推薦図書や寄贈された本の紹介
推薦図書
学術委員会のメンバーより、推薦図書をいただきました。
日曜講座でもおなじみの本もありますね。
ぜひ参考にしてください。
左合昌美の推薦図書
明刊無名氏仿宋本『霊枢』
日本内経医学会刊
『漢辞海』or『新字源』
それぞれ三省堂書店と角川書店
※おすすめは電子辞書
『黄帝内経太素新新校正』
日本内経医学会刊
※現在品切れ、秋までには再版予定
※中国で発行された簡体字本でも可、楊注を含むのは必須
郭靄春『霊枢校注語訳』
天津科技出版社→貴州教育出版社
※現在はさらに別の出版社かも知れない
左合昌美『黄帝針経講座摘要1』
※少部数内部発行、分科会聴講者優先にします
林孝信の推薦図書
初学者のための推薦図書をリストアップしました。
石田秀実監修『現代語訳 黄帝内経素問・霊枢』
東洋学術出版社
家本誠一『黄帝内経 霊枢訳注』
医道の日本社
神麹斎『霊枢概要』
ヒューマンワールド
丸山昌朗『素問・鍼経の栞』
日本内経医学会
『島田隆司の素問講義』
https://omlca.teachable.com/p/4fc345
丸山敏秋『鍼灸古典入門』
思文閣出版
戸田芳郎監修『漢辞海』
三省堂
白川静『字通』『字統』
平凡社
米谷和輝の推薦図書
量が多かったので、少し表現方法を変えてます。
※入手方法については、amazonに定価の新品がなければ絶版扱い。
初心者向け
①鈴木健一ほか『漢文のルール』笠間書院
②二松学舎大学文学部中国文学科『中国学入門』勉誠出版
③加藤徹『漢文力』中央公論新社
④加藤徹『怪の漢文力』中央公論新社
⑤井波律子『故事成語でたどる楽しい中国史』岩波書店
⑥塚本靑史『四字熟語で愉しむ中国史』PHP研究所 絶版、amazon中古・kindleあり
⑦円満字二郎『漢和辞典に訊け!』筑摩書房 絶版、amazon中古あり

①は高校漢文の復習。②は二松學舍の教授陣がそれぞれの専門について語る。③④は漢文や中国古典についての読み物、特に④では医学についての言及もある。⑤⑥は中国史について一番わかりやすい2冊。初心者の目標は、漢和辞典が使いこなせるようになること、漢和辞典に書いてある事が理解できるようになることなので、⑦はその際有用である。
漢文語法が学べる本
①西田太一郎『漢文法要説』朋友書店
②西田太一郎『漢文の語法』角川書店
③二畳庵主人『漢文法基礎』講談社
④加藤徹『白文攻略 漢文法ひとり学び』白水社
⑤前野直彬『精講 漢文』筑摩書房
⑥宮本徹・松江崇『漢文の読み方-原典読解の基礎-』放送大学出版

①は非常に簡略だが用例が豊富。その増補版が②。③は加地伸行氏による大学受験の漢文参考書だが、それを大きく超えるレベル。④は白文の解読に特化した珍しいテキスト。⑤は漢文の読解のみならず歴史も学べる。⑥は放送大学テキスト。
漢文訓読
①古田島洋介『漢文訓読入門』明治書院
②古田島洋介『これならわかる漢文の送り仮名』新典社
③古田島洋介『これならわかる返り点』新典社
④古田島洋介『これならわかる復文の要領』新典社
⑤前野直彬『漢文入門』筑摩書房
⑥金文京『漢文と東アジア』岩波書店 絶版、amazon中古あり
⑦大島正二『漢字伝来』岩波書店 絶版、amazon中古あり
⑧中岡毅雄『俳句文法心得帖』NHK出版

一番簡単なのは①で、練習問題もついている。②は①より少し詳しい。③の返り点は、白文で読むことが多い場合はあまり参照しないかも。④は練習問題メイン。訓読に関しては、この四冊、特に①②で用が足りている。
漢文訓読の歴史については⑤⑥⑦でだいたいわかる。
訓読の文法は日本の文語文法だが、それを比較的簡単に解説しているのが⑧.
工具書の歴史
①大島正二『漢字と中国人』岩波書店 絶版、amazon中古あり
②大島正二『辞書の発明』三省堂 絶版、amazon中古あり
③大島正二『中国語の歴史』大修館書店
④頼惟勤『中国古典を読むために』大修館書店

