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明日が来ると思えること

その本に挟んであったレシートを見ると、1年前の3月に買っていた。
新しい職場にまだ慣れることができずに、すっかり塞ぎ込んでいた気持ちを持ち上げようと本棚からとったこの本の最初の章を読んで、今絶妙のタイミングで読み始めたことに気づいた。
それまで何度かこの本を開いて、でも主人公の女性の意図が掴めずに、北へ向かう列車の場面で挫折していたのが嘘みたいに、今回はすーっとページを繰っていた。

全てを終わりにしたいと思うきっかけというのは本当に些細なことで、そこから抜け出すのもまた些細なことに依るのだ。まったくもって同感だ。

田村さんは都会暮らしをしていたのが嘘みたいに、自然のなかでの暮らしが染み付いている人だ。包み隠さない無愛想の奥に、御両親を失った悲しみや神に祈る気持ちが見え隠れして、割り切れない気持ちを抱えている人なのかな、と思う。そういうのを乗り越えて今の田村さんがあって、彼が言葉少なに彼女に見せて伝えていたのは、そうして田村さんが辿った軌跡だったのではないかと思う。

皮肉にも?それとも予想通りに?街の暮らしへ彼女は戻っていく。自然をいただく過程を目の当たりにして、ものへの愛着も自分の見苦しさも理解したのかもしれない。田舎にはいられないことを自覚する旅だったのかもしれない。田村さんの大雑把なところに引っ張られるように率直な自分になって「長生き」できるようになったのかもしれない。マッチのお守りを得て。


温かい4月の風にふかれて、堰を切ったように涙が溢れてきて、明日がくるのか本気で希望が持てない夜を過ごしても、その翌日には笑って職場の人と話せる自分がいて、「日常」というのは実際はそういう日々が連綿と続いているものなんだと思う。

私のお守りはその時々で、変化していく。
音楽、誰かにもらった言葉、写真、人との繋がり。

大丈夫、まだ明日が来ると思える。
 
 
天国はまだ遠く (新潮文庫)
天国はまだ遠く (新潮文庫)

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2011年05月23日 02:00に投稿されたエントリーのページです。

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