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2010年03月 アーカイブ

2010年03月20日

脈動を感じて

30代半ばで永久の眠りについた従姉妹の顔を見つめて
自分の脈がどくどくするのを感じた。
その隣で、父が何度も深いため息をもらした。

端的に言って、その場面はとても緊張した。
見てはいけないものを見てしまったような気持ちとか、
今にも目を覚ましそうな穏やかな寝顔に安堵する気持ちとか、
いろんな気持ちが混ぜ合わさって、言葉にならなかった。


2009年の暮れから2010年の年明けにかけて
私の周りで人生の終わりを迎えた人が何人かいて、
私はその人たちと私とが関わり合ったときのことを
できる限り思い出して、忘れないようにしようと思った。
一方でもっと関わり合えたんじゃないかと後悔もした。


大学に入るまではちっとも本や映画に縁がなかったけれど、
最近は映画や小説にも興味が向くようになった。
そういった話のなかには、
クライマックスに誰かが死を迎える場面がしばしば出て来る。
でも今の私のタイミングでは、そういった描写に嫌悪感を抱いてしまう。
息を引き取った後は、どんなに声を大きくしても、その人に言葉は届かない。
届くのかもしれないけれど、それすら生きている人の都合良い解釈なのでは
ないかとも思う。
本人不在では、何が本当なのかうやむやになってしまうんじゃないかと思うし、
抱いた言葉たちを、ぶつける矛先もない。


従姉妹の病床にお見舞いの手紙を送った翌日、
悲しい知らせは届いた。
私の声は少なくとも生きているうちには届かなかった。
そのことを「すみません」と謝った私に、
おじさんは「そういうことが後でいい思い出になるから」
と言ってくださった。


それでも私はやっぱり生きて言葉を交わすべきだと今は思う。
そして、それは終わりを思って今を大切にするのではなくて、
次なる今がもっと良いものになるよう願いながら、
今を大切にするということでありたい。

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