ガルウイングヒンジ比較検討 カザマオート vs Decah


キット発売されたカザマオートさんのヒンジを検討する機会がありました。

なお、記述は個人的主観に基づいており、カザマオートのヒンジは初期ロットのものであることをご理解ください。


カザマオートのヒンジ(GULL STYLE)です。ヒンジ本体・ドア側プレート・ダンパー・取り付けネジ・解説書で構成されます。


ダンパーは一本がけで、Decahのキットとはドア側プレートが別体になっていることが異なります。


ヒンジは1cm厚の分厚い金属プレートからなります。マシニングで削りだしされているようです。
剛性については既存のキットとほぼ同じレベルです。


ドアの開閉をシミュレートすると、まずボルトを軸としてヒンジが手前に開きます。


ストッパーは軸となるメタルパーツそのものがボディ側ヒンジとあたることで角度が決まります。
ここに金属板をはさめば角度はより浅くすることは容易でしょう。


ここからさらに金属パーツの中心を軸としてヒンジが上向きにあがります。


アップではこのような感じになります。


下げた時の、ドアの高さ調節はこのネジで行います。


気になるダンパーですが、結局一本がけに落ち着いたようです。


初期ロットは輸入(Sweden)もののショックが付いてきました。

このショックについて、カザマオートさんから情報を頂きました。

「ダンパーはスウェーデン製品。精密機械・ヨーロッパ全土の有名自動車メーカーに製品を提供しているメーカー製。
今回のFD3S仕様では150kgfで充填してある。ダンパーの効き具合は使用状況(主に温度)に依存するが、
日中10度以上であれば、FDのドアは片手で容易に上がる程度になっている。」

とのことです。(カザマオートさん、ありがとうございました)

他車種に流用する際には補助ダンパーをつけるか、ダンパーそのものをより強いものに変える必要があるでしょう。


ヒンジへダンパーを取り付けてみました。上側はこのようになります。
Decahのヒンジはダンパーの上側の取り付けに難があった(溶接などをしないと外れてきてします)のですが、
この構造であれば大丈夫そうです。穴の位置でダンパーの効き具合が調節できます。


おそらく一番作り難いであろう下側の受けです。ピロボールのようになっています。


ダンパーの取り付け位置は他パーツと干渉しないぎりぎりの位置になっています。
ダンパーが支点から離れるほど横応力がかかりやすくなるので、このキットも支点の近くにつけられています。


さて、他意はないのですが、ヒンジを比較検討してみました。横に並んでいるのはもっとも一般的なDecahのヒンジです。
現在の日本のガルのヒンジの過半数はこのヒンジそのもの、もしくは加工したものになっています。


・・・酷似していますね。ドアの跳ね上げの原理、フェンダーとのクリアランス、ダンパーの作動などを考えると、
2軸で作る限りは行きつく構造はおなじようです。剛性に関しては、ヒンジそのものを見る限りでは同程度です。


仕上がり精度はマシニング加工されているカザマの方が明らかにベターです。
車種別設計されているにもかかわらず、金属加工(穴の位置をずらす・溶接など)が必要なDecahのヒンジとは違いそうです。


ショックの比較です。明らかにストロークが異なります。

カザマオートヒンジ Decahヒンジ
価格 138,000円 (FD) 現地では1500-1900米ドル
ショップでは30万前後
専用車種への
取り付け予想工賃
6-8万円程度 10万円程度
加工精度 マシニングによる削りだし
穴の位置などの精度は高そう
チリあわせは必要
車種別設計されているが穴の位置などずれが大きく、取り付け時の加工を前提としている
チリあわせも必要
DIYの可能性 フェンダーの取り外し
ドアのチリあわせが出来るのであれば可能
溶接が出来れば可能
剛性 同程度 同程度
ダンパー スェーデン製品
150kgf
アメリカ製品
初期不良が多い
265kgfと非常に強い
他車種流用の可能性 強化ダンパーがあれば可能 比較的容易
ヒンジが加工しやすく様々な車種用キットが発売されている. ダンパーも複数あり, 場合によっては2本かけにも変更可能
ショップのノウハウ 現状ではなし 製品についてノウハウを持っているショップが多いため、依頼できるところ多い
納期 他車種用は開発中? バックオーダーが多くショップによっては半年以上待つこともある
早いところでは2週間
予想されるドアの開き具合 外側へのドアの開きがやや大きい

 車種用ダンパーなので、挙げるときの力はそれほど必要ない.

あとは、チリあわせ次第

ドアの開きかたはヒンジの加工にもよるが比較的垂直になる.

汎用ダンパーなのでドアの重い車種によっては開閉に力が必要になる.

あとは、チリあわせ次第

いずれのキットでも、溶接なしで装着した場合、使用方法によってはドアがずれてくることがあると思います。

 

結局、全く別の製品として捉えるべきだと思います。「どっちがいい?」という質問・議論はナンセンスです。

他車種流用であれば、どちらの製品がいいかどうかはケースバイケースでしょうし、いずれにしても、
どちらのヒンジも扱えるような経験・設備(溶接は必須!)のあるショップに任せるべきと思います。
手間をかければ、工賃は高くなりますが、良いものがつくれるはずです。