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2006年11月 アーカイブ

2006年11月01日

締め

10月8日晴れ空の下で行われた陸上大会で、
私は学生としてのトラックを走り納めた。
まったく納得のいくタイムではなかったけれど、
6年間続けることができて、本当に良かった。


正直、意地で続けてきたところがある。
高校生の時に2'40"で800mを辞めたときから持ってた意地。
辞める時泣いたから、大学で始めるからには続けたかった。

大学で始めてから、最初は楽しいことばかりだったけれど、
医学という道を目指しながら、
そして部活という団体を意識しながら続けることは、
簡単なことではなかった。

それでも意地があったから、
何度も波はあったけれど、
最後の2年はもう歩いているのか、走っているのか、
分からないくらいのペースでしか進めなかったけれど、
いっぱいの人に支えられて、

走った。

陸上競技は個人競技であり、
悪い結果が出た時、結局「自分が練習を怠った」、それに終始すると私は思っている。
むしろその言い訳できない潔さが、私にはあっていたのかもしれない。

けれど一緒に練習する仲間がいて、
その人たちがいるから頑張れる。
だから良い結果が出た時には、その人たちのおかげで喜びは2倍にも3倍にもなる。


そして、

締めに、11月19日の舞台に立つことに決めた。
走りきることができないかもしれないけれど、
これまで支えてくれた人、一緒に走ってくれた人たちにお返しができるよう、
そして大学生の自分を納められるよう、
悔いのないよう走りたいと思う。

2006年11月04日

まるい

11040002.jpg
 
まるいは満月。
高層ビルの間から、
こちらに迫ってくるような月が見えた。
だけど眼鏡をかけていない私の目には、
輪郭がぼんやりして、
まんまるなのかどうなのか、
正直なところよく分からなかった。


まるいは私の顔。
テストで時々席が隣になる友達に、
「あっちゃんの顔を見てるとお月様を見てるみたいだ」と言われた。
私はこの丸い顔が大嫌いだったけど、
だからその言葉に「それって褒め言葉?」って返したかったけど、
でもその言葉に救われた。


ちゃんと眼鏡をかけて、その輪郭をもう一度良く見てみようかな。

2006年11月13日

偶然の産物

偶然という種類の幸せ。
月を眺めていたら、イヤホンから月を歌う曲が流れてきたとか、
おでんが食べたいなあと思って帰ってみたら、夕飯がおでんだったとか、
友達と手帳で予定をチェックしていたら、
実はお互い同じ映画を見に行く予定を入れていた、とかとか。

あたかも非日常的に思えるできごとが、日常の中で起きる。
そんなドラマチックなできごと、偶然。

みんな違う性格で、違う好みで、違う時間を過ごしている。
だけど、ときどき、まるで誰かが糸で操っているように力が働いて、
知らず知らずのうちに何かと何かが繋がり合う。
違うって思えば思うほど、寂しくなればなるほど、その瞬間の喜びは大きい。


「きょうのできごと」という映画の中で描かれていた
どこかとどこかで誰かと誰かが繋がっている姿がとても好きだった。
自分の毎日の中で時に現れるその偶然が、どれもいとおしくて、
日記に丁寧に残した。

ああ、私はこの感動が好きなんだなあ。
そして、「繋がり」を胸に生きる私にとって、
それがどれほど力を与えてくれるか、知れない。

2006年11月18日

もうすぐ来る明日

不安対高揚比は6:4。
あいにくの雨の予報に、不安感が一歩リード。


この2ヶ月で走った550km。
これまで一緒に走ってきた仲間たちとの時間。
いろんな場面でもらったエール。

そういった全てが力になると信じて、
ちっぽけな私だけど、明日は走りきりたい。

2006年11月19日

その日の記録

今にも雨が落ちてきそうな重たい空模様の下、
審判員が「先は長いのだから押すな押すな」と制する声を聞きながら、
ぱぁん、と鳴ったピストルの音で走り出した。

目の前に広がるトラックの赤が迫ってきて、
胸がいっぱいになった。


息づかいをたよりに、練習してきた4'50"のリズムを刻む。
四谷から続く下りで少しペースが上がった。
先は長いし、落ち着こうと言い聞かせる。

水道橋の駅前でかくっと右に進路をとると、
今日まで一緒に頑張ってきた友達が大きな声で応援してくれた。
ありがとう。

さらに走って美土代町の交差点を右に折れると、
いつも皇居ジョグに行く道に出た。
神田橋の高速下をくぐり、日比谷通りが真っすぐ続いていく。
歩道を走りながらずっと夢見ていた東京の道を走ること。
それを今自分がしているんだと思うと、嬉しくてたまらなかった。

