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ウォークマンの思い出

SONYがいよいよウォークマンの生産を終了するそうだ。

今時CDを買う機会も減り、
もはやダビングして好みのカセットを作るという行為は過去の遺産だ。
カセットテープを知らない子供もいるのだろう。


小学校4年生くらいから邦楽に興味を持つようになって、
音楽番組の森高千里や米米クラブの曲を必死で録音した。
タイミングを間違って、曲紹介が入ったりするのが許せなくて、
絶妙のタイミングで録音ボタンを押すのに一苦労した。

そして誕生日にCDからカセットにダビングができる
カセットレコーダーを買ってもらった。
カセットからカセットへもダビングができる黒いボディだった。
そして初めて買ったCDが、ZARDの「負けないで」。

学年が変わる前に作るクラス文集では、番付がお決まりで、
そのなかの好きな歌には「負けないで」を書いた。
そのとき、好きだった男の子が選んだ曲が気になって、
CHAGE&ASKAのYAHYAHYAHと書いているのを盗み見て、
「見るなよ!」と怒鳴られた記憶がある。

小学校6年生のときには、ちょっと流行に敏感な同じクラスの女の子に、
Mr.Childrenのことを聞いて、Tomorrow never knowsと奇跡の地球を買った。
以来15年来Mr.Childrenが好きだ。

そしてようやく私もウォークマンを手にした。
中学校に進学してから。再生機能だけのウォークマン。
青紫に塗られた金属的なボディが印象的だった。
一緒に買いに行ったのではなくて、お父さんが買ってきてくれた、
というのもの何か特別だった。
習いたてのNHK基礎英語を聞いたり、Mr.Childrenを聞いたり、いつも一緒だった。

とある日、お兄ちゃんに「スキー旅行に持って行きたい」といわれ
私のウォークマンを貸したことがあった。
その間はカセットデッキで音楽を聴いた。
でもお兄ちゃんがスキー旅行から帰ってきても
一向にウォークマンが戻ってこない。
正直私は5つ年上のお兄ちゃんが怖くて、
殊に高校生になったお兄ちゃんとはほとんど話さなくなって、
でも大好きなウォークマンを使いたかったから勇気を振り絞って
「ウォークマンは?」と聞いたら、
「もうちょっと貸して」と歯切れの悪い返事。

それから1週間ほどしたところでウォークマンが帰ってきた。
しばらくして、お兄ちゃんが私と同じウォークマンを使っているのを見て、
「お兄ちゃんも同じやつを買ったんだなあ」と思い、お父さんに話したら、
こっそり本当のことを教えてくれた。
「スキー旅行で失くしちゃって、新しいの買ったんだよ。後で見つかったみたいだけど。」

「言ってくれたら良かったのに」と思いながら、
失くしたことへの罪悪感が大きかったのだろうなあ、と思った。
そして高校生がウォークマンを買うっていうことの大変さと引き換えに
お兄ちゃんとしてのプライドを守ったということも。

その後高校生になってしばらくしてカセットウォークマンは壊れてしまい、
カセットが再生できなくなった。
時を同じくして、カセットからMDが台頭する時代となり、
私はMDコンポを買ってもらった。
大学に入るやMD WALKMANを買い、初海外のお供をしてもらった。
私は、好きな音楽を友だちや恋人に届ける手段として
主にMDを使っていた世代だったんだ、と振り返る。
男の子に乗せてもらった車で、
自分が編集したMDを聞いてどきどきする、そういう思い出。

今はたくさんのカセットやMDを買う必要もなければ、ウォークマンもいらない。
音楽はワンクリックで手に入り、
アルバム1枚に少し足が出るくらいで再生機も買えてしまう。
パソコンで簡単に再生リストを編集できる。
CD1枚1枚から好きな曲を抜き出して、
MDやカセットに時間をかけて録音し、
小さい文字でタイトルを書いていたのが懐かしい。

まだ私の家にはあの頃のカセットやMDが眠っているし、
役目を終えたカセットウォークマン・MD WALKMANがしまってある。
久しぶりに彼らに会いに行って、あの頃の私にも会ってみようかな。

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2010年11月01日 00:19に投稿されたエントリーのページです。

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