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第50回東海公衆衛生学会学術大会に参加しての変更点

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!!!第50回東海公衆衛生学会学術大会に参加して
[印刷用(PDF)ファイル|http://plaza.umin.ac.jp/~tpha/cgi-bin/wiki3/wiki.cgi?action=ATTACH&page=FrontPage&file=Newsletter50%5F2%2Epdf] 
!!○教育講演1.「小児の生活習慣病予防と保健事業評価について」  報告:名古屋市立大学大学院医学研究科・大学院生 丸本光洋

 教育講演1では、あいち小児保健医療総合センター 総合診療部長・保健室長 山崎嘉久先生が、小児の生活習慣病予防と保健事業評価についてお話されました。

 生活習慣病の予防は小児から取り組むものであるといえる。小児における生活習慣病予防の取組みとして、(1)生活習慣病の一次予防において重要な「行動変容」は、小児期においては成人よりも容易とされる。小児に保健行動を習慣化させることは比較的短期間ですむ。(2)子どもの生活習慣は家族の生活習慣に影響されるため、親がよい生活習慣を示したり、また、子どもがよい生活習慣を示した時に誉めてあげるなどのことで子どもを動機づけられる。(3)小児の生活習慣予防の効果測定として、「健やか親子21」のホームページがある。このデータベースを利用することで、母子保健事業の実態を知ることが出来るなど、いろいろな取組み方法がある。小児の生活習慣病の予防目的は、現在の子どもとしての健康状態ではなく、未来の成人してからの健康状態の改善を目指したものである。したがって現在の母子保健事業も、未来を見越した先行投資の必要性が問われる、ということでした。

 最近では、肥満した児童がとても増加しているように感じられます。肥満した児童がそのまま大人になったときの日本はどうなってしまうのでしょうか。山崎先生の提唱された取り組みが、世の中に広く伝わっていくことの必要性を強く感じます。

!!○教育講演 2. 「健康日本21の評価について」  報告:名古屋市立大学大学院医学研究科・大学院生 細野晃弘

 本教育講演は、愛知県健康福祉部の藤岡正信先生が座長をお務めになり、三重県松坂保健所長の佐甲隆先生にご講演いただいた。午前中の学術発表が盛会に終わり、会場はその余波を受けたか満席に近い状況で、すりばち状の会場の上段に近いところに位置した方々は、その熱気を感じられたことと思う。

 愛知、三重を中心とした各自治体がいかに地域保健計画を推進したか、およびその後の事業達成度等の項目を各自治体内部で評価した、という内容だが、評価表の妥当性、評価項目の内容から始まって、最後に各自治体からの健康日本21に対する取り組みの上での意見まで扱われた講演だった。評価方法、調査票の内容は妥当とみる意見が多く、推進状況の評価、および意見としては、現状について好感触を得ているという事であったが、情報提供などについては国の関与を促したいという意見もあり、部分的には問題点を浮き彫りにすることとなった。

 各自治体で地域予防の最前線で活躍されている方々の奮励努力を、本講演にて伝えていただいた思いがする。

!!○シンポジウム 「評価を視野に入れた健康日本21の各地での取り組み」  報告:名古屋市立大学大学院医学研究科・大学院生 吾川弘之

 健康日本21の実践方法は様々であり、自治体や企業などの主体によって重点の置き方が異なる。

 豊田市健康増進課の加藤氏は、住民ボランティアから成るヘルスサポートリーダーを養成し、さらにそこからヘルスサポーターを養成していくといういわば「健康の裾野を広げる」やり方を紹介されたが大変ユニークな試みと思われた。

 多治見市の纐纈氏は、優先課題を4つに絞って目標を理解し易く無理なく実行できる“ハッピープラン”という計画について話された。限られた予算と人手の中で行うには効率よい方法と考えられたが具体的な数値目標が課題とされた。

 一方、ホンダ鈴鹿工場の櫻井氏は、従業員の自助努力を啓発していく方法でかつ最も経済的なプランを考えておられるようであった。また、企業においては産業保健スタッフの効率良い活動が強く求められているのを感じた。

 静岡県総合健康センターの久保田氏はITを用いた健康管理という現代的な手法を紹介された。これにより非常に多くの人々に対して最小限の健康管理情報を与えることができると考えられるが、結局は自助努力によるところが大きいと思われる。しかし、個別に具体的な数値目標に従って管理を行うことが可能なので将来的に発展が期待できる。

 最後に、名古屋市の丸山氏による喫煙予防教育についてはその場限りで終わらせないことが重要と考えるが、教育活動の直後でも喫煙に対する興味を失わない児童がいることは悲しい実情である。思春期全体に及ぶ粘り強いフォローアップが大切と思われた。

!!一般口演 座長から発表者へのコメント

!あいち健康の森健康科学総合センター 津下一代  (A会場 健康づくり1)

