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ワンヘルスサイエンティスト Vol 1, 3; December 1, 2020


災害とワンヘルス:ヒトと動物との関係

三木 康宏

東北大学災害科学国際研究所
災害医学研究部門 災害産婦人科学分野



  私は東北大学災害科学国際研究所 災害産婦人科学分野に所属し、腫瘍に関する基礎医学研究を行っています。一方で獣医師として「災害と動物」に関連する研究・活動を一つのテーマとし、特に補助犬との同行・同伴避難について日本補助犬情報センターと情報共有しながら問題点を明らかにしたいと考えています。

 災害時、避難所へはペットともに避難することが推奨されていますが、多くの避難所が認めているのはペットの繋留場所を定めての同行避難であり、避難者の生活領域への同伴避難が認められているわけではありません。補助犬はこのようなペットへの対応とは異なり、身体障害者が避難所へ補助犬を同伴して避難した場合には、運営管理者はそれを拒むことは出来ません(身体障害者補助犬法)。一方で災害時に補助犬ユーザーが平時と同様に補助犬を管理することができるとは限らず、場合によっては補助とユーザーの分離避難が求められることも想定しなくてはなりません。このように災害時の動物とヒトとの関係を取り巻く諸問題は複雑です。COVID-19禍においてはペットの放棄が発生した国があったことが報道されています。災害を一つの視点としてOne Health Scienceを考えていきたいと思います。