ED治療薬「シアリス」の成分
シアリスは、バイアグラ・レビトラと並ぶ男性勃起不全(ED=Erectile Dysfunction)の改善に有効な治療薬。
日本新薬株式会社が製造販売するシアリス錠の成分は以下の通り。
有効成分 | タダラフィル(5r・10r・20r) |
---|---|
添加剤 | 乳糖水和物、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、トリアセチン、タルク |
同社製品のシアリスには5r・10r・20rの3タイプがあり、有効成分タダラフィルの1錠あたりの配合量と同じになっている。
錠剤の寸法・重量は異なっているが、添加剤の成分は全く同じである。いずれも形状は、くすんだ黄色のフィルムコート錠であり、中身は白い粉末となっている。
主成分のタダラフィルは水に溶けにくい性質を持つ。バイアグラやレビトラよりも充分な効果を得られるまで時間がかかるため、性行為の1〜3時間前に服用するのがおすすめ。
食事の影響を受けにくいこともシアリスの特徴。メーカーの服用者を対象とした説明書にも「食事のタイミングを気にすることなく服用できる」と記されている。(日本新薬株式会社「シアリス錠を服用される方へ」)
シアリス通販の注意点
現在、国内の通販サイトでシアリスを購入することはできない。バイアグラやレビトラと同様にED治療薬は医師の処方箋が必要な医薬品であるからだ。
国内製品のシアリスを通販で買うことはできないが、個人輸入であれば代行サイトを利用して海外から簡単に購入することは可能だ。ただし、国内製品より安価でED治療薬が手に入る代わりに、偽物を掴まされる恐れもある。
ED治療薬のバイアグラ、レビトラ、シアリスを製造しているファイザー、バイエル薬品、日本新薬、日本イーライリリーの4社が、2016年に合同でネット購入したED治療薬の鑑定調査を行っており、その結果判明した事実が以下の通り。
日本およびタイの調査会社に依頼して発注、入手したED治療薬を鑑定した結果、国内外の合計で 約4割(40.0%、28/70)が偽造品であることが判明しました。国内発注分で約4割(35.6%、16/45)、タイでの発注分では約5割(48.0%、12/25)が偽造品でした。(ファイザー社「<偽造ED治療薬4社合同調査結果>依然減らない健康被害へのリスク インターネットで入手したED治療薬の約4割が偽造品」より引用)
海外通販で購入したシアリスジェネリックが本物である場合でも、ED治療薬には併用禁忌の薬があることに注意する必要がある。体質により服用可能な量が変わってくることもあり、使い方を間違えると最悪は命に関わる事態となることもあるのだ。
医師の診察を受けず、さらにはED治療薬の知識が少ない中での服用は危険を伴うため、通販でのシアリス購入には十分な注意が必要となる。
シアリスの作用と副作用
シアリスは、血管の拡張に関わるPDE5という酵素を阻害し、海綿体のcGMPを増加させる作用がある。そのことにより、平滑筋がゆるみ、陰茎組織への血流が増加して勃起を生じる。ただし、性的刺激がなければ勃起はおこらない。性行為感染症を防ぐこともできない。
医薬品には作用があれば副作用も存在するため、シアリスについての副作用もメーカーが「国内臨床試験」の結果として公表している。
主な副作用は以下の通り。
副作用の症状 | 発言症例率 |
---|---|
頭痛 | 11.3% |
潮紅 | 5.1% |
ほてり | 3.5% |
消化不良 | 2.3% |
背中の痛み | 1.9% |
倦怠感 | 1.6% |
末梢性浮腫 | 1.2% |
鼻閉(鼻づまり) | 1.2% |
(日本新薬「シアリスの副作用」)
上記の他にも様々な副作用があるため、一通り確認しておくと良いだろう。
医師の指示に従い正しく服用していても副作用が出現することはあるため、あらかじめ確認してから使う必要がある。
シアリスは、血管を拡張し血流を促進する効用があるため、同じように血流を改善する働きのある硝酸剤・一酸化窒素供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等)などの狭心症薬を服用中の方は注意が必要。過度の血圧低下をまねき重篤な症状を引き起こす場合もあるからだ。
飲酒にも注意が必要となる。アルコールは血管を広げる作用があるため、過度の飲酒はシアリスの効用と重なりめまいやふらつきなどの副作用を起こす危険があるからだ。さらには肝臓に負担をかける恐れもある。
グレープフルーツの摂取にも注意が必要だ。シアリスの有効成分は肝臓にある「CYP3A4」という酵素によって分解されるが、グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン」と呼ばれる物質によって働きが阻害され、肝臓にも大きなダメージとなるからだ。
以下に該当する場合は重大な副作用を起こす危険があるため、シアリスの服用を避ける必要がある。
- 硝酸剤を使用中
- 今までにシアリス錠を服用して過敏症(アレルギー)を起こしたことがある
- 心血管系障害などにより医師から性行為を控えるように言われた方
- 不安定狭心症のある方、または性交中に狭心症を起こしたことがある
- 最近3ヶ月以内に心筋梗塞を起こしたことがある
- 最近6ヶ月以内に脳梗塞、脳出血を起こしたことがある
- コントロール不良の不整脈がある
- 低血圧の方(最大血圧が90mmHg未満または最小血圧が50mmHg未満の方)
- コントロール不良の高血圧の方(最大血圧が170mmHg以上または最小血圧が100mmHg以上の方)
- 重い肝障害がある
- 網膜色素変性症(進行性の夜盲、視野狭窄)の方
上記の他にも内臓に疾患のある場合は服用に注意が必要となるため、医師への相談が大事となる。
効き目は最長36時間