①②は工具書の歴史に関する名著。それを増補したのが③だがやや複雑になってしまったか。④も工具書の歴史を網羅的に紹介している。
四書五経・諸子百家について
①野間文史『五経入門』研文出版 絶版
②竹内照夫『四書五経入門』平凡社
③浅野裕一・湯浅邦弘『諸子百家〈再発見〉』岩波書店
④湯浅邦弘『諸子百家』中央公論新社

五経に関しては①が詳しい。②はそれと比べればやや手軽。③④は出土文献からみた諸子百家について。
その他、小学で参考になる図書
①大島正二『唐代の人は漢詩をどう詠んだか』岩波書店 オンデマンド
②井上進『中国出版文化史』名古屋大学出版会 絶版、amazon中古あり
③古勝隆一『中国注疏講義』法蔵館

音韻学に関しては①が一番お薦め。②は中国の書籍を巡る文化の歴史についてで、『素問』『霊枢』の歴史を当てはめて読みたい。③は、注釈を駆使して中国古典を読む方法についてで、『医古文の基礎』につながる。素問講座の副読本としても使っている。
講義の参考にしている中国の『素問』注釈書(オークション、書店で輸入など)
①郭靄春『黄帝内経素問校注語訳』(中国)天津科学技術出版社
②山東中医学院・河北医学院『黄帝内経素問校釋』(中国)人民衛生出版社
③南京中医薬大学『黄帝内経素問訳釋』(中国)上海科学技術出版社

『現代語訳黄帝内経素問』東洋学術出版は、③を邦訳したもの。
寄贈本や購入本の紹介
日本内経医学会に寄贈していただいた本や、必要に応じて購入した本を紹介します。
会員の個人的な書評や感想、または忘備録的な備考などがありましたら、会員専用メールか事務局メールへ連絡ください。
寄贈本
当会と関係が深く、寄贈していただいた本をご紹介します。

扁鵲別脉――反思中国早期医学的歴史
著者:李建民
発行:社会科学文献出版社
発行日:2020年
体裁:
価格:
寄贈日:2021年7月12日
書評・感想:『内経』誌からの引用について

本書は、早期医学史の研究方法と、特に老官山医書について研究したものである。
李建民氏は、台湾大学歴史学博士であり、また台北中央研究院歴史語言研究所研究員である。著作には、『発現古脉-中国古典医学与数術身体観』『従中医看中国文化』などがある。2002~2003年、東京大学大学院人文社会系研究科客座副教授であったこともあり、日本の研究者とも親密な交流がある。当会会員とも個人的なつながりがあり、また会誌も贈呈している。本書でも、日本の研究成果、特に当会会員の研究成果を参考にした箇所が散見され、李建民氏のアンテナの広さには圧倒される。
本書後半は老官山医書についての研究である。老官山医書は、我々にとっては未知の、謎の多い、そして一日も早くその全貌を知りたい出土文献である。その一端を知ることができるため、読み進めるのが大変楽しみな一書である。
(米谷和輝)
『易の実践読本』
著者:小林詔司
発行:静風社
発行日:2019年12月5日
体裁:B6版203ページ
価格:1400円+税
寄贈日:2019年11月11日
書評・感想:
気とはなにか その意味を探る
著者:黒田俊吉
発行:たにぐち書店
発行日:2020年2月10日
体裁:B6版157ページ
価格:2000円+税
寄贈日:2020年3月13日
書評・感想:
経穴主治症総覧
書名:経穴主治症総覧
著者:池田政一
発行:医道の日本
発行日:2017年1月1日
体裁:
価格:16000+税
寄贈日:2016年12月28日
書評・感想:*20200106発行の「漢方主治症総覧」は姉妹編。
『現代語訳 脈論口訣』
著者:曲直瀬道三原著 篠原孝市訳註
発行:医道の日本社
発行日:2019年12月1日発行
体裁:B5版349ページ
価格:4500円+税
寄贈日:2019年11月25日寄贈
書評・感想:
舌鑑弁正
著者:藤本蓮風
発行:たにぐち書店
発行日:
体裁:
価格:
贈呈日:
書評・感想:
本書は『舌鑑弁正』の口語訳と弁釈(著者のコメント)から成っている。『舌鑑弁正』(1894年成る)は、清の梁玉瑜の口伝を、陶保廉が記録したものである。陶保廉はかねてから舌診を知りたいと思っていたところ、梁玉瑜の治療を受けて快癒したことから、所持していた『舌鑑』に梁玉瑜の弁正(誤りを正すこと)を加えてもらった。そのときの記録が『舌鑑弁正』である。内容的には、高度な実践書で、専門的な舌診書であって、入門書でもなく、概説書でもありません。
梁玉瑜は、舌診に長じている代々の医家で、冷静な診治を実践していた臨床家である。 陶保廉は、多病で、全国の名医の治療を受けたが、梁玉瑜に出会って真実の医学を身をもって知った。
以上のような背景を考えると、これを訳出できるのは限られた人だけである。
 舌診に長じている
 中薬に通じている
 臨床経験が豊富である
 漢文力がある
これだけなら候補者は何人かいる。さらに行間を読み込ためには2人のたましいに響きあう能力が必要である。
 理論より実践(臨床本位である)
 批判性を持っている
 客観的で拘泥しない
これらの能力は、以下の引用をみても明らかである。
「梁玉瑜の原典に対する接しかたは非常に素晴らしい。古来からの説に従いながらも臨床に合わなければ、たとえ旧説において立派な記述があったとしても批判し、臨床とは如何にあるべきかを説いているのだ。」(212)
「臨床家の立場から、良いところは取り入れ、悪いところを削り、分類しているのが特徴である」(25)
「舌診がすぐれていると本書では繰り返し主張するが、怪しき舌に出会うと、弁証論治の多面的観察基本を踏まえ最終的診断を決せよといっている。」(49)

