舩後の詩のサンプル
『君に伝えたい』

ごめんね!ごめんね!ごめんね!
心から伝えたい。君に伝えたい。
そんなつもりじゃなかった。
君に怒りぶつけるなんて。
甘えてしまった。君の優しさに。

ごめんね!ごめんね!ごめんね!
心から伝えたい。君に伝えたい。
鏡越しの君の笑顔。本当に素敵だ。
その柔らかさに、また溶けていく。

やさしさ!けんしん!あいじょう!
心から報いたい。君に報いたい。
ほんとうに!信じて!このあい!
報いたい。報いたい。報いたい。

心でわかっているのに。
君も辛いはずのこと。
当たり前のふり。君の笑顔さえ。
ごめんね!ごめんね!ごめんね!
心から伝えたい。君に伝えたい。

『この部屋にある調べ』

もしあなたが日常と言う重い鎖につながれ
身動き取れないならば、
せめて僕の部屋に来てくつろぎませんか?
何故って・・・僕こそ鉛と鉄の鎧で身を固められ、
体の自由はとっくになくした筈なのに、
今では心の自由を手に入れ翼をもって、
この大空羽ばたき空続く限りの旅出来るからなのです。
だからもし、
あなたの重い鎖が心まで伸び縛り苦しめるのならば、
せめてあなたの胸の痛み苦しさ和らげられないのかと、
私の旅にお誘いしたのです。
難しい事ではありません。
ただ目をつむり、私の部屋に流れ来る旋律に、
身をゆだねるだけなのです。
するといつしかあなたの心は、鉄の鎖から解き放たれて、
私とともにこの大空羽ばたく事が出来ますでしょう。
だからこの調べに今、耳を傾けて下さい。
あなたの心、いえ魂解き放つこの調べに、
どうか耳を傾けてみて下さい。
調べ聴こえる限り、
私たちの旅は続ける事が出来るのです。
だから耳を傾けて下さい、この部屋にある調べに。
それはまるで、天から降りて来た贈り物・・・なのです。


『永くに及ぶ旅』

手探りの壁伝いに、漆黒の闇夜を歩く・・・。
果てしなく。
静寂の重々しさは、息苦しく、僕の歩みを留めた。
何所まで来たのだろう?
今、何所にいるのだろう?
何で僕は歩いているんだ?何のために?
壁を叩こうが、返事はなく、
その音さえ、闇が呑み込んでいく。
深々と、何かが耳もとで、轟く気がした。
それは、現実の耳鳴りとなり、僕の脳を締め付けた。
そして、思考は止まった。
僕の機能は、全ての作用を停止した。
この硬く冷たい空間で・・・。
出口の無い回廊で・・・。思考の迷宮路で・・・。
標もなく、彷徨う事に疲れ果てた。
どうしようもなく、疲れ果てた。
そして、とうとう眼を瞑り、へたりこんだ。
息をきらし、壁にもたれ、座りこみ、
滴る汗を拭った。

汗が眼に沁みて、瞳を濡らした時だった。
僕は、光を見た。
痛みを伴う汗と涙が、光に変化したのだった。
僕はその時、星の終焉を現す爆光と、
おぼろげながら悟った。
脳裏に、何かの力が加わり、
ぼやけた映像を映し出したからだ。
突然、畏怖の念にかられた僕は、
震える両手で、眼を押さえた・・・強く!
なぜ、なぜ、なぜなんだ!
惨然と煌く星団が、
目の前に広がったのだ。
涙は、その星屑となって、こぼれ落ちた。
眼を閉じさせられた瞬間にだけ見える星屑だった。
標はあった。気が付かぬ所に・・・。
ほんのさっきまで、僕は闇雲に歩いていた。
彷徨い歩いていた。
ただそれは、全て、
僕の内なる宇宙を見せるための試練だったのだろう。
僕は、今、宇宙と共に生きて、歩んでいる。
痛み、苦しみの果てに・・・。
偉大なる宇宙の力によって、
気付かされた今、この時、
僕の前に立ち塞がっていた漆黒の闇夜は、
強烈な光によって、かき消された。幻のように・・・。
今僕は、この住み慣れた現実の片隅から、
宇宙をみつめている。
そして、内なる宇宙を、標として、
僕を取巻く偉大なる大宇宙へと
踏み出そうとしている。
僕が生きる真の意味を求めて・・・。
僕が生きる安住の地を求めて・・・。
永く、果てしない旅へ・・・。

 

『ある朝の思い、ここに・・・』

ある朝、「爽やかですね」と自分に語る。
するとなぜか、若干の腰の痛みさえ残念に感じた。
巡り会わせた今日に、期待し、
心ときめかす自分もいた。
まるで無垢(むく)な少女の如く、
憂いなく、心配もなく・・・。
「新しき事は何?」まるで足かせ解かれたように、
心ははやる。
口篭(こも)る事は無く、腹より思いを吐く。
あ!あ!
時に価値重く、重く感じる疑念なく、
自分をあざむく事は、もう無い新しき日を迎え、
配管が薄汚く吊られた回廊には、二度と戻らない。
魂が染み残された壁に、語りかける事もなく、
先人のうめき木霊した部屋には、もう戻りたくない。
ある朝の思い、ここにつづる。日の出に誘われ・・・。


『人なら、だから意志を持て』

自分の言葉で喋れ、
人ならば、自分の思いで動け。
人ならば、他人の言葉に惑わされるな。
他人の動きに引き摺られるな。
強い奴に、巻かれちゃならない。
そして、言いたい事を抑え付けるな。
自分偽る事になる。
そして、やりたい事を抑え付けるな。
自分失う事になる。
自分の意志で語らなければ、
あなたはただの操り人形。
自分の意志で動かなければ、
あなたは寂しい操り人形。
人形なんて哀れだよ。
誰かの意志で、動かせられる。
形だけで命無い。
命あるから人なんだ命あるから喋って動く。
意志があるから喋って動く。
人なら、だから意志を持て。
人なら、だから意志を持て。