 本セッションでは、健康づくり事業推進のための環境整備、事業評価、人材養成、健康教育のあり方などについての話題提供がありました。いずれも日常の健康づくり活動をまとめた実践的な発表であり、事業の目標値設定の妥当性、調査票の設計、統計手法、得られた結果の活用法(情報公開も含めて)などについて、フロアとの活発な議論が展開されました。保健事業は法律に基づく行政の仕組みに則って行われますが、健康づくりはひとりひとりの意欲を引き出すための創意工夫が求められる分野でもあります。対象者のニーズを的確に把握するためにはどうすればよいのか、対象者に受け入れられる教育手法は?どのように事業評価し次の事業に活かすか、等について継続的な研究が必要であり、本セッションは悩みつつ事業を実施している保健担当者の情報交換の場となったと思われます。研究で得られた成果を今後の活動にどのように生かしていくのかを明確に意識していくことが大切でしょう。

!名古屋大学医学部保健学科 榊原久孝 (A会場 健康づくり2)

 「健康づくり」のセッションのA7からA11まで、産業現場での肥満とストレス、地域での高齢者筋力トレーニング、小中学生の動脈硬化危険因子、小中学生の重心動揺と足形、インドでの大腸がんの疫学調査などの報告がありました。各報告とも現在の保健課題について、現場での調査結果から実際の保健課題を明らかにしようとした報告で、各報告とも良くまとめられた研究報告だったと思います。ただ、発表時間が質疑を入れて10分でしたので、活動内容にまで立ち入って意見交換するのには、時間が短かったように感じます。このセッションでは、現場と大学との協力共同による報告が主でしたが、こうした協力共同が地域での公衆衛生活動の展開に繋がってゆけばと思います。

!名古屋市南保健所 加藤浩  (B会場 母子・小児保健 )

 母子・小児保健の6題を担当した。時間外電話相談の分析では、育児不安の現状と実態が浮き彫りとなり、母親の不安を受け止めるシステムの拡充を提言した。ハイリスク母子のケアのためには、「地域医療と保健福祉の連携が重要である」とした2題が発表され、いずれも先進的に取り組み好成績をあげていた。虐待関連の調査分析では「早期発見」については積極的に対応されていた。一方事後のケアへの取り組み不足が示唆された。乳幼児発達関係と思春期教育関係の発表は、それぞれユニークかつ重要なもので日常業務に追われている私どもに大変参考になった。

!名古屋大学総合保健体育科学センター 大澤功 (B会場 高齢者保健)

 私はB会場で高齢者保健の座長を務めました.テーマは,配偶者と死別した高齢者への支援,生活環境の違いが満足度に及ぼす影響,要介護状態予防のためのアセスメントツールの評価,一人暮らし高齢者のQOLの特徴の4題で,すべて現在の日本の高齢者が抱えている重要な問題を扱ったものでした.ひとくちに高齢者と言っても,ひとりひとりは健康状態や生活環境,そして何を望むかという意向や価値観は異なっており個別の対応が必要です.今回の発表は,このような多様性のある高齢者に対する社会的支援を検討する際に貴重な資料となる報告だったと思います.発表者が問題意識を持って,それぞれの地域や職域において意欲的に取り組んでいることが十分に感じられました.ただすべての演題もまだまだ基礎的資料の段階にとどまっており,今後今回の結果をふまえて実際に現場でどのように行動するかが重要です.次回以降の本学会で,ぜひその成果を発表していただきたいと思います.

!名古屋市立大学・院医・健康増進・予防 鈴木貞夫(C会場 精神保健・その他)

 C会場は全部で11演題,「精神保健・その他」と「地域保健」のセッションで,音楽療法,感染症,ホームレス実態調査,がん登録,検診とその評価など多彩な内容でした.日常的な業務をまとめ,発表するということは,公衆衛生活動を行う上で重要なことです.しかし,それは煩雑な作業であり,計画されたデータではないものが多いため,このような形にまとめることは労力がかかったに違いありません.その熱意に敬意と賛辞を送りたいと思います.反面,発表が長めだったため,十分な討論が持てなかったことが課題として残りました.その他にも考えていただきたい点がいくつかありました.1)得られた結果と考察や結論の間に乖離がないか.データから本当にその結論が引き出せるのか.2)統計的な手法は適切か.3)プレゼンテーションの方法は適切か.短い時間,限られたスペースで理解しやすいプレゼンテーションか.以上,今後の活動の参考にしていただければ幸いです.

!名古屋市中保健所 兒嶋 明徳(C会場 地域保健)

 地域保健の6題(C-6 からC-11)の座長を担当しました。幸い、フロアからの質疑があり、座長からの愚問の必要はありませんでした。それで、刈谷、安城市のホームレスの生活実態に関する報告を、私の勤めている名古屋市中区管内のホームレスと比較しつつ、彼らの食べ物の調達方法に差があるのか、自覚症状一位でも、う歯・欠歯の治療まで行政は手を出せんわなあなどと考えながら、また、検診関係3題については、地域のデータが示す傾向が地域の特性を示すのか、データの偏りなのかを判断できずに、エピデミックと表現される米国の深刻な肥満と、わが国の肥満との質的な差の可能性に想いを馳せつつ聞いていました。そして、最後の演題、「第三次対がん十か年総合戦略」の目標であるがんの罹患率・死亡率の有意な減少を評価するために不可欠である地域がん登録の精度に関して、何とかせいと言われていて相変わらず低い名古屋市域の登録精度、ため息・・ 

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