会長挨拶

第46回日本顔面神経学会
会長 萩森伸一
(大阪医科薬科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)

この度、第46回日本顔面神経学会を2023年6月2日(金)と3日(土)の2日間、大阪の千里中央にある千里ライフサイエンスセンターにて開催させていただきます。当教室にとって歴史ある本学会の主催は初めてのことであり、大変光栄に存じますとともに、会長にご指名いただきました役員、評議員、会員の方々に心より御礼申し上げます。

第46回日本顔面神経学会のテーマは『すべては笑顔のために』といたしました。顔面神経の疾患、とりわけ顔面神経麻痺をみる診療科は耳鼻咽喉科、形成外科、脳神経外科、リハビリテーション科、麻酔科、脳神経内科など多岐にわたります。また検査技師や療法士、心理士、鍼灸師の方々にも深く関わっていただく必要があります。日本の医療は隣の診療科は何する人ぞという縦割りの時代が長く続きましたが、近年は横のつながりを重視したセンター化やチーム医療が拡大しています。顔面神経麻痺の患者さんは皆、心に大きな不安を抱えていますが、その不安を少しでも軽くし、患者さんに再び笑顔が戻るよう診療科や職種の垣根を越えて取り組んでいきたい、そのような気持ちを込めました。

学会ではこのテーマ『すべては笑顔のために』のパネルディスカッションで、各科・各職種の立場から顔面神経診療上の問題点を挙げ、より良い医療が提供できるよう連携をさらに深めたいと思います。また顔面神経麻痺の後遺症に悩む患者さんは大勢いらっしゃいます。麻痺発症直後の治療も重要ですが、後遺症を診る、治療することはとても大切です。後遺症に手術やボツリヌス注射、メイクアップなど多角的にアプローチし、QOL改善を目指したシンポジウムを企画しています。また米国のJacqueline Diels先生には最新のリハビリテーションについてリモートでご講演いただきます。その他、顔面痙攣や形成外科での静的・動的再建術についてのシンポジウム・パネルディスカッションを企画しました。

5月には日本顔面神経学会から新しく「顔面神経麻痺診療ガイドライン」が発刊されます。今回、このガイドラインについて解説する教育セミナーを企画しました。また3年ぶりの耳鼻咽喉科主催ということもあり、顔面神経減荷術については手術手技や問題点、将来展望について、時間をかけて議論したいと考えております。そして新しい試みとして「あなたの手術、アドバイスします」のコーナーを設けます。これはこれから専門的な手術に取り組もうとする若手の先生方に、耳鼻咽喉科、形成外科、脳神経外科のエキスパートの先生方が手術動画を観ながらいろいろとアドバイスするというものです。その道の専門家の先生方に自分の手術を観ていただく貴重な機会ですので、どしどし応募してください。

昨年同様、今回も第32回日本聴神経腫瘍研究会(6月3日)と合同で開催いたします。聴神経腫瘍研究会参加者との相互乗り入れで、本学会が更に活性化することを期待しております。会場の千里ライフサイエンスセンターは、東側に大阪万博記念公園やエキスポシティ、北側に北摂の山々、明治の森国定公園や箕面大滝が控える千里丘陵の中央にあり、新大阪駅や伊丹空港から地下鉄やモノレールで15分ほどと交通至便なところです。初夏の日差しのなか、緑多きこの北摂の地で皆さまとお会いすることを楽しみにしております。