!!!理事会通信 平成25年12月 !!平成25年12月発行号のダウンロード [PDFファイル(ここからダウンロード)|http://plaza.umin.ac.jp/~tpha/cgi-bin/wiki3/wiki.cgi?action=PDF&page=2013Rijikaitsushin] *今年度の理事会通信は、A4版カラー4枚で編集しました。 ぜひ[PDF版をご覧下さい。ここをクリック!|http://plaza.umin.ac.jp/~tpha/cgi-bin/wiki3/wiki.cgi?action=PDF&page=2013Rijikaitsushin] !事務局より 2005年度より年一回理事会通信を発行しています。今年度も各地区各分野から選ばれた公衆衛生のエキスパートである理事の先生方から会員の皆様へのメッセージをお届けいたします。今年度は東海公衆衛生雑誌第1巻第1号を発行し、学会誌としても新たにスタートいたしました。 ぜひ、理事会通信を通して、東海公衆衛生学会ならびに理事の先生方の活動を身近に感じていただけたら幸いです。 <メールアドレス登録のお願い> 通信費の削減のために、事務局から会員のみなさまへの情報提供は、ホームページおよびメールマガジンを通して行なっております。メールアドレスを未登録の方は、事務局 tokai-ph@med. nagoya-u.ac.jpまでご連絡下さい。  !!平成25年度 各理事からのメッセージ !東海公衆衛生学会理事長 名古屋大学大学院医学系研究科医療行政学 教授 浜島 信之 '''動き出したアジアへの展開と公衆衛生学部の必要性''' 名古屋大学医学系研究科医療行政学講座に異動致してから1年が経ちます。この講座は文部科学省の奨学制度であるYoung Leaders’ Program(YLP)という1年間の医療行政修士コースを担当する部局です。YLPは4大学に設置されており、名古屋大学は2003年に開講しました。本年10月17日には文部科学省、外務省、厚生労働省からの祝辞を賜り、創立10周年記念式典を開催することができました。 この講座に異動してから多くのことを学びました。安倍首相が本年9月号のランセットに“Japan’s strategy for global health diplomacy: why it matters”というタイトルで論文を寄稿し、universal health coverageを世界に広めること、public-private partnership (PPP)として日本政府、日本の製薬会社、ビルメリンダゲイツ財団がGlobal Health Innovation Technology (GHIT) Fundを立ち上げ、発展途上国に多い疾患に対する医療技術開発促進を行うことを明言しました。これに呼応して、わが国の多くの企業や病院がアジアに目を向け進出を検討しています。医療従事者の国を超えての移動も重要なテーマとなり、医療資格の国際間での調整も必要となってきています。各国での公衆衛生支援活動の重要性も増してきています。 このような保健医療のグルーバル化を考えれば、大学における公衆衛生学部の設置は必須であり、更に声を大きくしてその必要性を社会に訴えていかなければなりません。米国では50を超えるSchool of Public Healthがあり、韓国でも少なからずSchool of Public Healthがあります。わが国の大学にも公衆衛生の特定の領域に関する小規模の組織はできつつありますが、医学部に比較できるような規模での公衆衛生学部はありません。 政府がどうして特定の問題を政策として取り上げるのか、その過程はHealth Policyの分野ではAgenda settingと呼ばれ、2つのモデルが挙げられています。Hall et al. modelでは、その課題がlegitimacy(政府がすべき仕事である)、feasibility(実行可能である)、support(国民から支持がある)の時に政策に取り込まれるとしています。Kingdon modelではproblem stream(政府が関与すべき公的な問題であるという認識)、policy stream(問題の分析から解決方法の提案)、politics stream(国民の気持ち、政府、関連するグループの活動の変化)が重なった時に取り上げられると説明しています。 政府が保健医療のアジアへの展開に着手したことは、上記モデルにそって考えれば、公衆衛生学部設立をAgendaとするのに適した条件がそろってきていると言えます。公衆衛生活動に携わる会員の皆様と一緒に、公衆衛生学部設立を支援致したく思います。 !名古屋市中保健所 所長 明石 都美 '''児童虐待防止、保健所の仕事、公衆衛生''' 児童虐待による平成23年度の死亡者数、99人(内41人は未遂を含めた心中)。ここ数年、児童虐待防止は保健所の母子保健上の喫緊の課題となっています。保健所が係わる児童虐待への基本姿勢は、「親への育児支援」の位置づけですが、居所の確認から、親との接触方法、支援のための人的なネットワーク捜し(づくり)と、多岐にわたり、学校、保育園、警察、民生児童委員など多くの人たちと一緒に、個々の子どもたちに係わっています。