修期間についてはいかがですか。変更点は期間を延長したことと、変更を許してもいいんじゃないかということですが。
◯◯ ちょっと確認したいんですけれども。5年のうちの最初の2年、初期研修。これは一般の研修ですよね。ここに初期研修2年というのが、わざわざ入っているという意味は、何かあるのですか。つまり、そこに我々の学会がコントロールできるとかいうのではない気がするし、最初の2年間は基本的にはどの臨床医も通る道であって、なぜこの文章が入ったのかという理由が。
山田 必修科のスーパーローテート研修が続く限りは必要ないと思います。ただ必修科の2年間というものが、数年で終わってしまうことも予想できるので、家庭医療とか総合診療とか目指す人にとってスーパーローテートは必須の初期研修の2年間で、どんな制度になってもはずせないというところがあって。あえて表現するのがいいのかどうか議論があると思いますが、我々のプログラムのほうが寿命が長いんじゃないかなと思って、あえて2年と表現してみましたけれど、対外的には必要ないかもしれません。場合によっては必修科が終わってからのフィードバックなどがしっかりなされていれば問題なくて。ただこういった必修科のスーパーローテートに関しても、学会として、こんな注文があるとか、こういった内容を重視してほしいとかいうことを出せるといい作業になるんじゃないかなと思ったので。あえて2年間の必修科を意識して、重要だと認識していますというメッセージにもなると思って入れてみたというところです。
竹村 続いて場所や人材についてはいかがですか。
◯◯ 研修場所について。病院と診療所であれば、ある程度の期間過ごされればなんでもいいということなんですが、学会としてもう少しコントロールをきかすために、研修施設というものをこちらが定める形で、我々の考えを知らしていくというような行動をとられるというのはどうでしょう。
竹村 ご意見はありませんか。
◯◯ 施設に関してですが。●●の評価は●●…。今回必修科でプログラムとか●●を実践できるんだったら
◯◯ ハコは問わないっていう基本的な考え方だったので、内容とかプログラムできちっと実現できればいいというもので。ハコとか何人の医者がいるとかは関係ないと思うので。
山田 まあ、どっちかっていうと今やっている作業がプログラム認定をしようという方向でたたき台を作っているので、プログラムの内容のほうを先行して、あとは施設認定に十分たりうる評価、最低限これぐらいのことがないと困るというような施設認定が必要であればそのときに考える。今のところは施設の認定については意識していないというか、プログラムのほうを重視しているというところでご理解いただければいいと思います。
竹村 人材については今のところ問題はないということでよろしいでしょうか。では、プログラムの内容についてはいかがでしょうか。
北西 一般外科、小外科ですが、研修の領域として必要ということは分かります。でも、2ヶ月の一般外科ブロック研修ということは、どのような研修をイメージされているのか。外科の治療の研修は難しいと思うのですが。どういった施設で、どういった内容をブロックで研修するのか。
◯◯ ここはあまり実は議論が深まらなかった場所で。まず最初に出た話としては、後期研修ではあえて外科のブロック研修はいらないだというという話が出て。初期研修でブロック研修はやっていると思うし、そもそもそんな入院して胃がんの手術を介助についてはいらないんじゃないかという話が出たんですけど、実は初期研修であまりちゃんと出来てないところもありますよという話も出て、それであれば、本当に初期で不十分であればやったほうがいいんじゃないかなという意味で、これが入れられた言葉だと思います。イメージしているところは、初期のブロック研修ができていない人は後期ででもやった方がいいんじゃないかという意味で入れただけだと思います。
北西 外科の研修の目的というものは、外傷とか小外科の対応。
◯◯ だと思います。あとは虫垂炎とか。
北西 2ヶ月のブロック研修中は、たとえば消化器外科の患者さんを持つとか外来だとか…。
◯◯ ここの文章からいけば、書かれていることの意味するものはおそらく病棟研修に近いような話だと思いますが。班の中の議論としては、あんまり要らないんじゃないかと。外来でも小外科ができればいいわけで、ということが根本にあって。文章として入っているので、少し混乱があるかもしれないですけど、イメージしたのは普通の初期研修のローテッド研修、まあ病棟研修。そこまでしか頭が整理できていなくて。
◯◯ (56.00〜57.15)
(この文章をコーディネーターの判断で入れたことの補足説明)
◯◯ 病院グループの「うだ」と申します。その各科のブロックローテッドの時に何をアウトカムにするかということを表記したほうがいいんじゃないかと思ってまして。このあと私どものグループの発表でいれさせていただくんですけど、各科をローテッドしたときに各科の指導医が何を教えればいいかをはっきりしていないとお互いに不幸なことになる。つまり初期研修できた研修医と後期研修医の差がはっきりしないというか。外科に関していうと、●●の診断ができればいいと、あるいは腸閉塞の診断ができればいいけれど、オペはできなくてもいいわけですね。でもオペしたら何日ぐらい入院しなくちゃいけないってことは知っておかなくてはいけないとか。いくつかレベルがあると思うんですけど、ある程度の具体例というか最低限のガイドライン的なものを学会のほうで示していただいた方が、かくしてプログラムが作りやすいんじゃないかと思いました。
藤村 必修科の研修医のフィードバックとかいろいろと話を聞いてみて、日本の各部門というのは、短期間で集中して教えるという経験があまりないんですね。そうすると、たとえば領域を設定してこまめにローテーション、スーパーローテーションスタイルっていうのは実は日本ではWinWinの関係にはならなくて。受け入れる側は非常に負担で、まわる側もイマイチだなで終わっちゃうっていうところが初期研修で一番問題になっているところなんです。それでアメリカ型のスパイラルにスーパーローテーションしていくっていうスタイルは、日本の病院の研修の受け入れ先としては極めて受け入れ難いという現実的な問題があって、割と長くいないとWinWinの関係にはならないんです。ところで、英国の●●って長期にまわっていると思うのですが、そのへんが日本とだいぶ違うところだと思います。そのほうが日本に合っている気がするんですが、どんなものでしょう。
山田 いまのことに関してですが。ネイバー先生のカリキュラムのデザインというレクチャーがありますので、そこでディスカッションしたいと思います。
草場 北海道家庭センターの「くさば」と申します。診療所班のコーディネーターということで作っていた立場なんですが、ひとつひとつの各論が広がりをもつ可能性がありそうなので、よろしければ病院と診療所の発表を先にさせていただいて。けっこう重なると思います。期間の話とか、結構ダブってしまうと思うので、これでは時間がもったいないなと思います。いかがでしょうか。進め方の提案ということです。
竹村 では、ほかのグループに発表していただきましょうか。

● 診療所班:草場
大学班のようにきれいにまとまっているわけではないのですが、大枠としては議論が一致できるかなと思います。
まず、カリキュラム全体の目標については、先ほど前文についての議論がありましたように、大きな家庭医の定義とかは今回はディスカッションしませんでした。目標に関しては前回のワークショップで話し合われた内容でもあり、大枠としてはすべての研修が修了した後に「家庭医療に必要な基本的能力と専門的知識を身につける」ということで、完全な立場で独り立ちするところまでは難しいかもしれないけれどここまでは、ということで設定しました。各論のほうは前回の枠組みをそのまま踏襲した形でいいのではないかということでした。
次に全体構造は、3年間という前提でディスカッションしたんですけれども、いろんな意見がありました。最終的には大枠として病院研修およそ1年間、診療所研修を2年間。あと選択研修を適宜いれてもいいんじゃないかという意見がでてきました。病院研修に関しては病院にて他科の病棟および外来を利用した研修。診療所研修は外来はもちろんですが、訪問診療、地域連携など幅広い内容にしていく。選択研修の位置づけなんですけれども、3年間の研修を修了したのちに、さまざまなキャリアに備えてある程度個別化した内容を追加で最後の時にしてもいいんじゃないかという意見もありました。
病院研修のほうですが、先ほどもかなり議論のあったところですが。我々のほうでもブロックローテッドと、いわゆる選択外来研修みたいなものの両方あるんじゃないかというディスカッションになりました。ブロックローテッドのほうは、ある程度まとまった経験が必要になるんじゃないかと。そういう領域について、例としては内科といっても比較的重症疾患を診る経験はこの時期にもっていてもいいかもしれない。あと小児科、救急、産婦人科など、こういった意見がでてきました。選択外来のほうは、診療所研修にのちのち組み込むことは可能でもあるのですが、この時期にすることもO.K.ということで、例としては先ほど議論にもなりましたが外科、整形外科、皮膚科、精神科、耳鼻科、眼科、放射線科、超音波、内視鏡といったものの研修を最初の1年間の間に入れてもいいかなというディスカッションがありました。あとはそれと並行して、ハーフデイバックということで病院の研修をしながら定期的に診療所研修を継続していくというシステムを、最初の1年間いれるということも意見としてでてきました。
ただ詳細、望ましい中身に関してはかなり班の中でも多様な意見がありまして、完全にこれですというところまで集約はできておりません。やはり初期研修の経験、診療所研修でのちのちに対応できる経験というものもありますので、確実にひとつにすることは難しく内容を個々の研修医に合わせて個別化していく必要があるかなと。非常に短期間ということもありますので、先ほどご意見のありましたように、目標をかなり明確にして絞り込まないと、単なる体験のような感じで終わるんじゃないかということで、非常に危惧する意見もでてきました。
続いて、診療所班のメインですが、診療所研修の枠組みということで、おおよそ2年間ですが。ここでまず話し合われたのは、継続性をどうやって確保するかという点についていろんな議論がありました。おおむね合意としては、一定期間継続する診療所研修ということで、診療所にFIXで、丸1日のような形でかなりの時間いる期間が必要だと。最低でも1年間は望ましいというところが診療所の意見でした。理由としては、四季を通じて、季節によって健康問題も変わってきますし、いろいろな行政とのかかわりとか地域の行事とか季節に応じて変わってくるんじゃないかと。夏にいる時期、冬にいる研修医で経験が変わってきますんで、1年間というのを最低限としたい。ただ初期研修の間にもしハーフデイバックみたいな形で初期の間から入ってる場合はそれを前提として6ヶ月などに短縮したものもオプションとして可能かなという意見もありました。それと同時に病院のほうで選択の外来研修をすることも場合によっては可能と。
