大地震・新潟中越地震体験気(第2報)



新潟アンギオ画像研究会

折笠康宏(厚生連三条総合病院)

地震からはや1ヶ月がたちました。長岡地区では生活状況もずいぶん元通りになってきました。ほとんどの地域ではライフラインである電気、ガス、水道(下水道も含む)も復旧し、大部分の人が自宅で生活をはじめています。私も5日間ほどの車中での避難生活のあと自宅に戻る事が出来ました。しかし被災後2週間ぐらいは強震がきた場合にいつでも家屋から逃げ出せるように玄関にもっとも近い部屋で、恐怖におののきながら家族みんなで寄り添うように寝ていました。最近は、まだ余震が続いてはいますが回数も規模も少しずつおちついてきているようです。そのため我が家ではようやく各自それぞれの部屋で寝られるようになりました。地震前までは、毎日仕事に行き、帰ったあとはあたたかい夕食をとり、テレビを見て、ゆっくりと風呂に入り、自分のベッドでゆったり寝る、こんな日常あたりまえだと思っていた普通の生活のありがたさを今はしみじみと実感しています。

道路や各交通機関もだいぶ元通りになってきました。倒れかけた電柱も、飛び出したり陥没したりしていたマンホールも修復され、波打っていたデコボコの道路もほぼ平らになってずいぶん走りやすくなりました。脱線していた新幹線も撤去され来月末には再開のめどがついたようです。2、3日まえには高速道路の一時的な補修も完了し、速度制限はあるものの1車線から2車線に確保され再開されました。また、仮設住宅への入居も可能となり入居しはじめた人もいます。しかし、激震地に近い人ではそれがままならず親類縁者を頼って離散した生活を送っている人も沢山いると聞きます。毎日のようにニュースで、各地の復旧の状況や様子が報道され、それを見るたびに不安感が少しずつ安堵感に変わっていくような気がするのは私だけではないようです。

しかしその反面、家を失い仮設住宅での生活を余儀なくされている人達もまだまだ多勢いますし、仮設住宅にも入れず、いまだ自宅に戻れなくて避難所での生活をおくっている人もいます。我々のような比較的被害の少なかった人たちは時間とともに元の生活に戻って不安も徐々に消えていくでしょうが、そうでない、不安を背負っての“先の見えない”人たちが多勢いることも事実です。それらの人たちの身体的疲労はもちろんのこと経済的にも、精神的な部分においてもまだまだ戦いが続いていきます。これまでの全国の皆様のあたたかいご支援は非常に心強いものでした。“がんばらなくては!”という気になり勇気も湧いてきました。そのおかげで私だけでなく多くの人達も立ち直れたと思います。今後も、これから先、戦いの続いていく人たちに今までどおりエールを送り続けて希望を与えて下さい。よろしくお願いします。            (2004.11.28