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ワンヘルスサイエンティスト Vol 2, 12; Dec 3, 2021


安全安心な食肉を供給するために

岩渕 行雄

千葉県食肉公社社長



  この度、日本ワンヘルスサイエンス学会に入会させて頂きました。千葉県食肉公社を代表して、ご挨拶を申し上げます。
 千葉県は首都圏にありながら、農業・水産業・畜産業の算出額が例年全国五位以内ランクイン、とりわけ郡部の養豚においては宮崎や鹿児島に並ぶ飼養頭数、日本有数の畜産集積地です。千葉県食肉公社は旭市に位置し、日量で牛一二〇頭・豚一八五〇頭の屠畜を行う千葉県最大の食肉拠点として、生産者から消費者へ流通の入口を担っています。千葉県全体の牛豚の約四割は、ここ千葉県食肉公社で処理をしていますので、疫病や災害など万一の事態が起きれば、都民の台所がストップすると言っても過言ではありません。ありきたりの言葉ではありますが、「安全安心の食肉を安定的に供給すること」それが我々の最大のテーマであり、そのために日々絶え間ぬ努力を重ねております。

 十数年前、隣接する銚子市に千葉科学大学が開校し、日本で初めての危機管理学部が誕生しました。危機管理!まさに我々が社会に役割を果たすために最も重要なことです。これまで常に、鶏インフルエンザ、豚熱、口蹄疫、狂牛病など疫病の脅威にさらされてきました。また国内のあちこちで大規模災害が続き、インフラがトップする様を目の当たりにしましたし、長引く放射能汚染の問題にも向き合いました。日本の畜産業をとりまくリスクが急増する中、新設された千葉科学大学の初代の副学長に日本を代表する獣医師・獣医学者の吉川泰弘先生が就任され、非常に心強く感じたことを思い出します。当時の危機管理学部長でした藤谷登先生とは、大学研究室と地元生産者団体による産学連携研究会を発足し、学術の側面から地元産業をお支え頂きました。改めて両先生方との御縁に感謝申し上げます。
 日本を代表する食肉センターとして、更なる防疫体制の強化、そして生産基盤の拡充により、日本型「安全・安心・安定の畜産モデル」を構築、運営、発信していきたいと思っております。どうぞ宜しくお願い申し上げます。