もうひとつは、診療所を一つに固定するかっていう点ですが、いろいろな意見がありました。ディスカッションで対論としてでたものが複数の診療所での短期研修も交えて、たとえば2年間のうち1年間をひとつの診療所、あと半年、半年とかですね、複数の指導医や異なる診療セッティング、これは都市部、へき地等々ふくめてですが、そこから得られる多様な学びもやっぱり価値があるんじゃないかなという意見もでました。という点が診療所研修の枠組みということになりました。
内容に関しては、基本的には診療所にひたっていろんな経験をするってことがベースになると思うんですが、特に意見が出たものについてです。質の高い外来研修。これは前回のワークショップのときに話し合われたのですが、単に外来をやってるってことだと「じゃあ何なんだ」ということになってきて、他の専門の先生方とディスカッションしたり、ぼくらの専門性を出すときにアイデンティティが損なわれるんじゃないかということで、質の高い外来研修。ただやるんじゃなくて「きちんとやれる」というキーワードがでてきました。その内容については議論があるところだと思いますが、生活に密着した慢性疾患の管理をきちんとできる。行動科学・患者中心の医療を実践することができる。適切な検査や紹介をタイミングよく実施する能力。こういったものを中核としながら外来研修を基本にしましょう。もちろんそれ以外に、患者さんの生活に寄り添うチーム医療ということで、訪問診療、あとは地域の医療関係者とのネットワーク、さまざまなコメディカルとのネットワーク。こういったものを協調する。
続けて社会的資源ということで。地域保健福祉という概念は学会のたたき台の中にもあったんですけど、その部分はぜひ診療所に学んでほしいなということで。さまざまな地域のケアカンファレンス、介護関係者への動向の実習とか、いろんなものを入れていったらいいのいではないかと。あと予防医学、社会医学という点では健康診断や予防接種、学校医活動、産業医活動、こういったものもこめる必要がある。そして診療所の運営ということで、レセプト業務という意見も出たのですが、さまざまな面にかかわっていく必要があるということでした。こういった診療所研修をやっていくうえで管理面でやはり問題になるのが、大学班でも出ていましたけれども、指導医をどうやって認定していくかということが、一番大事なのではないかという意見がでてきました。ちょっと漠然としていますけれども、家庭医の資質を持った指導医の認定ということで、学会主導の指導医コースをきちんと設定してそれをきちんと受講して、指導医としての認定を受けると。あとは学会の指導医が相互に評価しあうような体制を使ってピュアレビューのような形で、アドバイスをしたり、形成的なフィードバックをしたりといったものがあってもいいんじゃないか。あとは訪問調査をしてちゃんと確保できているかということで、質の保証をしていく。こういった点で、きちんと認定してもいいんですけれども、そのあとをフォローするのが大切という意見がでました。あとはやはり、診療所ということで。多くの診療所をネットワークに入れるということになりますと、経済的な基盤、研修医の給料を誰が払うのかという問題が一番に現実的にはどうしても出てくるということで、意見がありました。そもそも一般診療所で後期研修を雇うことは可能なのでしょうか。それが難しいような状況であるならば学会、あるいは公的な機関といったものから支援を得ながら、何らかのプログラムを作ることが可能なのかという問題提起がありました。もちろんこれについては、まだ答えが出ているわけではないのですが、これから診療所班としてきちんと広げていくためには必須の議論だという点はおおむね皆さんの一致をみました。研修全体の評価という点ですが、評価については残念ながら時間が十分に取れなくて、話題が少ないのですが。もっとも大事なことは、定義するだけではなくて、場所を設定するだけではなくて、必要な能力をきちんと習得したことを評価するシステム、いわゆるアウトカムペイということで、第1回から話し合われていることですが、評価が一番大事じゃないかということで意見が一致しました。知識、技術、態度の定着。そして定期的に形成的な評価、総括的な評価、または相互評価をしていくことが重要である。なかにはユニークな意見がありまして、その他ということで。地域にあったプログラムが大事じゃないかということで、沖縄のほうで今プログラムを作成されている先生のほうからの意見で、たとえば沖縄での離島研修プログラムなど独自性のあるものとか、住民のニーズというものをやっぱり聞いていかなければ一方的になるんじゃないかとか。そういった問題提起。
あとは一定のレベルに達した専門医をきちんと提供することが地域住民に対する責任になるんじゃないか。そういった意見も出てきたということです。以上です。

竹村 ただいまのところで、質問などございませんか。
○○ 同じ診療所班のものです。研修医雇用の経済的な基盤というところが、僕自身は気になるところです。やっぱりこれがないと絵に描いた餅になってしまって、受け入れる側が成立しないという現実的な側面があります。学会のほうで何かこれについてお考えがあれば聞かせてほしい。
山田 すみません、今のところ何も考えていなくて。ただ診療所研修をどうしてもこのプログラムの中に入れていかなきゃいけないということで。そのプログラムの中でどこが基幹病院になって、その診療所研修もネットワークの中で計上していくかということになるので、そのプログラム内で。病院と診療所だけでこの研修プログラムを作るってことはおそらく不可能だと思うのです。ですから基幹病院というか地域病院というか、ある程度の病院が主体となってそれとリンクしたサテライトというかネットワークをもった診療所群というか、そういうことになると思うのです。たとえば一つの民間で開業していらっしゃる先生が研修医を受け入れて、それだけでプログラムを成立させるっていうことは不可能じゃないかなと。だから、なんらかの厚みを作ってそこでせざるを得ないと。そうするとひとつはプログラムのディレクターが所在する病院診療所群がこういったことをやっていかなくちゃいけないのかなと。そうすると、そのネットワークでそれぞれ雇用に関することは条件を取り決めてほしいと。大学に所在してどこか他のところにいかれるようになったら、そこと契約を結んでほしいと。そういったことになるんじゃないかなと。で、その人が、卒業3年目以降ですから、多少トレーニング的な、研修一本やりじゃなくてある程度労働力というとまた語弊があるかもしれませんけれど、働くことができればそれなりの報酬を得ることは当然のことだと思うので。確かにどういったことで、たとえば経済的なものを学会が支援することは、正直いってこの学会では無理なことで、そういったことが出来るところから認定を受けてもらうことになるんじゃないかなと。
今のところ国でも一般に、地域の診療所だとか保健所研修に行ったときでも給料を出してくださいって話にはなってないと思うんですね。初期研修でさえ半分の給料しか出していませんし。ましてや後期研修になるとかなり臨床能力も出てくるんで、やっぱり雇用という立場からある程度、現場、研修を実施されるところで何割でも負担していただけるようなことが一番適当じゃないかなと思います。
葛西 学会の立場はそういうことで、他の学会でもそれぞれのプログラムの人件費とか費用を含めた補助をしているところは、まあないと思うんですね。学会の研究の賞とかにはお金が出ますけれど。結局、学会というのは、収入は会費で成り立つのです。たとえば、皆さんから20万円会費をいただいても、それをそのまま20万円皆さんに還元することはできないのです。結構大変です、財源を得るというのは。たとえば、北海道家庭医療センターは10年間やってきましたが、10年間やってきたというのは結構泥臭い、自治省とかほかの医療機関、研修医を派遣する先とのお金の交渉があるわけです。これは結構しんどいです。プログラムディレクターは臨床的なあるいは教育的なことにかかわる時間以外に、かなり理事長とか病院長とか、そういったところに行って交渉するということが必要となって、まあそのためのワークショップが必要となってくるかもしれませんね。ま、我々のところは親元になる医療法人からかなりお金をもらっています。ただその医療法人のブランドを使って派遣する先の診療所とか、自治体、町村と交渉するわけですね。その派遣期間や貢献度に応じたもので、それぞれの派遣先によって期間は同じでも額は違います。これは交渉で決めていくわけですね。そういった努力もして、じゃあ研修医を来年度は何人雇えるかという話になるんですね。そういう泥臭いところもあります。ただそうやって一人でも二人でも多い研修医を雇えるようにしていく。現実的にはそういったことしかないですね。で、今はある県や大学と交渉してお金を出すっていうこともしてますけど。やっぱりみんなそういう努力をしているってことです。そういった努力がいくつかのモデルを作ると、国のほうでも「こういうことに少しお金を使うんだな」という話になってくるんですね。適切に示さないと国としてもお金は出てきませんから。将来的には国からもある程度の家庭医の研修プログラムを作るんだったらこれくらい、といった補助が出てくるといいなと思っています。が、まだそれは確約できないし、まずは皆さんがそれぞれの現場で泥臭く交渉を続けて、少しでもお金をもらえるような、一人でも雇えるような努力をすることじゃないでしょうか。がんばってください。
竹村 今のことですが、かなり多くの施設で問題になるんじゃないかと。労働と教育のバランスというところで。教育のところで十分にお金を出さないところが多いんじゃないかと。もしよかったら、松下先生と藤沼先生、言える範囲で先生方のところはどういうふうにされておられるかお話くださいませんか。
藤沼 今回はぼくらのところは、いわゆる法人では作ってないんですよ、プログラムは。だから診療所がコアになって他の施設と契約して作る形になっており、今回他の法人の施設との交渉は非常に大変だったです。たとえば、さっきの話につながるんですけれど、3ヶ月小児科をやってくれといったら金は出しませんね。3ヶ月勉強させてっていったら3ヶ月常勤の金を出しますってところはないです。どうしても6ヶ月来いって話になる。6ヶ月だったら出します、じゃあ6ヶ月にしましょうかって話になってしまうんで、結構お金の出所がどのくらいのデゴシエーションによって何が学べるかってことで決まってきたところがあるので。同一法人だと簡単だと思うんですけど、他の法人と組んでやってみると非常に大変だという印象をもってて、そのことがカリキュラムに影響しちゃうってことも。逆に何ヶ月やってくださいって形で決まっちゃうと、交渉が難しいという泥臭い話になってしまう。あくまでプログラムと目標で一気に押し切る形で。