児童虐待では、子どもの命を守ることと共に、将来のことを考えると、社会全体の貧困層の出現と相まって、子どもたちへの貧困への連鎖も本当に危惧される状況です。 第72回日本公衆衛生学会で、イチローカワチ氏が、基調講演の中で、「健康への投資(貧困から脱出)として幼い頃からの教育が効果的である」と、疫学調査結果を基に話されていましたが、今後の方向を示されていたようで、心に残っています。 一人暮らしの高齢者や、虐待が危惧される子どもたちが、地域で何とか暮らせているのは、地域で支えてくれる人たちがいるからです。これらの人たちの力は、今後さらに必要とされるでしょう。また、自分も何かの役に立ちたい、ニーズに応えたいと思っている人たちも、地域に大勢みえると感じてもいます。そのような中で、その人たちに、健康やQOL向上のため、今、何が必要とされているのかを示すのも公衆衛生の役割です。 それにしてもこれからの時代、健康やQOLにとっても、ますます目に見えにくい問題が多くなる難しい時代と感じています。多くの分野から、課題や研究成果を発信してゆくことが大事なのでしょう。 !学校法人中西学園 名古屋学芸大学管理栄養学部 教授 五十里 明 '''「公衆衛生行政から離れて」''' 35 年間の地方公務員生活をこの3 月に終えて、4 月からは私立大学管理栄養学部の教 員として、管理栄養士の養成に微力ながら務めております。 ゆとり教育世代の学生達と向き合いながら、仕事環境の余りの違いに戸惑っておりま すが、約30 年ぶりに臨床医学を勉強する機会となり、医学の進歩に驚きつつも、知識の 広がりに充実感を味わっている今日です。 今年10 月には、この東海地区において、そうけ島学会長の下に第72 回日本公衆衛生学会 が開催され、大きな成果を挙げられました。私も、何年振りかでフル参加させていただ き、このことも環境の変化によるものの一つであり、有意義な学会となりました。 愛知県政には、多くの皆様のご支援、ご協力をいただき、激動の日々を何とか過ごし てまいりました。幾つかの宿題を残しつつ、後輩の皆様方にバトンタッチして、新たな る諸課題に取り組んでいきたいと考えております。 会員の皆様の益々のご活躍を祈念致しております。 !愛知県一宮保健所 所長 犬塚 君雄 '''「いきいき東海サテライト集会」を開催して''' 今年も学術大会終了後に「いきいき東海サテライト集会」を開催させていただきました。この集会は、東海地区の保健所や市町村、大学などで地域の公衆衛生活動に携わっている医師、保健師、栄養士、歯科衛生士等が中心になって、地域での特徴ある活動事例について学び、公衆衛生活動の方向性やその具体的な進め方についての熱い討論と交流することを目的に開催しています。6年前、静岡市で学術大会が開催された折りに尾島先生の発案で始めました。「事例に学ぶ」を基本とし、時宜を得たテーマで開催してきましたが、今年は静岡市保健所長の加治正行先生に「タバコから子どもたちを守るために」と題して講演していただき、最新の知見とタバコ対策にかける加治先生の熱い想いを伺い、参加者一同感銘を受けることができました。もちろん毎回開催している集会後の情報交換会も大いに盛り上がりました。 こうした自主グループによる集会に便宜を図っていただいている学会に対し、世話人の一人として深く感謝すると同時に、年に1回ではありますが、県を越えて交流ができることを大変楽しみにしております。できれば来年以降も続けていきたいと考えており、熱い議論と仲間でこの地域の公衆衛生活動を盛り上げていきたいと考えています。 !浜松医科大学健康社会医学講座 教授 尾島 俊之 '''第59回東海公衆衛生学会ご参加のお礼''' 平成25 年7 月20 日(土)に、松井三郎掛川市長を大会長として、第59 回東海公衆衛生学会学術大会を静岡県で開催させて頂きましたところ、大勢の会員のみなさまにご参加、ご発表を頂き、大変ありがとうございました。今回の学術大会は、掛川市の運営事務局と浜松医大での学術事務局に加え、静岡県及び県内関係の顧問・実行委員、また愛知県からのボランティア、そして座長の労をお取りいただいた先生方等の力を結集して、開催することができました。 今回の学会では、健康日本21(第2次)にも記載されています「健康を支え、守るための社会環境の整備」をメーンテーマとして、特別講演や、4県1市からの実践事例紹介をして頂きました。一般演題の発表も含めて、とても素晴らしい取組が行われていることを知ることができました。 平成26年は名古屋市での開催となりますので、また大勢の会員のみなさまとお会いできますことを楽しみにしております。 !愛知県豊川保健所 所長 澁谷 いづみ '''平成25年の東海公衆衛生学会と日本公衆衛生学会のつながりを振り返る''' 東海公衆衛生学会と日本公衆衛生学会はそれぞれ独立した学術団体ですが、多くの会員が重なっていることもあり、また後者は毎年総会を全国各地交代で開催していることから、協力体制が整ってきていると感じます。 