以上の能力を考えると、本書を読み込めるひとは、藤本氏ひとりしかいないだろう。
さらに、藤本氏ならではの能力がある。
 直観力
直観とは「見る眼と見られる物に仲介場を置かず、じかに見ること。直ちにみることである」(柳宗悦『茶と美』講談社学術文庫)。評価が定まっていない医書を、見い出し、入れ込むには、迷いを挟まず、余計な考えも介入させないで、『舌鑑弁正』を見出した、その力が直観力である。

つぎに、気になったところ。口語訳の良いところは読みやすさで、悪いところは原文から離れてしまうことである。なんども推敲している間に、原文から離れてしまうのです。気になったところを2か所例示する。

原文「各省名医亦皆拠脈しんじゅのん立方、其能言陰陽伝変、五行生剋、運気流行、諸空談者、則侈然自足、而於切実治病之技、究無把握。」
口語訳「各省の名医にも見てもらったが、みな脈診で処方を立て、陰陽の伝変と五行の生剋・運気の流れといったことしか言えず、実際の治療技術については結局わかっていなかった。」(19)
補訳「各省の名医にも見てもらったが、みな脈診で処方を立て、陰陽の伝変と五行の生剋・運気の流れといったことを言って、その空談(空論)は自分勝手で自己満足である。樊遲に確実な治療技術は、結局わかっていなかった。」
*「而於切実治病之技」という句に、著者の思いが込められている。「而」は逆接で、名医たちは空論を持て遊ぶが、反対に技術においては分かっていないと、痛切なる気持ちが表れているのです。

原文「弁舌者宜於望聞問切四事参攷之、庶幾不差。」
口語訳「舌を弁ずる者は、望聞問切の際、これを参考にすれば、まず誤診はない。」(48)
補訳「舌を弁ずる者は、望聞問切と合算してほしい。誤診が無いことを望むものである。」
*「庶幾」は「~であることを願う」という意味で、著者の臨床に対する真摯さがよく表れているので、残しておきたいところ。

なお、『舌鑑弁正』の詳細は、杉本雅子「清代の代表的舌診書『舌鑑弁正』底本覚書」(『ほくと』64号、2019年)、および「中国舌診における『舌鑑弁正』の位置付け」(『ほくと』65号、2019年)にとても詳しく解説してあるので、参照されたい。

以上、『舌鑑弁正 訳釈』を評したが、日本の舌診の水平を知る上で、さらに臨床実践の緊迫さを感じる上でも、きわめて貴重であると思う。
(たにぐち書店、2019年、A5版、308ページ、)

(日本内経医学会 宮川浩也)
敦煌吐魯番意訳文献新輯校
著者:沈澍農
発行:高等教育出版社
発行日:
体裁:A4版721ページ
価格:
寄贈日:2019年9月23日 南京学術交流会において
書評・感想:
筆跡にみる心の襞
著者:藤本蓮風
発行:たにぐち書店
発行日:
体裁:B5版65ページ
価格:
贈呈日:
書評・感想:
臨床推論
著者:丹沢章八
発行:錦房
発行日:2019年2月10日
体裁:
価格:2700+税
寄贈日:2019年2月17日
書評・感想:
鍼灸医学導論
著者:徐斌・王富春
発行:
発行日:
体裁:B5版104ページ
価格:
寄贈日:2019年9月23日 南京との学術交流会に於いて
書評・感想:
購入本
当会の活動に沿った本を購入した際にこちらに挙げます。

医史跡を訪ねて
著者:鈴木五郎
発行:小太郎漢方製薬
発行日:
体裁:
価格:
購入日:
書評・感想: