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NL6_52

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  第52回大会報告一覧 印刷用PDFファイル(セクション4 災害保健・ホームレス問題)

一般演題セクション4(災害保健・ホームレス問題)のまとめ 

 報告者:座長 藤村美登里(名古屋市西保健所)


B―6は、近い将来予測されている東海地震、東南海地震の地震防災対策強化地域を管轄する保健所が、地域防災計画関係者(防災担当)と市町村保健師と連携を図り、それぞれの職務・業務の専門性特性を生かした地域防災体制づくりの研究発表であり、B―7は、B―6の活動に参画した地域防災計画関係者(防災担当)から、この活動の研究発表である。

B―6 地域で取り組む災害時保健活動体制(その1)〜16・17年度2年間の取り組みをとおして(保健所保健師の立場から)

東海地震、東南海地震の地震防災対策強化地域を管轄する保健所保健師は、大規模地震発生に備え、地域防災計画関係者(防災担当)と市町村保健師と連携を図り、保健師ひとりひとりが災害発生時に主体的に活動ができるよう意識向上を図る取り組みを平成16年度から開始した。取り組み内容として、平成16年度の年間プログラムは、第1回「度阪神淡路大震災への支援活動の実際をビデオ鑑賞」、第2回「図上訓練、グループワーク」、第3回シンポジウムとした。第3回のシンポジウム企画中の10月新潟県中越地震が発生し愛知県下保健師も健康支援活動に参画した。そして、参画した保健師の実際の体験報告が第3回の中でなされ、改めて、この取り組みの重要性及び具体的な災害時の保健師の役割を考える契機となった。平成17年度の年間プログラムは、第1〜3回はテーマ別ワーキング、第4回は、ワーキングのまとめ及び講演会とした。
この2年間の取り組みの成果として、「災害時の保健師の役割を具体的に考える契機となった」、「防災担当者に専門職の保健師の活動の理解が得られた」、「保健活動マニュアル作成の気運があがった」の3つである。
保健所は、広域的に地域支援を果たす役割として、所内体制の強化とともに市町災害時保健活動体制づくりを支援し、防災を含め、今後もお互いの活動を確認する場を提供していくと結んでいる。

B−7 地域で取り組む災害時保健活動体制(その2)〜16・17年度2年間の取り組みをとおして(防災担当の立場から)

災害時の要援護者支援対策は大きな課題であり、その対策には行政・医療機関・民生委員、ボランテア団体等連携が不可欠である。防災担当者が、「地域で取り組む災害時保健活動体制づくり」に参画を契機に、住民の防災意識の啓発の機会を保健師、栄養士等専門職が行う保健活動の中に取り入れた。
まとめとして、防災行政においても保健師等のもつ専門性の活用は有意義なものであり、医師会との連携や災害要援護者対策においても、防災機関との調整役に適し、円滑な医療救護策活動に不可欠な職務であると結んでいる。
 

B−8ホームレス保健サービス支援事業を実施して (第1報)−関係機関との連携から見えたものー

B−9 (第2報)−健康調査・健康診断結果から見えてきたものー

B−10 (第3報)−歯・口腔の健康状態からから見えたものー

B−8・9・10は、愛知県ホームレス自立支援施策等実施計画に基づき愛知県一宮保健所が、平成17年度保健サービス支援事業を管内に生活するホームレスを対象に実施し、その事業のマネジメント、健康実態調査、健康診断(結核・成人基本診査・歯科)等についてそれぞれの担当者からの研究発表である。
 事業を推進するにあたり、支援機関である医師会、ハローワーク、国土交通省、市関係課、民生委員等19機関との地域ネットワークを設置し、研修会、事例検討会、会議を開催し、情報交換、問題、課題等共通認識を持ち取り組み体制を整備した。
管内ホームレス把握数は32名であり、健康実態調査、健康診断、健康相談、訪問指導等実施した。健康実態調査(N=30名)では、ホームレス歴は、1ヶ月から10年と幅広く、リストラ(失業)がホームレス契機となった者6名、アルミ缶回収の収入者5名、また、健康診断(N=13名 平均年齢56.7歳)では生活習慣病等要医療3名、要精検3名であったが費用の問題で2名のみ受療であった。歯科検診では、一人当たり現在歯数17.15本、健全歯数は6.85本であり、咬合している箇所が認められない者が9名であった。
 課題、まとめとして、ホームレスの自立には、関係機関の支援連携が不可欠であるが、ホームレス自身が持つ問題解決能力を高め、それぞれの関係機関がもつ役割をコーデイネートする担当が必要あり、サービス体制を持ち得る市がその担当に望まれる。また、自立後のフォローアップ支援も視野に入れ関係機関の連携を積み上げていきたいと結んでいる。

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