松下 奈義ファミリークリニックは今年4月から津山中央病院(別途法人)と組んで3年間のプログラムをやろうという予定です。3年目の1年間は津山中央病院側からお金を出してくれる。こちらが持ち込んだ話にもかかわらず、なぜそう言ってくれるかというと、救急が非常にきつい病院なんですね、そこは。救急医療の重症患者を診せてほしいとこっちの側からいいにいったところ、お互いにニーズが合って、人手が足りなくて猫の手も借りたいくらいだからぜひ来てくださいと。ただフルで内科の研修だけやらせるわけにはいかないので、小児科とか産婦人科ももちろんまわらせたいんですよという話で。当初、内科に8ヶ月の話をもっていっているんですが、院内でうちら側の研修医と相談して6ヶ月の内科にしたほうがいいんじゃないかなという話が出てきてて、病院側がそれじゃあ話が違うってことになるかも。せっかくきつい病院で働くので、もう少しいい面もアジャスタしたいし。そういう意味で、ギブアンドテイクで1年分のお金はむこうが出してくれて、残り2年間はうちの診療所でかかえられる研修医の枠ということです。うちは、指導医はぼくだけで、残り二人が後期研修医の3人体制でなんとか5年間やれてはいるのです。ただそれは、建物は町が建てたもので、設備も母体病院のお古を使っているので、借金がないんですね。だから一般の診療所の状況で考えると1診療所に一人が精一杯なんじゃないかなというのがぼくの印象ですけれど。うちは借金をかかえていない分、二人かかえてもなんとか。逆に医者対看護婦のバランスがアンバランスで、看護婦さんのほうが少なかったりしますけど。
これから規模を拡大しようとすると(もう1つ診療所を作ろうかなと構想しているんですけど)まあ営業努力をしないと研修医は抱えられないという現状があります。現時点ではそうしていくしかないんじゃないかなと思っています。将来的には、国民の皆さんに役に立つ医療が出来るんだという方針で国がバックアップしてくれると、より受け入れる診療所が増えるんじゃないかなという気がします。藤沼先生のところは何箇所も診療所をグループ化しているってところがいいなと。うちの目標にしたいなと思っています。
葛西? すみません。ひとつ追加すると、北海道の場合、その財源としてそれぞれの派遣先の診療所や自治体もそうなんですが、北海道庁からも地域に貢献する医師を養成しているということを強調してお金をいただいています。これは研修医を何人も雇える額ではなくて、年間600万円ぐらいです。ま、それぐらいは貰えてますので、皆さんのいるそれぞれの都道府県、あるいは市町村に働きかけるのも一つの手段だと思います。
○○ もうひとつ補完すると、さきほどの話のように医師確保に困っているところはマルを出しやすいというか、ニーズがマッチしたといえば表現はいいのでしょうが。我々の努力として、ある程度研修医にも現場に出て働いてもらうということのかね合わせだと思っています。
  そう意味ではこの次の病院グループの発表にもあるかもしれませんが、比較的ジェネラルな立場でやってる小さな規模の地域病院といったところは非常に医師確保などに最も深刻な状況で悩んでおられると。そういったところのフィールドを活用すると、ひょっとすると資金の面などでも、あるいは先ほど議論のあったスーパーローテッドの中で本当に求めたいのはジェネラルなことだったり、救急のことだったり、外来でのことだというと、実は大きな病院でのスーパーローテッドよりも小さな病院でのジェネラルなものがマッチしているんじゃなかいかなと。そういったところに目をつけてもらえると、今日本で本当に一番困っている病棟管理、救急、地域の中小病院といったところに少しでもこのプログラムが貢献できると、いま困っていることをこの学会が助けてくれるんだというところが今回アピールできるとちょうどいいんじゃないかなと思いますので、そのことをちょっと意識していただけるといいかなと思います。
竹村 では次、病院班、お願いいたします。

● 病院班:○○
私どものほうでは、最初メールのやり取りがなかなか進みませんでして。1月5日に後期研修プログラムのたたき台が到着しましてから、ぼちぼち進みだして。診療所グループと大学の研修のような全体のまとまりはありませんけれども、それなりの議論が出来たのじゃないかなと思っています。
本日までのまとめですが、まず学会から送られてきたたたき台のプログラムをもとにしました。大きく分けるとまず、ガイドラインは出来るだけ具体的であってほしいと。そしてわかりにくいと思いますが、移行措置。たとえばどういう人が指導医になられるのかということを示してほしい。ディレクターはどういう人がなれるのかということも示してほしい。まあ、家庭医療専門医でなくてもこういう移行措置があるということをプログラムの中に明記してほしい。また他の科をローテッド中の方で家庭医になりたち方への移行措置ですね。その次がカリキュラム評価。本当にちゃんとした研修をやっているのかどうかってことですね。その次が研修領域の表記方法について。私どもではここが一番議論が出てきたところです。その次に3年間の継続外来ということがありましたけれど、これがやれるかどうかということ。
カリキュラムへの表記ですが、やはりガイドラインは具体的であってほしい。なぜかというと、ガイドラインが分かりにくいと新しく家庭医療を開設しようとしている施設がなかなか分からない。新しくやりたいというところには、やれるようにしてあげてほしい。同じように研修ガイドラインは家庭医療の質、研修の質を維持するために必要だろうと。
その次に具体的にどうすればいいかということですが。アウトカムを具体的に表記してほしい。専門各科の先生が課程医療を育てるために力を貸してくれるわけですけれども、その時に何を教えればいいのかということを、初期研修と家庭医療研修の何が違うのかということを明らかにしてほしい。ここのところがないと、何を教えたらいいのか分からないし、何を学べばいいのかも分からないし、とにかくモチベーションだけあって何とかなったっていう研修になったという可能性があって、うまく研修ができた人と出来なかった人が出てくるかもしれない。アウトカムの何を具体的に表記するのかというと、求められている医師像、それが医師不足の中で求められている医師、あるいは国民に求められている医師というもののニーズ調査をやはり行ったうえでのアウトカムをはっきりしたうえでカリキュラムが作られるといいんじゃないかなと思います。
移行措置ですが。まずディレクター養成と指導医養成についてですが、この点については先ほども出ていましたが学会主催のワークショップ、セミナー、FDなどを行い、何単位以上を取得すればいいとか、分かりやすい移行措置があってほしい。次に、他科医から家庭医への転向ですが、海外などではこれまで内科の●●をやってきた方が家庭医になる場合はそういう分野に関する移行措置があると聞いていますが、そういったものがあってもいいんじゃないかと。その次にカリキュラム評価ですが、本当に家庭医療をやっているのかどうかを評価する方法がないとハコがあってプログラムがあるけれども、実際はなんとなく日常業務に追われているという可能性も出てくるんじゃないかと。全人的医療はどうやって評価するのか、継続的医療は本当にどういうふうに研修医が習得したのかってことをなんらかの形で評価できるようにしたほうがいい。ついで、個別の研修領域についてです。これは家庭医療学会からまわってきたたたき台を引用しています。これには内科、外科、救急医学とありますが、この点について違和感があるという議論出ました。各科の研修の集合が家庭医と誤解される可能性がある。国民も誤解するし、各科の指導医も誤解するし、研修医も誤解するので、これはあまりよろしくないんじゃないかと。「○○科を何ヶ月まわればその科を習得できる」というのは理解しにくいんじゃないかと。実際にローテッド研修を受けられた方の意見として、そこがあいまいであると専門医が何を教えていいのか分からなくなってつらい思いをする。お互い満足しないことになるんじゃないかということでした。
表記のアイデアとしては、幼年期、思春期のケア、成人男性のケア、成人女性のケアといった大きな領域分けをして、それぞれの項にcommon problemsを入れてやっていくのがいいんじゃないかと。そしてcommon problemsの扱いについてもある程度具体的な境界線を入れるべきではないかと思います。いわゆるガイドラインというのはそんなものだと思います。
研修領域に関する案ですが、研修プログラムが各科の担当者に理解しやすい内容である場合ですと、提供してもらえる研修の質が高まるのではないかと。では、何を教えてくださいとはっきりしていれば余分なことは教えずにすむし、研修のモチベーションもあがるので教える喜びもでてくるのではないかと思います。具体例としては、胸痛という主訴に関しては、初期診療で対応が可能なこと、対応すべき胸痛の判断、対応方法。具体的に循環器内科へコンサルトすべき疾患の判断、初期対応、具体的診断名。呼吸器内科へコンサルトすべき疾患の判断、初期対応、具体的疾患名。こういったものを作るのは大変なんですけれども、大案としてやはりもっていないと、たとえば小児科へ移動したときにこのプログラムを見ればずいぶん指導医が分かるという。そこが漠然としているとなかなか分かってもらえないことになる。
話はとびますけれども、3年間の継続外来についてです。研修病院、地域の病院、診療所等をリンクして研修を行う場合ですと、どうしても継続外来を行うことが難しいということで、これを何年以上にするというところで、自分のところはなかなか厳しいという意見がでていました。出ていた意見のひとつとして、継続外来のアウトカムは何か、継続外来を行うことで何が得られるのか、ということをはっきりさせないと、継続外来を何年間と書いてもあまり意味がないんじゃないかと。たとえば継続外来を何ヶ月やると何が得られるといった議論もしたほうがいいんじゃないかと。まとめですけれども。具体的なガイドライン、移行措置、カリキュラム評価、研修領域の表記方法、3年間の継続外来。こういったところがありますけれども、私どもなかなかプログラムそのものが出てこなかったんですね。その理由のひとつとしては、最初にどういう指導をつくりたいのかという、アウトカムをはっきりさせてなかったっていうのが原因じゃないかなと思っています。私も反省しています。以上です。
竹村 ではまた後ほど皆様のご主張が深くなると思いますので、今から5分程度の休憩をはさんで、全体の討論にしたいと思います。

竹村 皆様お戻りになったようですので、議論をまた続けたいと思いますが、ここからはできるだけ同意を得たいなと思います。同意に向けて活発な議論をしていただきたいのですが、たたき台がないとなかなか前に進まないので、こちらのほうから先日お出ししました執行部案をもとに、少し変えていくような作業をしたいと思います。期間についてもいろいろなご意見がありました。5年ではなく6年だとか、このへんのところ、いかがでしょうか。
