第8回循環器被ばく低減セミナー

プログラム
受付:9時30分
講義:10時〜17時・・・司会進行:松山赤十字病院  水谷 宏
 (挨拶、オリエンテーション10分)

基礎編10:10〜10:40
1)放射線の人体への影響および法令関連・・・・あかね会土谷総合病院  今田 直幸15分
2)法令関連・・・・・・・・・・・・・・・・・あかね会土谷総合病院  今田 直幸15分

装置編10:40〜12:00
3)X線装置による被曝低減技術・・・・・・・・滋賀医科大学附属病院  横田 豊 40分
4)アンギオ装置による被曝低減への取組み・・・フィリップスメディカル 勝間 忠義 20分
5)アンギオ装置による被曝低減への取組み・・・GEメディカル      船木 新壽20分
  線量測定編13:00〜14:20
6)線量測定法と面積線量計による皮膚線量概算・鳥取赤十字病院     入川 富夫 50分
7)PCIの患者皮膚線量概算法(フェードイ法)・・・・兵庫県立西宮病院    中原 誠 30分

X線防護用具編14:20〜15:10
8)術者被曝低減技術と実践例・・・・・・・・奈良県立医科大学附属病院 才田 壽一 40分
9)防護用具実践例・・・・・・・・・・・・・倉敷中央病院       横田 忍 10分

  話題提供15:20〜16:10
   10)被曝低減のための装置設定実践例・・・・・倉敷中央病院       横田 忍  10分
   11)術者被曝を考える・・・・・・・・・・・・松江赤十字病院      野津 泰一 15分
12)当院における被曝線量低減への取組み・・・津山中央病院       高谷 正彦 10分
13)被曝低減実践例紹介(パスへの導入)・・・ 兵庫医科大学病院     山下 達也 15分 

   総括16:10〜17:00
14)被曝症例・・・・・・・・・・・・・・・・松山赤十字病院      水谷 宏  20分
15)被曝低減のガイドラインと啓蒙・・・・・・松山赤十字病院      水谷 宏 30分
17:00セミナー終了 終了証書授与


循環器被ばく低減技術セミナー」を受けて
NTT東日本 関東病院 放射線部 和田 裕之
 今回初めて循環器撮影研究会に参加し循環器被ばく低減セミナーを受講しました。参加した動機としては、診療放射線技師として当然の義務である被曝低減ということに関してより多くの知識を身に付け、今の仕事に役立てようと思ったからです。 講義内容は放射線の人体への影響について、X線装置による被曝の低減や、X線の防護用具、法令など各テーマであり、それぞれ講義の時間は45分前後で担当の先生方に分かりやすく講義をしていただきました。どの講義においても何らかの発見というか刺激がありました。例えばX線装置による被曝の低減の講義において、フラットパネルをディテクタに用いれば従来用いてきたイメージインテンシファイア(I.I.)に比べどれくらい被曝低減が可能であるかということです。フラットパネルがI.I.に比べて被曝低減につながる理由として、感度の指標であるDQEがI.I.に比べて15%高いということ、またコリメーションを絞ることによって起こる線量増加がフラットパネルにはないからということがあげられます。一般撮影においては当院でもフラットパネルを用いており、CRと比べると約1/2以下の被曝低減を可能としているため、フラットパネルを透視装置に用いても同様な程度被曝低減が可能かと思っていましたが、実際は高画質の画像を出力するためにある程度の線量が必要となるため、結局のところ約数%程度の低減にしかとどまらず、従来よりも2割減という報告もあるとのことでした。しかしフラットパネルが被曝低減に貢献するということには変わりなく、またフラットパネルは経年劣化がほとんどないため、I.I.と比べると数多くの利点があることからいずれフラットパネルが主流となるだろうと思いました。

 また、特別講師として来ていただいた東京大学医学部助教授の中川恵一先生の話もとても印象的でした。東海村の臨海被曝事故によって中性子被曝した患者様が闘病むなしく亡くなるまでの経過を被曝という観点で話していただきました。途中目を背けたくなるような写真が何枚か出て来ましたが、放射線の恐ろしさを改めて実感いたしました。先生の話では全身被曝では放射線肺炎が最も重要であるが、今回横行結腸など粘膜が完全に消失するほどの障害が見られたにもかかわらず、肺の下部における障害がほとんど見られなかったというのが今でも謎のままで原因不明であるということでした。

 今回のセミナーを受けて改めて被曝について学べたような気がします。放射線被曝というものは大量に浴びると身体に障害が出ますが、使い方次第では充分有益な検査です。透視装置を操って長時間検査を行うときは、被曝低減を行うことで皮膚潰瘍の発生を極力抑えることが出来ます。透視検査に携わる際は、今日得られた知識を有効に活用していきたいと思います。

セミナー風景

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