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てのひらに感じる重み

452gで生まれた娘を目の前にして、お父さんは人目をはばからずに涙を流した。
この夏一番の暑さのなか、黄色いTシャツにジーンズ姿で、
両手を頬にあてて、涙を流していた。

それはただただとても胸が熱くなる場面だった。


小さな腕も、か細い指も、力強く動かしている。
目の前にいるこの子は、確かに生きている。
彼らは、ただ生きることに精一杯なんだ。
呼吸をすることも、心臓の鼓動をうつことも、
足を動かすのも、あくびをするのも。
彼らの姿を見ていると、一つ一つのことが生きている証なんだ、って思える。


窓越しに彼らを眺めるお父さんやお母さんの気持ちもまた、
私の胸をしめつける。
手のひらに乗りそうな我が子を見て、
「本当に大きくなるんだろうか」と不安が先行しながらも、
その可能性に、その成長に、日々喜びも感じている。

人が生まれること、成長していくこと、
その一瞬一瞬に携わることができるのは、
本当に素晴らしいことだ。


忙しくて疲れたら、彼らを抱っこしてみる。
穏やかな寝顔、小さな掌、のびのびとした動き、
そのひとつひとつがすべてがひたすらに真っすぐで愛おしい。


鬱屈として、陰を落としがちなご時世だからこそ、
小さな命が、全力で呼吸をして、手足を動かして生きていること、
その勇気づけられる、愛おしい、未来のある事実を、
ただ誰かに伝えたいと思った。


その人のことを深く知ることが、その人を受け入れる第一歩で、
その積み重ねで、人の心は大きく強くなっていくのだと思う。
私はこうして小さく生まれても大きくなっていく命の存在を知ったから、
その子を、そのお父さんお母さんの道のりを知ったから、
その分また少し優しくなりたいと思った。
誰かを非難したり、誰かと争ったり、
そんなことは無意味なことに思えた。


彼らが家に帰って、
これからの長い人生を歩む中で、
少しでも明るい光が射すように、
手を動かし、頭を動かし、隣の人と手をつないでいきたいと思う。

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2011年07月16日 23:57に投稿されたエントリーのページです。

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