山田 北海道家庭医療センターの山田です。先ほどcommon problemsの表記の仕方ということに関してすごく議論されていて、私もいろいろ意見があるのですが。病院チームのほうでまとめていただいて非常にいいなと思ったのですが、すべての項目について細かくするとおそらく100ページ近くになるだろうと。これ、専門医の先生に対して説明するのはすごくいいと思うんですけど、じゃあ文章に書いた以上、常に研修医はそれに到達したのかを評価することがつきまとうのですね。するとその100ページにおよぶものをみんな本当に利用するのかどうかっていうところが。指導医の仕事は多分半日ぐらい研修医の評価に費やされるとか、または経験できない症例もあるわけで、そのときに穴ができちゃった状態で研修の修了の時期がきたときに、その人を合格にするのか、不合格にするのか、そういったことまで悩んでしまうような現象ができてしまうんじゃないかなと思います。いたずらにいっぱい書き込んでしまうのも考えものだなと、ちょっと悩んでいます。それで、私どもの施設のほうで、私どもが扱う疾患の知識に関してまとめてみたんですけれども。病院グループが出してくれたように幼少期・思春期、成人男性、成人女性というふうに、ぼくたちも内科外科という枠じゃなくてまとめてみました。その中で特に疾患名を並べるより症状でまとめていったというか、胸痛とか関節痛とか、症候でまとめていくと、研修項目としてはすごくすっきりとまとまるのではないかなというのがひとつ。さらに症候だけではなく。ぼくたちが普段外来で診ている疾患で、よく診ている疾患に関しては専門医と同じレベルで議論できるぐらいの知識をもっている疾患もいっぱいあると思うんですね。私たちの知識っていうのは非常に幅広く上乗せされていて、ある疾患に関しては飛びぬけて得意な分野をいっぱい持っているというような知識や技術の枠組みだと思います。その部分に関しては疾患名もあげて、しっかりかなりのレベルまで出来るっていうことを保証していくような文章にしていく。そうすると、意外と評価側からしても項目がそんなに多くならずにおさえていけるんじゃないかなというふうに思っています。
竹村 ここで、病院グループから追加ということで発表があります。
○○ プログラムのたたき台に使えるものを見つけましたので、紹介させていただきます。これは、HGMEが出している●●●という本からとったものです。さきほど、施設はこういう施設がいいとか、スタッフはこういうスタッフがいいとかいろいろ出されていたと思いますが、全体のどういうところをチェックするとプログラムとして妥当かということがまとめてありまして、(なんでしたらメールで日本語訳をまわしますが)研修期間であるとか、施設、研修医の採用であるとか、●●の必要条件、ボード、●●制、家庭医療センターはどういうものであるべきか、カンファレンス室、機材であるとか、全体像をある程度網羅するようなものがあってもいいんじゃないかなと思いました。これだけ最後に補足させていただきます。
○○ 病院チームのほうで出していただいた形で、私もいいなと思って。(図表を掲示して)こんな形で分けさせていただいて、どうしてもはみだしてくる動機別の問題があったんで、下に付け加えてあるんですが。たとえば、循環器系は症候でいうとこのくらいしかなくて。循環器系は比較的外来で扱う疾患も多くて、疾患だけでいうとちょっと多くなってくるんですが、それでも限られたものを外来で一生懸命みるのは●●かなと。で、めったに診ないような病気はオプションという形にあてさせてもらっているのですが。学会ではこのオプションを全部消してしまうと、非常に少ない症候と疾患名だけでなんとかやれるんじゃないかなと。で、すべての項目になんとかのレベルをつけるんじゃなくて、頭書きというか、たとえば疾患のところに「以下の疾患について家庭医が管理できるレベルまで教えてもらうこと」と「専門医に送らなきゃいけないレベルまで教えてもらう」ということを明記しておくときっちりとまとまると思います。
竹村 非常に有用な資料をありがとうございました。他にプログラム案を作るにあたって何かございませんか。
大西 先ほど研修認定施設みたいなことで出していましたが、おそらくこれがある程度制度としてうまくいくと、最低限の努力でこの認定医がほしいという人が出てくるかなと思います。そこで最低限のレベルでどのように保証するかということが、なかなか難しいと思うんです。特に診療所も病院もいろんな規模の研修医が入っていると思うので、そうしたときにプログラムというのか、どこに属しているかですね、病院に属しているのか、診療所に属しているのか、あるいは個人に属しているのか。今ぼくも診療所に毎週行ってまして、そちらのプログラムの進行とかみていると、かなり個人ベースで進んでいるんですね。もうそれぞれの人が違ったプログラムで動いている。で、最低限何が大事ですかっていう話をしたら、「1年間の診療所研修は最低限だけれども、あとはどうかな」と、そういうふうな感じです。今1年でこの研修を受けようという人がたとえば数十人とか100人という数であればおそらく10人ぐらいの委員がプログラムをひとつずつみて「あ、これだったら認定」とひとつずつ認定できるんじゃないかなと。もうちょっと数が増えた時点では施設単位での認定を考えてもいいけれど、今のところはそういう個人ベースという考え方を提唱したい。
○○ 補足ですが。完全なアウトカムは決めてあるので、ところでするO.K.っていうんじゃなくて、最終的にこれやりましょうっていうのは、そこまでの準備など施設の都合で多少違うので。アウトカムはやっぱり、研修目標はないと出来ないので、これは大事だと。
○○ 先ほど山田先生に話していただいた内容と同じようなことを考えていたのですが。学ぶ者のために役に立って、教える者のために役に立って、最終的に評価に役に立つものが出来れば、たとえ量が少なくてもいいと。量が多いと当然使われなくなるので、適度な量がどのくらいかというのはあると思うのですが、あとはどのくらい高頻度の疾患をカバーできるかということをクリアしていればある程度のまとまった内容で、しかしある程度つっこんだ内容の部分を残して、それが20〜30ページなのか分かりませんが、出来たらいいなと思いました。
竹村 いろいろな意見が出ておりますが、執行部案をもとにして議論することでよろしいでしょうか。削るべきところは削って、増やすところはご意見をいただいて増やすということでよろしいでしょうか。具体的にちょっと議論をしていただこうかと思います。研修期間に関しては、3年でいいかということと、プログラムを変更していいかという2点ですが。他に付け加えるご意見がございましたら。
宮崎 後期研修の間は原則としてプログラムの変更は不可能である、ということを入れたそもそもの理由は何でしょうか。
竹村 継続性ということが第一にあると思います。患者等をがらっと変えないためです。たとえば、プログラムを最初北海道でやっていて、途中本州の違うところで研修をやるのはあまり好ましくない。今までずっと診ていた患者さんたちのポピュレーションから、今度はまた違った人たちを診ることになる。そのようなことをしない、ということです。
宮崎 別のプログラムに移るということですね。
竹村 そうです。
宮崎 内容の意味じゃないですね。
竹村 内容じゃありません。
小西 個人ベースのプログラムで。たとえば精神的に休まないといけないような状態になったとか、あるいは妊娠出産や転勤で。そういった時にプログラムを改めて提出しなおして、上層部がこのような変更であれば認めようという特例を認めておいてもいいんじゃないか。おそらくそのことが家庭医療の考え方にあっているんじゃないかと。
山田 これは表現が不適切だったかもしれません。研修施設とかプログラムディレクターを変えないというか。3年間でプログラムを組んでいるので、1年目はこうしようとか、プログラムごとに違うと思うので、研修施設の変更を原則的に認めないということですね。それ以外に研修内容については、プログラムを変更しても別に問題はないというか、その3年間の中で到達目標に合わせたものなら、大幅な変更にならなければ、内容を組み替えるこのなら何も問題ないと思います。
○○ この3年間という大きな区切りをお考えのようでうが。先ほど先生がおっしゃられたように出産とかだと1年あいてしまいますし。たとえば夫婦で転勤になった場合は施設が変わらざるを得なくなる状況とかも出てくるとは思うのですが、そのへんはどうお考えですか。
山田 実際には研修期間は休む期間は省いてトータルで3年は受けていただきたい。出産しても前の経験がなくなってしまうことはありえなくて、その間に休んでおられても問題はなくて、研修された実質の期間が3年間トータルで必要だということですね。そして転勤された場合などは内容が変わってしまうので、認定を受けるためにはやっぱり同一プログラムで3年間ということが必要だということです。これは他の専門医評価機構がいっているのは、初期研修修了後に3年間は必要最低限のレベルだということで。3年間は必要だろうということで、したところです。
竹村 それでは、3年ということは、これでよろしいでしょうか。そしてプログラムディレクターを変える、変えないという話ですが、基本的にこれは残してよろしいですか。ただし、注釈付きで、理由によっては学会の判断ののち変更を可能とするという形でよろしいでしょうか。言葉の変な箇所は後ほどなおしますね。あと研修期間については付け加えるところはなかったと理解していますですが。
○○ すみません。大学班から出したと思うのですが、専門研修もある程度期間が必要ということを考えると、3年というよりも3年以上かなと思います。
山田 ご提案のあった大学病院グループの内科認定医の問題だとか、他の認定医のかねあいもあるので、といったお話だったと思うのですが。4年間のコースで家庭医と同時に他の後期研修の認定医が抱き合わせでミックスされたプログラムがあると思いますが。少なくとも家庭医療に焦点を絞れば3年間ということで、単純に提示しておいたほうが。他のプログラムとのかねあいで、こういった別の資格も取るためにうちではプラスアルファしましたと。プラスアルファされることに関しては特に問題ないと思うので。その場合、家庭医療のエッセンスも、内容も含めて家庭医療はここまでやって下さいと。むしろ3年間に決めて修了したときに少なくとも家庭医の修了のための評価をしなければいけないと思うので。後期研修は3年で、その内容はこうですときっちり分けておいたほうが分かりやすいんじゃないかというのが我々の考え方です。ご意見があれば。
北西 質問です。大学チームとしては3年以上とした場合、たとえば4年間、5年間のプログラムでは家庭医の専門医試験を受けるのは、どの段階で受けるのかと。3年目で受けるのだったらそれでいいと思いますが、その先の、付加的な4年目、5年目が終了したときに受けるんだったら、家庭医療の研修自体を4年、5年かけてやっているということになるので、ちょっと。質の保証ということでどうなのかなと。
