一般社団法人 日本小児リウマチ学会

一般社団法人 日本小児リウマチ学会

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理事長挨拶

 2021年11月13日理事長改選により、一般社団法人日本小児リウマチ学会の理事長に就任いたしました。
 本学会は前身の小児リウマチ研究会として1991年に発足してから設立30年目の節目を迎えます。2021年10月にはCOVID-19の流行とそれによる急速なオンライン化の普及を反映し、初めてハイブリッド形式で第30回の学術集会を開催させていただきました。小児リウマチ医が診るべき疾患は、時代を超えてなお稀少ではありますが、新規疾患の登場や疾患概念の変遷、また診断・治療の変革の流れに伴い、次第に本学会組織全体、“All Japan”体制で臨床・研究・教育の向上に取り組む意識が高まってまいりました。
 前・森雅亮理事長による本学会の発展をうけ、これからの学会活動について以下の提言を掲げたいと思います。これら4つの提言はそれぞれ独立したものではなく、互いに共鳴して本学会活動を高めるものです。

1. 小児リウマチ医療の見える化と診療体制の整備
 診療経験を一例一例丁寧に積み、研鑽することは臨床の根本ですが、現代の情報化社会では数字で客観視することが時に重要です。疾患登録制度やナショナルデータベースでの医療実態の把握・共有は、医療実態の俯瞰に不可欠です。また、質の高いデータの蓄積により臨床研究を推進します。診療ネットワークについては、前理事長の体制下で拠点診療施設MAPが作成され、HPで公開されており、高いアクセス数が確認されています。これを改良更新し、さらには成人移行例を受け入れる中核施設の掲載を目指します。

2. 小児リウマチ医育成プログラムの確立
 小児リウマチ医の育成を目的とした研修会が企画され、様々な教育資材がとりまとめられてきました。これからの確実なスキルを身に着けた小児リウマチ医の育成には、欧米のような全疾患を網羅した小児リウマチ医のtraining programが必要と考えます。

3. 国際化・国際水準の向上
 1.で把握した本邦の小児リウマチ疾患とその医療の実態を対外的に示し、交流を活性化し、学会としての国際プロジェクトへの参入を模索します。また、本邦の小児リウマチの国際的な立ち位置を向上させるためにも、国際学会への積極的な参加や質の高い英文雑誌の採択に値する研究を奨励します。

4. 成人移行支援の整備、成人診療科との連携、メディカルスタッフ育成
 成人移行支援の概念は年々と浸透しつつありますが、計画的な自立支援や成人診療科への転科の取り組みは遅々としています。リウマチ内科・整形外科医に向けた啓発活動を継続し、移行症例の実態・問題点を明らかにし、双方向の連携を推進するとともに、これらの活動に重要な役割を果たすメディカルスタッフの育成を目指します。

 本学会の礎を築き、ここまで導いてこられた諸先生方と、これからともに歩んでくださる学会員への敬意を忘れず精進していく所存です。

日本小児リウマチ学会 理事長 宮前多佳子
東京女子医科大学病院膠原病リウマチ痛風センター 小児リウマチ科・東京女子医科大学医学部膠原病リウマチ内科学講座