シアリスはバイアグラやレビトラと比較して効き目がマイルドでゆっくりと作用することから、即効性に欠けるものの圧倒的な持続時間の長さが最大のメリットとなっている。
効き目の長さは最長で36時間、金曜日の夜に飲めば日曜日の朝まで持続する「ウィークエンドピル」の異名も付けられているほど。バイアグラやレビトラなどED治療薬は効き目が速い反面、その持続時間はせいぜい4〜8時間と短めとなっている。
ただし、シアリス服用後、血中濃度が最高値に達する時間は「3時間」であるとのメーカ発表データもある。最もベストなコンディションでパートナーとの性行為に臨みたいのであれば、服用のタイミングには気を付ける必要があるだろう。
シアリスの効き目に食事の影響はほとんど関係していない。
対して、バイアグラやレビトラは食事の影響を受けやすい。特に脂肪分の多いメニューは薬の有効成分の吸収を大きく下げてしまうという特徴がある。つまり、空腹時に服用するのが望ましく、一般的な性行為までの流れに少々難があると言えるだろう。
シアリスはこのようなデメリットを解決すべく、食事の影響を受けにくいように開発されている。(日本新薬「シアリス錠インタビューフォーム」)
食事とシアリス服用のタイミングを気にすることなく使用できる唯一のED治療薬と言えるだろう。
シアリスの価格・ジェネリックの価格
まず初めに、院内(オンライン)処方によりシアリスを購入する場合、「保険適用外の自由診療」となることは理解しておく必要がある。さらには診察料が必要になる場合があることも留意しておきたい点だ。
国内で処方されるシアリス、シアリスのジェネリックの価格相場は以下のようになっている。
製薬会社 | 製品名・容量 | 1錠当たりの価格 |
---|---|---|
日本新薬(株) |
シアリス錠10mg | 1,500円 |
シアリス錠20mg | 1,600円 | |
東和薬品(株) |
タダラフィルOD錠10mgCI「トーワ」 | 1,300円 |
タダラフィルOD錠20mgCI「トーワ」 | 1,400円 | |
沢井製薬(株) |
タダラフィル錠10mgCI「サワイ」 | 1,300円 |
タダラフィル錠20mgCI「サワイ」 | 1,400円 | |
Ajanta Pharma Limited(インド) |
タダリスSX20r | 343円 |
日本のクリニックで処方されるシアリスのジェネリック「タダラフィル錠」は、先発の医薬品と同じく保険適用外。価格については、ジェネリックであれば1錠につき200円〜300円ほど安価となっている。服用する回数が多ければ、年間を通じてかかる費用も節約することができるだろう。
海外製のシアリスジェネリックであれば、国内承認済みのジェネリックよりも大幅に低価格となっている。値段の安さに魅力を感じ、個人輸入に踏み切る人もいるだろう。ただし、海外製品には偽物が過半数含まれていることに注意しなければならない。
代行サイトを利用する場合には、「成分鑑定書」が掲載されているか確認する必要がある。
シアリスの購入方法
現在、日本国内でシアリスを購入する方法は主に3つある。
- 院内処方
- オンライン処方
- ネット購入(個人輸入)
通常、勃起不全(ED)の症状に悩む人であれば、まず初めに専門外来のドアを叩くことであろう。医師と対面して直接自分の悩みを相談することができるからだ。その際、必要であれば医師により適切な治療薬が処方され、薬局でそれを購入できる。
たとえ相手が医師であろうと、EDの悩みを相談するには一定の勇気がいることだろう。仕事が忙しくなかなか病院に行く時間がないという人も多いと推測される。そんな時に便利なのが「オンライン処方」だ。
インターネットを利用すれば、たとえ初診であってもオンライン診療を受けることが可能なクリニックも存在している。もちろん診療の予約もオンラインで行うことができるし、電話でのオンライン予約に対応している医院もある。
処方されたED薬は自宅や希望の郵便局に郵送してもらえるため、誰にもバレずにシアリス購入をすることが可能だ。
国内のクリニックで処方されるシアリスは、2007年に発売された日本イーライリリー株式会社の先発医薬品である。(現在は国の認可を継承した日本新薬株式会社が製造販売を行っている。)
先発医薬品に加え、現在、シアリスについては2020年に厚生労働省より認可されたジェネリックも登場している。沢井製薬やあすかなど複数の製薬会社から出ている「タダラフィル錠」をシアリスより安価で処方してもらうことが可能。
国内で購入することができるシアリスは、純正の先発医薬品あるいは国内生産のジェネリック医薬品のみ。いずれも医師の処方が必要であるため、インターネット通販では購入不可。
海外製のジェネリックであれば個人輸入によりタダラフィル錠の購入が可能な現状ではあるが、未承認医薬品の個人輸入してからの譲渡は禁止されている。
(医薬品等の個人輸入について |厚生労働省)
シアリスの国内・国外ジェネリック
シアリスに関しては国内でもジェネリック医薬品(後発医薬品)が発売されている。ジェネリックとは、特許期間が満了した先発医薬品同と同じ成分の医薬品のことで、効果は先発医薬品と全く同じ。
既存の医薬品であり、新薬開発にかかる費用が不要となるため、先発の医薬品よりも薬価を大幅に抑えられていることが大きな特徴となる。
国内製品のシアリスジェネリックは、沢井製薬、大興製薬、シオノミケミカル、東和薬品などから発売されている。商品名はシアリスではなく、有効成分を基にした「タダラフィル錠」の後に、各メーカーの銘柄名が追加されている。
シアリスのジェネリックは海外から個人輸入で購入することもできる。商品名は「タダリス」、「タダシップ」などであり、生産国は主にインドである。ただし、海外製のジェネリックED治療薬は国内では未承認なため、法律では禁止されている現状。