○○ そこまで考えてなかったのですが。やったほうがいいんじゃないかという項目をあげて盛り込んだときに、どの施設も、それが3年で修了できるのかどうかという点で、実際に大学班が考えているプログラムでは4年をかけて達成しようとしているところがありまして。3年でプログラムにすべて盛り込まなければいけないのかということになりました。
竹村 具体的には後期研修3年で出ていけるけれども、4年5年の場合は、将来専門医になっても、もうちょっとその研修場所にいなければならない。
北西 後期研修は3年後でなく4年間ではじめて認定医になれるのですか。●●…
○○ 認定医のことまでは何年でということまで考えて相談はしなかったのですが。
○○ 今すでに家庭医コースを出している施設は、ものすごくたくさんあるんですけど。その中にはたとえば、半分以上小児科っていうコースもありますし、在宅を中心にしているコースもあります。現時点でもう出しているプログラムはものすごく多様なんですね。そうすると現状でこのガイドラインを示されたときに、いま作っているプログラムとの整合性を合わせるうえでは、このプログラムをのばさないと元々のプログラムを大幅に変更しなくちゃいけなくなる。だから3年でミニマムいけるけど、プログラムの特質ということから4年で修了ということにして、そこまでで家庭医療学会のほうはミニマムリクライアントはきちっと保証しますというぐらいの3年という意味合いですよね、これは。これが出て、3年でなくちゃだめだっていう話になってしまうと、かなり全国で大変なことになるような気がするんです。国立浜田とか島根大学はもうプログラムが出来てるんですよね。それをふくめると、大幅にここは認めんという話になると、仲間が増えないので。
○○ なるべく単純に表記するために3年という話か、いちいち注釈を入れて3年以上とか、それだけの話ですよね、結局は。今の先生のお話では、あえて注釈をつけておいたほうがいいということですよね。
山田 表現の仕方だけだと思うんですね。まあ家庭医療として、いま雨後の筍のようにいろんなところで家庭医療という名称が使われていて、それがそのまま野放しに大きなネットワークの中でも、必要とされる家庭医像とか、何らかのスタンダードを構築しようとしているんですね。あまり小児科と整形だけやった人が家庭医療だといわれても、ちょっと認めにくいところで。今そういった構築していく段階なんで、家庭医療学会としてそういう指針を一度打ち出してみるという意味で。反応があったらまたすぐ撤回するとか。僕としては、3年で内容はこうだというのを打ち出したほうが。最初からネゴシエーションみたいなことを意識してやるっていうのは、他の学会との協調ということもありますけれど。それはもちろんこれから構築していきますが。家庭医療学会としては、あくまでもクリアカットにこれからの必修科後ということで打ち出したほうが。お医者さんにとっては受け入れやすいかもしれないけれど、世の中の人にとっては、なかなか何が書いてあるかわからんと。むしろ、こうしたことをこういったふうに我々としては提唱していますといったほうがスマートじゃないかなと思っています。
竹村 いかがでしょうか、よろしいでしょうか。・・・では、3年ということでいかせていただきます。続いて、研修場所についてはいかがですか。プラスアルファが必要なんじゃないかというご意見が先ほどありましたが。
○○ ソフトが大切でハードはそんなに大切じゃないというのはその通りだと思いますが。たとえば病院の規模は問わないと書いてありますが、先ほども大学班のほうからも報告があったように、臓器別だけの大きな病院よりは、混合病棟といいましょうか、少なくとも総合診療病棟とか教育を担うような病棟がある病院のほうが、家庭医を教育育成していくうえでは有意義かと思いまして。はたして今の大学病院のような大きな病院で、総合診療部があるといっても、それほど認知されていないような病院で研修した先生が、将来家庭医として本当に成長していけるのかと考えると。規模は問わないというのはその通りなんですけれど、●●病棟あるいは総合診療病棟での研修が望ましいと注釈をつけていただけると。自分が弱小規模の病院で研修してきて、小さな病院のほうがやはり家庭医の育成にはいいんじゃないかなと考えまして。
○○ 基本的に内科の認定医をとるということとはまったく関係ないのかあるのか。
竹村 大学とかいわれちゃったのですが、いかがですか、大学病院では。
○○ 大学班のほうではまったく同じ意見というか。内科の研修内容のところで、そういうことを述べていました。内科のブロック研修をするときに総合病棟のほうが望ましいと。それをここに表記するか。うちは内容のところにあえて表記したのですが。またそれを望ましいという表現にするのか、こうじゃなきゃだめと表現するのかで違いはあると思いますが。望ましいのは、考えは同じです。
竹村 ストラクチャーに関してはよろしいでしょうか。
○○ 大学のほうでは老健なんかも内科のほうに当たるんですけれど、老健も必修にしたいという話もあって…どうなのかなと。そこに入れるかどうか。
山田 研修場所については、病院にもいろんな病院があるし、老健だっていろんな老健があるし、診療所でもいろんなものがありますから。私の意見は、プログラムという項目の中に、外来における患者中心のケアとか、近接的なケア、継続的なケア、包括的なケア、保健や介護関連の活動、家族指向、地域志向のケアとか書いてますよね。これが学べる施設という条件をつければいいではないかなと。実際自分たちのプログラムで使うにはこの老健はあまり合わないという老健も出てくるだろうし、この病院は大学病院だけれども患者中心のあるいは地域志向が学べる病院になっているかもしれないし、ということがあるので。名前だけで判断してしまうと困る。内容としてこのプログラムが学べるということを1行加えた研修場所としたらいいではないかと。
竹村 いかがでしょうか。その他下記のプログラムが学べる施設、などと書き加えますか。
○○ 必要であるとうたっちゃうわけだから、それがないとプログラムができないことになってしまう。内容でちょっとすすめることはいいと思うんですが、できるだけないほうがいいと思います。
竹村 では、この2施設ということでよろしいですか。
○○ 先ほどの先生のお言葉とまったく同感ですが。地域に密着した病院がこのような家庭医療のプログラムを作ることを我々は期待しているというメッセージを携えると。大きな大学病院や大きな病院でこの家庭医療のプログラムを作ることよりも、小さな病院や診療所が合体すれば、すぐにこのプログラムを、内容さえしっかり吟味してもらえれば、いろんなところで出来るっていうことが携わるといいと思います。この「規模は問わない」っていうことは、これはこれでいいと思います。
竹村 次に、人材というものを規定したほうがいいか、ですが。いかがでしょう。いろんなご意見が出ていて。もっと詳しくというところもありましたし。
松下? 4番のコメディカルはいいんですが、カッコの中の検査技師、放射線技師を必ず含むと書かれている理由がよく分からないのですが。なぜ「必ず」と言い切らなければいけないのかなと。
竹村 これは、いわゆる家庭医であれば検査が出来る。画像を採取するだけでなく撮れるということも必要かなと思うと、それを指導する人がいるかなということで入れてみました。研修医が自分で検査が出来るためにいるということなんですが。別になくてもいいんですけれど。消しましょうか。
○○ つまり、じゃあ他のコメディカルは別にいらないのかっていう話に。そんなにひとつの職種に取り立てていう意味があるのかっていう気がして。
山田 この研修プログラムに係わる人を全部あげるとたくさん出てきてですね。大変になりますし、またそれを満たさないとプログラムが出来ないってこともありまして。この人材という規定の仕方を(執行部案なんだけれど)こういう形にはせずにプログラムディレクターの規定、それから指導医の規定。それぐらいでいいんじゃないかと。あとはそれぞれのプログラムで目標である研修内容を到達するためにいろんな人の協力を得ているわけですから。プログラムディレクターはどういう人なのか、それから指導医はどういう人なのかということを規定すればいいのかと。じゃあ指導医とディレクターだけでいいのかというと、そういう議論にはならなくてですね、他にもいっぱい我々は協力を得るわけですから。少なくとも規定がいるのはその2職種かなと思いますが、いかがでしょうか。
松下? 大学案で書いてあるような必須じゃないんだけれども、あったほうがいいという職種が。コメディカルとかSPとかがあげてあるのが面白いなと思ったんですけど。特にSPと書いてあるのが面白かったですね。
竹村 コメディカルはいかがいたしましょう。教育のために必要かどうか。
○○ 大学班でもやはりそのことで意見があったんですけれど。ここにあげた人というのは、ただここにあげたというよりも、検査技師さんや放射線技師さんなど、そういう人も含めて教育的なフィードバックを受ける必要があると判断すれば、やはりそのことを書かなくてはいけないし。そうじゃなくて、そういうことが学べるという内容が保証されていれば、あえて誰々というあり方は必要ないんじゃないかと。どちらかというと、何が学べるかっていうことが大事で、この人に学ばなくちゃいけないってことは。プログラムディレクターや指導医はこうあるべきというのは必要でも、他の人に対してはどうかなという意見です。
山田 今の意見はいいと思いますね。この研修プログラムというのも、やはり他の人たちや市民の人が見て「家庭医療学会って違うな、いいな」と思うものがいいと思いますね。だから前文に関しても、たとえばですよ、家庭医療の専門医を養成するプログラムの中では、いろんな人の協力が必要である。その中にはコメディカルの人たち、地域の人たち、患者さん、そういう人たちからも学んでいくという前文をつけて。そしてそれを統括するものとして以下のものがあるという形で、ディレクター、指導医、と書けばいいんじゃないかと思います。
竹村 それでは具体的には「次の要員が確保されていることが必要である」ではなくて、どういう形がよろしいでしょう。
山田 たとえばですね。3.人材。家庭医療後期研修プログラムは、いろんな人たちの協力で成り立っている。コメディカル、地域の人たち、それから家庭医療の利用者の人たちから学ぶことが多い。そのあとに、プログラムを統括する者として以下の者がいる。
○○ 制度的にそれを保証するものとしてプログラム委員会みたいなものが設置されていないと。具体的に●●を保証するシステムがなくなってしまうので。
○○ プログラム運営委員会を設置せよ、みたいなものはあってもいいと思うんですがね。そうしないと、制度的に保証する雰囲気にならないので。●●先生のおっしゃる通りなんですけれども、プログラム運営委員会の設置が望ましいのは管理委員会ではないかと思っていますがいかがでしょう。
山田 初期研修でもそういう委員会の設置が書かれてますので、後期研修でも自然の流れとしてあるだろうという想定ではありますが。今いわれた形で、どこかにプログラム運営ということでの項目を付けてもいいと思います。