日比谷公園にさしかかるところで、陸上部の同級生の声がした。
思わず笑顔。

赤い鳥居の立つ増上寺前で、
一緒に練習してくれた友達のお父さんが声を掛けてくれた。
今回走る上で大きな自信をくださった方。


しかし、状況はあまり思わしくなくなった。
予想以上の寒さのせいか、臀部に、大腿に、なんとなく違和感があった。

品川駅で傘の人が列を作る歩道橋をくぐると、八ツ山橋の坂上り。
少しペースが落ちた。

17kmでスポーツドリンクを飲み、何とかペースを持ち直し、
すれ違った土佐選手や高橋選手の懸命な姿、
そして谷川真理選手の「負けないで、諦めないで」の声掛けに力をもらい、
100分で折り返し。

そこからはエネルギー切れと、雨と、風と、足の重みに逆らって足を動かした。

前に進む程ペースは落ち、後ろから来る人に抜かれていく。
第一京浜から日比谷通りに戻る頃、一人旅の私に追い打ちをかけるように
雨脚は強まり、向かい風が吹きすさぶ。

それでも自分の意志で足を止めるという選択肢はあり得なかったのだ。
みんなのところへ辿り着きたい。

知らない沿道の人がゼッケンを見て名前で応援してくれたり、
友達や、友達のお父さんや、父の姿を見たり、
見えない場所で頑張った仲間のことを思ったり、
どれほど自分を支えてくれる人がいることか。


32kmを過ぎた辺りで、救護者の車から「大丈夫ですか」と話しかけられた。
「大丈夫です」と絞り出すように答えて、
前にいるランナーに追いつき、追い越し、でも追い越された。

意識がもうろうとする中で、神田橋の高速が見えた。
頑張ろう。


乗用車に追い越された。
前方で停車し、ブレザーの女の人が白い紙を持って出てきた。
赤字で書かれた文字は、雨でよく見えない。

10m先を走っていた人が毛布にくるまれた。
何だかよく分からないまま、そこまで歩くように走って、立ち止まった。
白い紙には「タイムオーバー」と書かれていた。


毛布をかけられた私は、審判員に声を掛けられたけれど、
今何が起きているのか、あまり把握できなかった。

誘われるがままに車に乗り込み、席へがたんと座った。
毛布を何枚かけても震えが止まらなかった。
隣の席の女性が、一生懸命私をさすって、自分の毛布まで私にかけ、
ずっと介抱してくださった。

競技場へ戻り、更衣室に入っても震えが止まらない私に、
その女性は温かいコーヒーを買ってきてくださった。
北海道から来た介護士だという彼女のてきぱきとした行動に、
私は泣きそうだった。

何とか御礼の言葉を言えるようになり、ありがとうございましたと繰り返し伝えた。
彼女はやはりてきぱきとした調子で着替え、北の地へと帰っていった。
「良かったら北海道マラソン一緒に走りましょうね。」と言い残して。


徐々に頭がはっきりしてきて、
競技場に来てくれていたはずの友達に、心配してくれた母親に、応援してくれた父親に、
電話をかけた。
声がうまく出せなかったけれど、ありがとう、伝わったかな。

その後ハーフマラソン後で疲れている中、競技場に足を運んでくれたみんなと落ち合った。
ドトールのミルクは温かかったけれど、みんなの表情はもっと温かかったなあ。


家に帰り、シャワーを浴びた。
風呂から上がり、震えがようやく落ち着いた。
部屋に入り、ふと、今日を共にしたストップウォッチに目をやると、
文字盤は2時間57分26秒で止まっていた。

2006年11月26日

拾い集めたものもの

2006年11月19日。
国立競技場の迫ってくるような赤いトラックに感動を覚えながらスタートしたレースは、
東京の大きな道を走るという夢の実現と共に、
34km過ぎタイムオーバーで完走できない悔しさも残した。

2時間57分26秒で時計は止まった。

結果に対する悔しさは当然のこと。
だけど今回の挑戦過程は、
たくさんの大切なもの・大切なことに気付く貴重な時間だった。

走る楽しさ。
続けることで得られる成長・喜び。
6年間共に陸上競技を共有してきた仲間の存在の大きさ。
もがきながらも1回1回の練習をこなす後輩の姿、それに対する尊敬。

分野は違えど「何かを目指して頑張る」という共通点で繋がることの強み。
人の幸せを喜ぶには、自分自身に恥じないだけの努力を積む必要があること。

努力を積み重ねるというアイデンティティ。

そして、
6年生のこの時期に挑戦できる場があったというタイミングと、
いろんな人に支えられていたこと・そもそも支えてくれる人がいてくれたこと、
それに気付いて、伝えきれないくらいの感謝の気持ちが湧いてきた。

レースの翌日、高校時代お世話になった塾の先生から
「頑張りやさんの辻さんにはぴったりの競技だね」
とメッセージが届いた。
それは今の私にとって、最上の誉め言葉です。

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