厚生労働省 地域におけるかかりつけ医等を中心とした心不全の診療提供体制構築のための研究

関連情報アイコン

関連情報

  • 2021.5.21
    研究班員の論文がJournal of Cardiac Failure に受理されました。
    Hiroaki Obata, MD, PhD, Tohru Izumi, MD, PhD, Masashi Yamashita, PhD, Wataru Mitsuma, MD, PhD, Keisuke Suzuki, MD, PhD, Shinichi Noto, PhD, Takeshi Morimoto, MD, PhD, MPH, and Mitsuaki Isobe, MD, PhD .
    Characteristics of Elderly Patients with Heart Failure and Impact on Activities of Daily Living. A Registry Report from Super-Aged Society.
    Journal of Cardiac Failure印刷中

高齢者心不全患者の特徴と日常生活動作との関連~超高齢社会のレジストリからの報告

要旨:
我が国は世界で最も高齢化が進み、心不全の患者数も増加しています。加齢に伴うフレイルも合併した高齢の心不全患者さんは、多くの方が心疾病の治療と管理に加えて身体的・社会的ケアが必要となります。私達の研究は、高齢化の進む地域病院に入院した高齢心不全患者さんについて、日常生活動作(ADL)の低下と、医療・生活背景との関わりについて調べ、包括的心臓リハビリテーションの効果を明らかにしたものです。
新潟市と佐渡市の3つの病院に心不全で入院した65歳以上の患者さん(617例)をすべて登録し調査しました。平均年齢は84.7歳と高く、3/4が80歳以上でした。また、やせ型体型、栄養障害、認知機能障害、運動器疾患の併存が多く、これは80歳以上でより顕著で、入院時に7割近くが介護保険を必要としていました。これらの患者さんは入院後にさらにADLが低下しており、70.5%に心臓リハビリを要し、30日以上の入院となった方が36.3%もいました。心臓リハビリの実施によりADLは改善し、この効果に年齢による差は認めませんでした。しかし、退院後の死亡率は高く、1年後に20%、2年後には40%を超えていました。一方、退院時のADLや、入院中の改善度が高いほど死亡率が低くなることがわかり、退院時のADLは、心不全の重症度などとは独立して死亡率と関わる重要な因子であることも明らかとなりました。高齢心不全患者さんにとって、入院中の心臓リハビリの実施によるADLの改善はとても大切です。