竹村 人材はこういうことでよろしいですか。「さまざまな職種の人々で成り立ち、おののが研修に必要であるが」。長いのですが、どうですか。ディレクターは特に議論のないところだと思うのですが、指導医に関してはいかがでしょうか。大学班のほうでも指導医は家庭医療専門医でなくてもいいとか、であるべきであるとか、もしくは2つ併記されていますよね。専門的なことは専門科にローテーションで学ぶと。どういたしましょうか。家庭医療の指導は2つに分けますか、指導医を2つにして・・・。
宮崎 大学班ですが。うちの班ででた話では、ディレクターがちゃんとしっかり全体を。ま、それぞれの専門医と話もするし、指導医がちゃんと出来ているか統括するし。そのディレクターが自称ではなくて、各学会が育成して認めたディレクターであるべきだと。そこさえはっきりしていれば、指導医の義務がどうとかをやりだすと、今の時期ではどこも始められないんじゃないかと。とにかくディレクターかなと思います。
○○ 指導医に関してですが。当面、家庭医療専門医が指導医であるということになれば、どこもやれなくて、現実的ではないと思いますが、ゆくゆくはそういう形にもっていくということが一つ。もう一つは、家庭医療指導医にどんな人がむいているかというと、おそらく初期研修で指導をちゃんと行える医者で、領域を知っている医者であればそれに匹敵することができると思います。結局その●●はスキルの指導であって、その領域をどれだけ知っているかであって、その領域をどれだけやったかということではない。家庭医でなくても教えられると思います。何が大切かというと、指導医であるかどうかの保証をしていかなくてはいけないので、つまりベテランの医師であったとしても指導医であるとは限らないのですから、そこの補完を学会のセミナーないし初期研修の指導医講習会に出た者とか、なにか同じ指導医像を示す言葉で代用すれば、研修上の問題は起こらないんじゃないかと思います。
○○ 今のご意見に感じたことですが。非常に難しい問題だと思うのですが、指導医とディレクターという立場を分けて考えていくと。少なくとも指導人の中に、学会が認定する家庭医療と大枠で一致した経験というか、現場の実績のある方が入っていないとまずいんじゃないかなと思います。技術があって、家庭医療の分野の知識がちょこちょこあってというところでは、たとえば地域の包括性とか、ネットワークの作成というところで困るんじゃないかと思います。ですから全指導医がまったく同じ経験をする必要はないと思います。なにがしかの形でそういう経験をもった方がディレクターとかいった形に入っていると保証しないといけないのかなと。で、家庭医療専門医でなければいけない、ということは今は出来ないということは今おっしゃった通りなんですが、少なくともたとえば、指導医の履歴とか、当面は移行途中で履歴を出して学会の暫定的な認定指導医という形で、この1〜2年間は移行期であるとか、保証しないと。今はディレクターがかなり全体の質を決めてしまうと思います、システムがまだきっちり出来ていない段階ですので。そこはちょっと厳しいかもしれませんが、学会としてはそこを譲りはじめるときりがなくなるのではないかと思って、ひとこと。
山田 今の●●先生や宮崎先生のご意見はもっともだと思います。当然、指導医を作らないとプログラムなんて始められないということが、世間のもっとも一致したところですので。ただ、いま現状として出来るのは、このプログラムを起こして、こういったことに対してきちんと確保するということに、いったいいつまでに何が出来るかっていうスパンを考えないと始まらない。ということで焦点はプログラムディレクターだけに絞る。とにかくそういった人には、ぼくらが非常に厳しい条件を提示する。それ以外はもう、しばらくは教えられる人とか、国家医師免許をもっている人とかに。それぐらいゆるくしないと。そのかわりプログラムディレクター、このプログラムを学会認定としてやっていく人たちは、たとえばこのワークショップに3回以上出席したことのある人だとか、あるいはこれからやる学会が推奨するいろいろな会に参加して何らかのことが認められる人だとか、学会との関連をしっかりして、プログラムディレクターのネットワークをしっかりするっていうことが今回一番重要で、できることじゃないかなと。そこらへんのことをきっちりやって、その後のことは各現場できいて、現状をふまえたうえで各指導医や関係者が考えていけばいいんじゃないかなと今お話を聞いてそう感じました。今回この構築のためのワークショップは3回目ですが。すべて出席していない方でもかなり大事なものを共有できていると思います。私はここに参加している皆さんが、ディレクターないしはその主要な指導医になっていくべきだと思います。個々の研修プログラムのアイテム、知識、技術というものはもちろん大事ですが、これから各地でディレクターをやっていく人は日本の中で、いろんな困難の中でも家庭医療のプログラムをやっていくんだという共通した認識を持ってもらって、とくにこのネットワークっていうのは大事で。一応この3回である程度のプログラムを出して、その後は一般市民の方にも公開する形でやっていきますけれども。これを続けてさらにこれがディレクターあるいはコアとなる指導医という人のワークショップとして連続していけばいいんじゃないかなと思います。だから皆さんがこれからディレクターになっていく人たちなんだなと思いますよ。逆にいったら、この3回のディスカッションに参加している人たち以外の人がディレクターでやっていくには、かなり一生懸命これからのプログラムに参加してもらって、皆さんのレベルまで共通認識をもってもらわないといけないなと考えます。
○○ 話を蒸し返して申し訳ないんですが。ディレクターは専門医でなければならない、はいいのですが。指導医のところに「家庭医療専門医であることがのぞましい」とか書いてもそんなに縛りはないから。ディレクターは「なければならない」で指導医のところは「望ましい」と残してもいいんじゃないかと思いました。
竹村 どうしましょう。ディレクターだけ家庭医であることを確保するか、もしくは将来を考えて指導医も家庭医療専門医であることが望ましいでしょうか。この場合は、他の人たち、専門診療科の指導医というのは別に定めるのでしょうか。
○○ そこの定義がぱっと見わかりにくい気がしています。上のふたつは診療所ベースで教える人たちのことをいっていて、3番目は病院の指導医なんですね。そのへんを分かりやすくしたほうがいいかなと。病院の指導医は指導医として必要だと思うのでセットにしたほうがいいと思います。大学班のものは分かりやすい気がします。
竹村 大学班のほうではディレクターは同じで、診療所研修における指導医と…。
○○ 大学班が、(2)診療所研修における指導医と(3)病院研修における指導医を言葉として書いた点ですが。これを書いた理由はどこで研修をするにも必ず指導医を保証してほしいと意味で。つまり家庭医ひとりにまかされずに研修として指導医がついてほしいということを加味しています。
○○ これはちゃんとついている内容なの、別個のものなの
○○ 同一人物であることもありえます。つまり、どの期間も先生に指導医を保証してほしいので、2と3に分けたんですけれども、実際には専門診療科の指導医は、診療所ベースのときもあるでしょうし。他のたとえば小児科の診療所で研修するのであれば、それが指導医で、診療所で、かつ専門医の指導医である形で。(2)と(3)と(4)は同じ人をさしていることもあると思います。
竹村 では指導医はいれましょうか。・・・いれますか。必ず教育のための指導者が必要であると。
○○ 下と対応させると家庭医療指導医っていうのがあるんですよね。これ、かなり戦略的なことにかかると思いますが、家庭医療専門医ってパッとだしますね。あれを見ると本来はこの組み合わせでは家庭医療指導医でなければいけないと思うんですけど。ですから家庭指導医のほうを先に認定して、専門医の認定があとだったら非常に読めなくなる。これ、家庭医療専門医だけではだめなんでしょうか。家庭医療指導医とか●●とか、役職はさらに上だったかもしれないけど。このあたり深読みする人はとっても深読みするだろうけれど。現時点では、家庭医療指導医認定システムっていうのはわりと作りやすいと思います。指導医を認定するんだから。専門医というのはまた話は別だけれど、このあたりは山田先生が何か考えがあってのことかと。
竹村 このワークショップに参加している人は少なくとも、これ(家庭医療指導医)ではありますよね。
○○ もちろんそうです。
竹村 これいれますか。家庭医療指導医。詳細は、学会の定めた講習を受けた者…と。
○○ たしかに、そういう意味合いを持たせることは出来ますね。だから家庭医療指導医というのは家庭医療専門医の資格を取った後のことみたいなものなのでしょうけれど。指導医を過渡的にお任せする人たちがでてくるわけで。そういう人たちは家庭医療専門医であるってことも過渡的に認めてしまうことになる可能性がありますよね。だから、こういった指導医になってくださいと働きかけて今既存のリソースの中で、どういった人たちが対象になるかというと、家庭医療学会とネゴシエーションして、ファイナルケア、プライマリ・ケアの専門医であったり、プライマリ・ケア指導医であったり、あるいは日本医師会でどうだとか、他のセクターの人たちの一定の限った資格のある人たちにこういった指導医のお願いをしていくということがありうるかもしれないしね。いずれにしても家庭医療指導医っていう表現は悪くないと思いますね。
○○ 教育者を先に認定するのはすごく現実的だと思いますよ。やりやすいと思いますね。
竹村 じゃあ、家庭医療指導医はとっときましょうか。
○○ 先ほどお話をしたとおり、今、実質的に力を入れなくちゃいけないのはディレクターのほうの組織というか。その後当然、指導医のことになるので、名称はやっぱり家庭医療指導医ということで非常にいいと。
竹村 家庭医療指導医に関しては付記はいらないですか。では(2)があった場合(3)はいかがでしょうか。必要でしょうか。あってもいいですか・・・。じゃあ残します。(4)のコメディカルは消します。
松下? ぼくのさっきの意見が伝わってなかったのか、消したいという意味ではないのです。あげ方として検査技師、放射線技師だけが出ているのがおかしいかなという感じで。大学案に書かれているように、ほかの職種も教育に関わっているんだというニュアンスは非常に温かみがあって、そういうニュアンスでコメディカルが入っているのは賛成です。書き方をちょっと考えたらどうかなという意味合いの意見です。
山田 先ほど私が言ったところもちょっと、まだ文章としては反映されてはいませんが、「人材」と書いてあるところのあと、「ディレクター」の前に、コメディカルとか地域の人とか利用者といった言葉をいれたいと思っています。説としては先生のいわれたことも出して、やっぱり市民の人とか他の学会の人が見たら「家庭医療学会はプログラムにこんなことまで書いているんだ」ということで違いがでてくる。
