左心室の急性側壁梗塞です。発作後経過時間は約48時
間位で、顕微鏡下では好中球の浸潤が見られます。白線
内の梗塞巣は周辺の心筋線維と異なり、黄色調です。側
壁梗塞は左回旋枝の閉塞による循環障害です。心筋梗
塞は貧血性梗塞です。
左心室の急性後壁梗塞で心筋が破裂(矢印と矢印の間)し
心室内の血液が心嚢内に出てしまった、心タンポナーデ
です。後壁梗塞は右冠状動脈の血栓などの閉塞によります。
冠状動脈の支配域を参考にしましょう。
右冠状動脈内の血栓症(黒矢印)です。血栓は動脈硬化に
より内皮損傷を起こし、組織トロンボプラスチンが活性化さ
れ、凝固機転が働いた結果形成されます。
冠状動脈血栓症の原因の多くは動脈硬化の粥腫崩壊に
よるものです。アテロームと呼ばれる粥腫は血管の狭窄を
起こし、また内皮を傷害し血液凝固反応を起こします。閉
塞された冠状動脈によって心臓は壊死に陥ります。
(Azan染色)
急性の心筋梗塞を起こした心筋線維は痙攣性の収縮を
繰り返し、異常な横紋のバンド(contraction band)を作り
心筋線維は好酸性の凝固壊死を起こします。(MT染色)
壊死に陥った心筋線維は崩れるようにもろくなります。この壊死部は内圧に負けて裂ける場合があり、心室内の血液が外に出て心タンポナーデを起こします。矢印は心筋が裂けた部位です。(HE染色)
壊死を起こした心筋線維を横断面で見ると好酸性の凝固
壊死を起こしているのが分かります。凝固壊死はミトコンド
リアの膨化に始まり、不可逆的な変性から壊死に移行しま
す。この時点で筋原顆粒の膨化と好酸性変化となります。
周辺の心筋線維の横断面に見られる筋原線維(顆粒)が
見られません。(MT染色)
梗塞を起こして死に至らなかった場合、壊死に陥った心
筋線維は修復されます。これは炎症の修復過程と同じで
壊死心筋はマクロファージや好中球によって清掃され、
次に線維芽細胞によって線維化されます。写真では黄褐
色になったマクロファージが見られ、このようなマクロファ
ージをベルリン青染色(鉄反応)すると青く染まってきます。
また線維芽細胞によって線維化されています。(HE染色)
心筋梗塞
高範囲に前壁から側
壁にかけて梗塞を起
こした例で、心筋は
凝固壊死を起こして
出血が見られます。
このような心筋梗塞
は初期の段階では下
写真のような心筋横
紋の異常が見られ、
また心筋の染色性は
アシドーシスに傾くた
めに好酸性を示しま
す。
凝固壊死を起こした心筋線維は横紋構造の乱れが見られ
ます。横紋構造は片寄り、引き延ばされて収縮バンドを形
成します。(PTAH染色)