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2007年12月 アーカイブ

2007年12月29日

込められた想いを感じて

呼吸器内科を回っていた時、担当していた患者さんが再び入院したと聞き、別の科に異動した身分ながら、御見舞いに病室を訪れた。

その方は、いつもベッドの上で正座をして話をする。自分のことを、丁寧に丁寧に話される姿も、心配事を、はばかりながらも尋ねる姿勢も相変わらずだった。

だいぶ病状も回復し、退院間近となったその方が帰りがけた私に、また少しはばかりながら「先生は本を読まれますか?」と話を切り出された。「是非先生に読んでいただきたいと思って」と教えてくださったのが、東野圭吾の『使命と魂のリミット』。

心臓血管外科を回る女性研修医を主人公としたミステリー小説。
久し振りにミステリーを読んだけれど、交錯する登場人物の繋がりに引き込まれていった。そして時折、正に同じ立場である研修医の気持ちに大きく頷き、「著者はどうやってこの思いを知ったのかな」と考えたりした。
最後に主人公である女性研修医は、一歩も二歩も前に進む。人としても医者としても。その話だけでも多分感動に値するのだけど、私はそれ以上に、この本を薦めてくれたあの患者さんの思いを感じて胸がいっぱいだった。もしかしたらこの研修医に私を重ねて、私の気持ちを想像してくれたのかなあ、とか、自分を患者さんの思いに重ねて何か思ったのかな、とか。

夢中で駆け抜ける毎日の中で、こういう温かさを感じる瞬間が、私に立ち上がり、走り続ける追い風になる。

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