竹村 文言の問題は跡で修正しますので、暫定的に、これでよろしいでしょうか。修正によって内容が変わることは絶対にありませんから。文言が変わっても。内容はこれでよろしいでしょうか。
○○ ディレクターについて。ディレクターと同等の能力を持つという表現よりは、学会が認めたなんとか、まあ学会が認めたでいいと思いますが。それは入れたほうがいいと思います。
○○ ディレクター自体を学会が認証するとか。
○○ プログラムを全体で認定する段階で、別にいいと思うんですけど。
竹村 個々に学会が認定するなんてのは。
○○ 大学案のほうにはそう書いてあるんだよね。「それに相当する医師として学会が認定する」と。
宮崎 認定医制度として確立されれば、その施設が認定されると、そのディレクターもディレクターとして認められたということでいいのかもしれませんが。とりあえずディレクターが大事だということであれば、何か、その人を自称じゃなくてちゃんと確保するものとして、研修会に参加しているとか、学会が認めたという表現があったほうがいいのかなと思います。
竹村 大学案の通りの「それに相当する医師として学会が認定する」で、よろしいですか。
○○ 監督責任は、ディレクターは家庭医療を●●……指導医のほうが認定する●●……(02.53.43〜02.54.00)
竹村 なんとなく、家庭医療専門医の認定は3学会合同なので、かなり先かなってしまう雰囲気がある。そこで、指導医っていうのがもうちょっと前に、家庭医療学会として認定できるかな、そんなニュアンスであれば。いかがでしょうか。普通は先生のおっしゃるとおり、指導医っていうのは、普通は認定医の後だと思うのですが。
○○ 指導医っていうところがはっきりしないと多くの施設が困ることになる。これを受けたら指導医っていうのがあったほうが、ディレクターになれるっていうのがあったほうが、困るところが減るかなと。そういう表現で申し訳ないんですが。
○○ 非常に瑣末なことですが、ディレクターっていう言葉が。今わたしは初期臨床研修プログラム責任者という立場なんですね。厚労省はプログラム責任者という言葉を使ってます。軽井沢でこの間あったのもプログラム責任者養成ワークショップという名前で。日本語でない「ディレクター」っていう言葉を、厚生労働省がプログラム責任者という言葉を使っているのに、このような言葉を使うのに何か意図があったのでしょうか。「家庭医研修プログラム責任者」というほうが厚労省とのことでもいいように思いますし、そこに何か差を出すほうがいいことがあるのかなと。
竹村 こちらのほうでは何もないので。いかがです、「プログラム責任者」にいたしますか。・・・では、そういうことで。あと、先ほどお話のあった指導医がはっきりしないという点ですが。特記しておいたほうがよろしいでしょうか。上位概念ではないということを明らかにするために。たとえば学会が認定するとか、日本家庭医療学会が承認するとか。
○○ 本来なら先生が言われるように、認定医をもっている人が指導医になるという順番があるはずなんですけど。戦略的に、いま移行措置で認定医を作るのは先送りにして、本認定の人が出てから移行措置にするっていう状況だけど、そのためには指導医が必要という、非常にサイクルに入っちゃっていて。だから現時点では指導医を先に認めるっていうやり方からスタートせざるを得ないんじゃないかな。本来と逆転していると言われるのはその通りなんですけど。
○○ おっしゃる通りで。プログラム責任者も家庭医療指導医でなくてはならないとしたほうがいいのかなと。将来的には今おっしゃられたとおり認定医の上に指導医があるんでしょうけれど。どこの学会でも認定医を作るときに、指導医を先に作ったという移行的な措置があったわけで。同じように家庭医療学会でも、指導医を我々の基準で過渡的に今のところは認定していくということをみんなにお願いしたい。
山田 1番のプログラム責任者、2番の家庭医療指導医、それぞれに※印をつけておいて、下に「要件は学会が認定する」と書いておいて。それから、家庭医療専門医という言葉も入れておきたいので、「家庭医療専門医でなければならないが、それが設立されるまでは、それに相当する者として学会が認定する」と書いておけば、プログラム責任者も家庭医療指導医も学会が認めていくし、家庭医療専門医も将来的には学会が認定するんだということが示せると思います。
竹村 じゃあ、ここに書かれているようなことでいかがでしょうか。「プログラム責任者は家庭医療専門医でなければならない。」注釈として「家庭医療専門医認定システムが設立されるまで、それに相当する医師として学会が認定する」。そして、家庭医療指導医に関しては、注釈で「家庭医療指導医。要件は学会が認定する」。3番が各科のおのおのの専門診療科指導医。家庭医療以外の専門診療科でも可。「家庭医療指導医以外の指導医でも可」にしましょうか。
山田康 北海道家庭医療センターの山田です。プログラム責任者も家庭医療指導医かつ専門医…?
山田 それは学会が認定するということをつければいいので。「家庭医療指導医、要件は学会が認定する」と書いています。それだけじゃなくて、「プログラム責任者と家庭医療指導医の要件は学会が認定する」とすれば、その要件の中にディレクターは指導医としてこんなこともやっていると含めればいいので。ここでいっぱい書く必要はないと思います。ですからプログラム責任者のところも※印をつけて、家庭医療指導医も※印をつけて、下に「※プログラム責任者と家庭医療指導医の要件は学会が認定する」。それから「家庭医療専門医の認定システムが設立するまでは、学会が認定する。」
竹村 いかがでしょうか。
  「プログラム責任者は、専門医でなければならないけれども」と専門医という言葉を入れて。「設立されるまでは、それに相当する医師として学会が認定する」でよろしいですか。・・・「家庭医療指導医は………じゃあ、内容は変わりませんので……、
宮崎 あのう、書記と司会を分けられたほうが。
竹村 たすかります。じゃあ書記を矢部さんにバトンタッチということで。では、次ですね。とうとうプログラムに入りましたが。これ、いかがでしょうか。暫定的にI,IIと分けたのですが。詳しく決めないほうがいいとか、症状で決めたほうがいいとか、もしくはメーリングリスト上での議論ではこれでは何を履修すればいいのかはっきりしないという意見もありましたが、いかがでしょうか。
  まず、大きな枠としてI番、II番と分けておりますがいかがでしょうか。・・・暫定的にこれで動きますので、この枠組みの中で。不都合な点があれば言っていただければ。「診療所等の施設において、以下の項目の研修がなされること」。本来ならば診療所じゃないと項目できない部分が多いんじゃないかと思いますが、「等」という表現でいいでしょうか。「これらの項目が、この施設において実際に恒常的に行われている必要がある。また、この施設における研修は、6ヶ月以上である必要がある。」下の項目は、今までのワークショップで、アウトカムについて皆さんにご同意いただいたものを並べているわけですが。このような項目はアウトカムとなる医師ができるであろうと。いかがでしょうか。
○○ 「診療所等」と書いてあるけれども、これはどういうものを指しているのか。たとえば、病院の外来はさすのか、大学病院の外来はさすのか、いろんな話がでてくると思うのですが。「外来における患者中心のケア、近接的なケア、継続的なケア、包括的なケア」。具体的には診療所を指しているとは思うのですが、そこのところは明確にしなくてもよろしいでしょうか。「等」というのはどこのところなんだろうと議論になったのですが。
竹村 皆さん、ここはどうしたらいいでしょう。病院の外来を可能にするために「等」と一応つけたんですが。
○○ 診療所の外来に限らず、非常に大事なポイントだと思います。あえて診療所と書かずに、あるいは全機関を通じてこういう研修がなされることと書き換えられるべきだと思います。
竹村 「診療所等」という表記を削除するということですね。
○○ そうしますと、「この施設における研修は、6ヶ月以上ある必要がある」と。そもそもこれをいれたのは、診療所を意識しているのかと思ったのですけれど。
竹村 一番意識しているのは山田康介先生にまとめていただいた、1回目、2回目のワークショップで得たアウトカムを具現化することです。それがたとえば病院だけでは不可能な部分もあるんじゃないかなと。皆さんのご意見で決めていただければ。
○○ 一番、診療所研修が困難であろうと思われる大学の先生方のグループから、6ヶ月以上必要とご提案があったので。そういったことはどこかの項目の中で診療所研修が6ヶ月以上必要とうたってもいいと思いますが、ここの中で、必ずしも診療所研修が6ヶ月以上と表現しなくていいのかなと思います。ま、これはこれで、診療所等の施設において以下の項目が、重点的に研修がなされることが望ましいと。病院ではなかなか●●なのかなと思うので。診療所研修は継続して、ひとつについて6ヶ月ずっと恒常的にしなさいということですか。
竹村 診療所ということはあまり意識しないで、しかし結果的にはそうなるかも。
○○ ちょっと混乱しているのは、ひょっとすると研修の場というものと研修の内容というものが一緒に書かれているためだと思います。
竹村 ではこの最初の「場所、施設」に関しては規定しないということでよろしいでしょうか。
○○ 来るのが遅れて、最初のところを聞いていないのですが。「診療所等」という言葉はあったほうがいいと思います。この家庭医療学会の独自性というか、そういうものをちゃんとするためには、戦略的な話なんですけど。内容がまとまれば、もちろん病院の外来でもいいんですけど、残しておいたほうが。そうじゃないと、普通の大学病院で出来るじゃないかとみんな思っちゃうので。大学病院の外来ですべて出来るという流れになることも、ちょっと恐れているので。あえて「診療所等」としておいたほうがいいと思いました。
○○ さっき、診療所でない場所でするかもしれないからというコメントがあったのですが。もともとこの研修場所には病院と診療所の2箇所が必要であると指定している以上、診療所の研修という意味なのかと思うのですが。診療所を設定しておいて、でも診療所じゃない外来でもいいよというのは変な気がするのですが。そのへんのニュアンスがちょっと分からないのですが。病院と診療所の両方が必要だと最初に謳ってますよね。
山田 場所と内容が混在していて、すっきりしないでしょうけれど。今のご指摘のように、診療所としっかり謳っているのも結構魅力的かなと思うので。たとえば「診療所等」といわないで、「診療所において以下の項目の研修がなされること。診療所研修が6ヶ月以上ある」と表現したって。そのほうがインパクトが強いというか。大学病院も含めてどの病院も診療所研修6ヶ月というのは、大体ミニマムで合意が得られそうですかね。だったら、むしろ「診療所において」にしてもいいかもしれない。
竹村 うなずいている人とまったくうなずいていない人がいるようで。いかがでしょうか。
