PCRD²について

研究室の理念と日本の現状

私達の研究室では、患者さんやご家族が一緒に参加できる医薬品・医療機器・デジタル治療薬の実用化を推進しています。
患者さんのニーズに沿った製品を作るには、研究者・技術者にその声と要望を直接伝える事が最も大切だと考えています。具体的には、研究者達が患者さんの病気の経緯や使っていた薬や食べ物、遺伝子や血液・唾液の成分などのデータを通して、患者さんの事をよく知ることが重要です。しかし、これまで日本では製薬企業やバイオベンチャーなどの研究者達が患者さんと直接交流し、情報交換できる機会は殆どありませんでした。

PCRD²とは

この状況を変える為に、私達は「患者中心主義に基づく希少疾患研究開発プログラム:PCRD」を開始しました。
PCRDとは、患者(Patient)を中心(Centric)とした 希少疾患(Rare Disease)の研究開発(Research & Development)の頭文字をとった名称です。つまり、患者さん本位での希少疾患の治療薬や医療機器を研究開発して実用化する仕組みです。

PCRDでは、研究者や技術者が自分達の研究の意義や貢献できることを患者さんにわかりやすく説明し、その内容を理解して納得した患者さんにご参加いただきます。そして、患者さんの病気の情報や血液などを分析して得られたデータは本来、患者さん自身のものですので、研究者達がわかりやすく説明をすることにしています。

なぜ希少疾患を対象とするのか

なぜ、希少疾患(このプログラムでは希少な癌や難治性疾患も含みます)の患者さんと一緒に研究開発をするのか? それは、患者さんが非常に少ないと社会で認知されず、企業の製品開発の対象にもなりにくく、往々にして見過ごされてしまいがちだからです。こうした疾患の数は約8,000近く存在し、実際には17人に1人は希少疾患の患者であると言われているため、総患者数は数百万人にのぼると考えられています1.2.3.4.5.6.。さらに希少疾患の3分の1は1歳まで生きることができない重篤な病気で、治療薬がある疾患はわずか5%しかありません1.5.6。幸いにも近年では、遺伝子治療薬や核酸治療薬、細胞治療薬が実用化されてきているため、病気の原因となる遺伝子がわかれば治療薬を早く作れる可能性が出て来ました。

PCRD²のその先へ

私たちの研究室は、こうしたプログラムをきっかけに、患者さんと研究者達が一緒に対等な立場で医薬品・医療機器を作っていくことが当たり前になることを目指しています。

患者さんやご家族が生活上で病気による大きな困難を感じた時、それを解決する医薬品や医療機器を欲しいと思うことがあるでしょう。その気持ちをきっかけに、患者さんやご家族が研究者達と手を取り合い、さらにその活動に共感した投資家や一般市民が資金を援助することで、たとえ最初は製薬企業による研究開発の対象とならなかったとしても、最終的には自分達が本当に必要とする医薬品や医療機器を作れる環境ができたらと願っています。

お願い

患者さんにはご自身の声を研究者・技術者に届ける事が第一歩ですので、下記のURLでのアンケートにご参加いただき、皆様の声をお聞かせください。
https://creativesurvey.com/ng/answers/5290739f17807096e46aec00be3e59/

また、PCRDでは患者さんと共に医薬品や医療機器を作りたいという情熱を持つ研究者・技術者・バイオベンチャー・デジタルヘルスケアベンチャー・ベンチャーキャピタル・製薬企業・食品メーカー・自動車企業・住宅企業・メディアなど幅広い方々のご参加を期待しております。(ご照会は下記URLよりお願いいたします。)

https://3h-holdings.co.jp/topics/pcrd2lp/

この新しいプログラムから様々な医薬品・医療機器の芽が育っていくよう、私達の研究室では多くのみなさまのご参加をお待ちしております。


参考資料及び引用文献
1.【メディカルジャパン】GSK・早田氏「患者レジストリ構築を」‐稀少疾患治療薬の開発推進にhttps://www.yakuji.co.jp/entry41580.html

2.Genomics England

https://www.genomicsengland.co.uk/understanding-genomics/rare-disease-genomics/

3.Lancet. 2008 Jun 14;371(9629):2039-41. doi: 10.1016/S0140-6736(08)60872-7.

Why rare diseases are an important medical and social issue.

Schieppati A1, Henter JI, Daina E, Aperia A.

https://reader.elsevier.com/reader/sd/pii/S0140673608608727?token=F0D0CECF52C5BFE97638CFDF925CE415119B94A56CF9E731BA9675212CBED7410497AED68ADC64CAD2B1ECCED0E08491

4.Review of 11 national policies for rare diseases in the context of key patient needs.

Dharssi S, Wong-Rieger D, Harold M, Terry S.

Orphanet J Rare Dis. 2017 Mar 31;12(1):63. doi: 10.1186/s13023-017-0618-0. Review.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5374691/pdf/13023_2017_Article_618.pdf

5.Progress in Rare Diseases Research 2010–2016: An IRDiRC Perspective

Hugh J.S. Dawkins, Ruxandra Draghia‐Akli, Paul Lasko, Lilian P.L. Lau, Anneliene H. Jonker, Christine M. Cutillo, Ana Rath, Kym M. Boycott, Gareth Baynam, Hanns Lochmüller, Petra Kaufmann, Yann Le Cam, Virginie Hivert, Christopher P. Austin, International Rare Diseases Research Consortium (IRDiRC)

Clin Transl Sci. 2018 Jan; 11(1): 11–20. Published online 2017 Oct 23. doi: 10.1111/cts.12501

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5759730/pdf/CTS-11-11.pdf

6.Orphan drugs in the United States: growth trends in rare disease treatments. Parsippany, NJ: IQVIA Institute for Human Data Science, October 2018

https://www.iqvia.com/-/media/iqvia/pdfs/institute-reports/orphan-drugs-in-the-united-states-growth-trends-in-rare-disease-treatments.pdf