25年2月には「日本公衆衛生学会認定専門家制度」の岐阜県・愛知県の初めての地方試験委員会が持たれ、認定試験が行われました。また、7月20日掛川市で開催された東海公衆衛生学会は、今年もこの制度の単位取得ができる認定学会とされました。 今年三重県で日本公衆衛生学会総会が開催されましたが、これも地域の結びつきを深めたのではないかと思います。飛行機や新幹線で多くの方が愛知県にもお越しいただけたのではないでしょうか。主催の三重県の皆様には大変ご苦労様でした。特に雨の中、誘導する知り合いの保健師をみかけました。ありがとうございました。 !あいち健康の森健康科学総合センター長 兼 あいち介護予防支援センター長 津下 一代 '''健康寿命を真剣にのばしていこう!将来の生活のために''' 健康日本21(第二次)が始まり、市町村や企業からの相談が増えてうれしい悲鳴を上げています。既存の公衆衛生データを組織横断的に持ち寄り、地域の現状を把握するところから始まり、自治体幹部を交えた全庁的な勉強会や市民への情報公開、具体的な戦略作りなど、「地に足がついた」取り組みが多くの自治体で始まっています。 一方、取り組みにも地域格差があり、第一次と同じようにコンサル丸投げ・アンケート依存型計画で満足している自治体がいまだに残っているのは悩ましい限りです。ほんとうに動く計画とするために、いろいろな機会を通じて働きかけているところです。 国も「健康寿命をのばそう!アワード」を開始したり、日本再興戦略に位置づけたりして、健康増進の取り組みを強力に進めています。先日、政府広報「徳光&木佐の知りたいニッポン!健康づくり大キャンペーン」(内閣府インターネットテレビ)の撮影もありました(12月19日公開)。ぜひご覧ください。 !岐阜大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学分野 教授 永田 知里 最近はどこの大学医学部でも、学部卒業後、基礎医学や社会医学に進む学生が少ないことが問題になっています。当教室では遡れば、大学院での研究期間を経て、そのまま公衆衛生の研究を続ける者や保健所、行政で公衆衛生の実践に携わる者など、各方面に豊富な人材を提供してきた歴史がありますが、今は、情けない状態です。私の非力さもありますが、背後に医師不足を含めシステマティックな問題もあるように感じられます。学部の早い時期から基礎医学や社会医学の研究に触れさせ、将来、大学院に進み研究医の道を選択するようにとの試みもありますが、現場が努力しても限界はあります。また、迎合するようで釈然としないときもあります。公衆衛生の場において大学が人材のプールでありたいのですが、険路を進む思いの今日此の頃です。 !名古屋市健康福祉局 参事 松原 史朗 '''風疹''' 平成25年春には風疹が全国的に大流行しました。特に関東や近畿地方で患者数が急増し、東京都、神奈川県、大阪府等が風疹ワクチン接種費用の助成を開始しました。この状況の中、本市も助成の検討を始めましたが、東海地方の流行はまださほどでないこと、補正予算を上程しても助成開始まで時間がかかることなどの課題がありました。しかし5月16日に愛知県が助成の方針を発表。本市も直ちに助成を決定して5月20日に発表し、妊娠を希望する女性やパートナー等を対象に6月14日から助成を開始しました。なお風疹は成人の 8〜9割が抗体を持っています。予算やワクチンを効率的に使うため、本市は抗体検査をまず自費で受けていただき、免疫が不十分な方にワクチン接種費用を全額助成する方式としました。独自の方式でしたが、後にワクチンが不足し、厚生労働省からこの方式が推奨されることになりました。ただこの対策は今年度限りのため、来年度の風疹対策を改めて検討しなくてはならないと思っています。 !!事務局通信 !事務局スタッフ 渡邉優子 久し振りの友人との旅行、60年振りの大遷宮を終えた出雲大社へ行ってきました。 初めての出雲大社は、想像よりも清々しく、穏やかで優しい空気に包まれ、突き抜けたような明るさに満ちていました。 心静かに手を合わせ、今までのご縁に感謝しつつも、これからも素敵な出逢いが沢山ありますように!(必死!)と祈る自分の浅ましさ・・・。 家族の縁、友人の縁、仕事の縁、物との縁、“縁”とは本当に不思議なもの、でも今までの色々なご縁のおかげで今私がここにこうして元気で在るのだと思います。 一期一会、大切にしながら、来年も全力投球、頑張りたいと思います。 !事務局一同より 理事会通信お楽しみいただけましたでしょうか。 理事会通信に関するご意見、ご感想等がございましたら、是非事務局までお寄せ下さい。 各理事へのご質問・ご相談も承ります。 また、東海公衆衛生学会の活動全般、学術大会のあり方等への要望などもお待ちしております。 事務局一同 東海公衆衛生学会事務局:名古屋大学大学院医学系研究科予防医学教室 〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65 Tel: 052-744-2132 Fax: 052-744-2971 E-mail: tokai-ph@med.nagoya-u.ac.jp