○○ あの、大枠ではうなずいているのですが。表現の問題だけで。上のところ4番全体は診療所でなくても病院でも出来る内容で、全体に流れる概念だと思います。その中で、それとは別の意味も含めて、診療所で最低半年はやりなさいよという文面をどこかに入れたいですよね。それをこの4番のプログラムの1に入れるかどうかで。もし入れるのであれば、「診療所等の施設」にしておいて、「この施設における研修」ではなくて「診療所における研修を6ヶ月以上ふくめる必要がある」とするのはどうでしょうか。
竹村 ちょっと反対です。あ、すみません、私は司会役で、意見はしたくなったのですが。やはり、診療所だけでなくて、小さな病院、もう少し僻地の小さな病院も入れてあげてもいいのかなと思ったりするんで。そうであれば、限定してしまうのはどうかなと思ってはいるんですが。
○○ それは入るんじゃない。だから今いわれたように「診療所等の施設において以下の項目の研修がなされること」とそのまま表記しておいて、ただカッコ付きあたりで、「診療所における研修は6ヶ月以上あること」と書いておけば。
竹村 大丈夫でしょうか。
宮崎 質問です。竹村先生の言われた言い方からすると、診療所を持っていない小さな病院だけでこのプログラムが完結してもいいんだといわれている気がするのですが。
竹村 診療所は存在しなければいけないとは思っています。たとえば卒後5年目に診療所に行っていただいてもかまわないのですが。実際に診療所でも働けるように。しかし、地域によっては第一線で医療機関がその小病院しかなくて、そこで包括的なケアはもちろんのこと、患者中心であり、かつ家族もみんな診てるというところもあるかなと。そこなら認めても・・・。ただやはり、将来アウトカムとして謳っている診療所ベースのお医者さんになるためには診療所は必要だと思うのですが・・・。たとえばハーフデイバックをすることになったとき、診療所である必要があるかなと。もちろん診療所がいいのですが、いわゆる僻地の小さな病院にいても、同じような経験が出来るんじゃないかという気がしたりもする。そこでも家庭医療はできるんじゃないかなと。
宮崎 それは分かるんですが。そうすると、そこのプログラムは診療所の研修がないということになるんですよね。
竹村 5年目にはあってもいいと思うんですけど。
○○ そうすると診療所研修は5年目に6ヶ月以上はいるわけですよね。
竹村 そうです。
宮崎 そうすると僕が言った文面で、がっちりはまると思うんですけど。この全体は、診療所でも、小さな病院でもよくて、その代わり抜け道として、たとえば大学機関のところのプログラムで診療所研修の入らないところはだめですよということなので。たぶん先生の意識されていることは僕が言った言葉で一応満たされると思うのです、表現としては。
竹村 もちろんそれでかまわないので。もう一つ、今ちょっと気になったのが、後ろの2班が大きくうなずいていたのに、一方であまり…他の方の意見もお聞きしたいなと思いまして。
○○ プログラムの部分で、「診療所等」の「等」を入れないで、「診療所で」とあると、地域の小さな病院ではやらなくてもなくてもいいのかということを示す形になるような気がするので。プログラム自体では「診療所等の施設において」として、研修期間のところで「診療所を6ヶ月以上ふくむ」とした義務づけるほうがいいのかなと思いました。
○○ 名古屋の共立総合病院で働いているもりながと申します。私は、どちらかというと大きくうなずいたほうなのですが。うちは450床で、診療所もあるので、出先の診療所に出て研修をすることは想像できる研修パターンかなと思いますので、大きくなく●●と思いました。ただ、近くの小さな病院というか50床ぐらいの病院の先生は(1)から(6)のようなことをやってみえるので、そのへんをどうしようかということも。文章にすると、わけが分からなくなってしまうんですが。そこらへんも汲み取って、なおかつ診療所もいけるようになるといいなと思います。
○○ 愛媛せいきょう病院から来ましたはらと申します。周りから小さい小さいと言われてますが、うちの病院は80床の病院なので、たしかに小さいです。僕はほとんどうなずいている側なんですけど。今ひそかに練っている構想は、家庭医療センターの主体は別の診療所において、病院はあくまでプログラムの母体というか型の中で必要なものというような器で考えてはいるのです。実際に、この表記は山田先生のおっしゃるとおりプログラムの中で場所と内容と一緒に書いてあるために、難しいなと感じてはいるのですが。実際に診療所の研修は必要だろうなと。病院にいても診療所と同じような仕事をしていますので、あえて分ける必要はないと思うのですが。場所と期間の設定は別に表記していただいて、そこに書いてある(1)から(6)の内容については、診療所でなくても病院においても必要であるというような認識を持っています。
○○ 岐阜勤労者●●のもりと申します。岐阜は100床たらずの病院で、外来もやっておりまして、かつ4つ診療所がありまして、外来の担当もしております。小さい病院ですので、このプログラムに書いてあるような6つの条件は満たしておりまして、十分病院でも家庭医療を学べると思いますが。やはり実際診療所に出るとクリニカルセッティングの違いがかなり明瞭にありまして。やはり診療所は敷居が低いですし、地域なんかも肌で感じられて大きく関与してきますので、小さい病院では家庭医療は学べると思いつつも、やはり診療所における研修は●●●と私は思っています。
竹村 そうですね。しかし、プログラムの記述によって理想と現実のバランスをとらなくちゃいけない。
福士 地域医療振興協会協会の福士です。教育をしていますが、病院の中にいってしまうと、なかなか地域のことや診療所のことは忘れさられてしまって、各科の研修をやってしまったり、自分が何をやっているのかわからなくなってしまう。そういうときに、こういうことは診療所の中で学べばいいと書いてしまうと、病院にいるときは気にしなくていいんだと、退院した後のことは何も考えなくていいんだ、家族のことは何も考えなくていいんだとかいった視線になってしまう危険性がある。あえて、これが診療所だけで、もちろんこれが診療所で学べるということは間違いないと思いますし、大事なことだと思いますが。診療所だけで学べると書いてしまうと危険があるので、そういう意味で。あとは、期間に関してはこのプログラムの中で書かずに、研修場所ということころで、診療所の中にカッコして6ヶ月以上と書いておけばいいんじゃないかと思います。
○○ 今のご議論をふまえると、1行目、2行目は「診療所等」と表記して、3行目の「以下の施設における研修は6ヶ月以上ある必要がある」というのは削除して、「診療所研修6ヶ月」という表現はまた別のところに表記するということで整理してもらえれば、おおむね今の議論からは外れていいないような気がするのですが。いかがでしょうか。
竹村 期間に関しては、研修場所のところに付記しておきましょうか、診療所のところに。研修期間のところにしましょうか、後期研修3年のところに。いかがでしょうか、これならみんな丸く収まって、かつ家庭医ではありますがね。
○○ 研修場所が2に書かれていますので、順番的にはそこに書いてしまうよりは、研修場所と研修期間を連記したところで●●●……
竹村 1を研修場所にしましょうか。
○○ 順番を変えなくてもいいんじゃないですか。
○○ 2の診療所のところにつけたらだめなんですか。有床、無床を問わないが6ヶ月以上と。
竹村 もしくは、この研修場所の中に書きますか。(3)を作りますか。
○○ 2の中に含めちゃうとまずいのですか。
竹村 いかがですか、2に含めていいですか。
○○ ひとまず含んでおいて、あとでまた。表現の問題だから。
竹村 暫定的にこれでいいでしょうか。
○○ 1年にするという意見があったと思いますが。
竹村 あ、そうでした。1年とか2年という話もありました。これはいかがいたしましょう。6ヶ月で話をしちゃいましたけど。いま最低が6ヶ月になっていますが。診療所はたしか1年でしたか。
○○ 連続してひとつの施設で1年。その1年が………
○○ このグループで話したときは、最低で6ヶ月、1年がのぞましいけれどというニュアンスでした。
竹村 6ヶ月だけれど1年以上が望ましい、と。
○○ 望ましいくらいの表現にしたらどうかなという話に。
竹村 いかがですか、不可能になってしまうところはありませんか。6ヶ月以上にしておいて、1年が望ましいにしますか。よろしいですか。
山田 まあ6ヶ月以上と書いておいて。このあと、ネイバー先生のカリキュラムデザインの話もサンプルになると思うので、それをふまえて。一応6ヶ月以上ということはコンセンサスを得たということで、午前中のセッションとしては時間もありませんので、いいかなと思います
竹村 じゃあそういうことで。
葛西 あとひとつ、細かいところですが。このプログラムの(6)で「家族指向、地域指向」のところで。漢字はこの訳ではディレクティブになりますが、我々はオリエンテッドということを考えているので、機械的なイメージの「指向」より「志向」のほうが、オリエンテッドにあっているし、いいかなと思いますので訂正していただけますか。
竹村 最後までいっちゃいますか。このプログラムの1のところは、また議論があとで出来ると思うのですが。2のところは。
○○ 2に関しては、この書き方はヤバイっていうか。小児科とか書くとその科の先生をイメージしちゃって。さきほど領域設定とか具体的な形で出したほうが、あくまでも研修の「場」の設定なんで。
竹村 またこれに関しては、午後にネイバー先生のほうからかなり具体的なお話があると思いますので、その後にヤバくないように。
葛西 進め方でちょっとアナウンスしておきます。前回の反省として、皆さんがディスカッションする時間をとりたいということがあったので。午後のセッションは30分のレクチャーが2本あります。そのレクチャーについての質疑応答を15分やります。その後は、すべて我々のプログラムを作るためのディスカッションで、そのときネイバー先生のお話を参考にしてもらう。そしてディスカッションの時間はすべてで3時間あります。このプログラムの内容についてディスカッション出来るのではないかと考えています。
北西 ネイバー先生のお話の内容をある程度教えてもらいたいのですが。
葛西 最初は英国の家庭医学学会の家庭医養成の中身を示していただきます。それから教育の専門的パートの観点からカリキュラムをどうデザインするかというのが2番目の話。まさに我々いまホットなディスカッションしていることに参考になるということで。
竹村 そういうことで。司会の不手際で時間がずいぶん過ぎてしまいました。すみません。じゃあ1時半から午後のセッションを始めたいと思います。

参考 : 第2回 家庭医療後期研修プログラム構築のためのワークショップのページ

このページのTOPへ
CopyrightcThe Japanese Academy of Family Medicine,1998-2008