生活習慣病やがんでは共通して、慢性炎症と代謝変動が疾患発症の基盤となります。私たちは心臓病、メタボリックシンドローム、糖尿病、慢性腎臓病やがんについて、慢性炎症と代謝の役割について研究を進めてきました。これらの研究を通して、マクロファージを始めとする免疫細胞が、心臓などの臓器の恒常性を維持することも見いだしています。さらに、造血・免疫系、神経系、代謝系、内分泌系のリンクによって体がストレスに適切に対処する一方で、ある臓器で始まった病態が他の臓器へも拡大・波及することも明らかにしてきました。このような複数システムの連携による恒常性の維持機構や、細胞代謝・エピジェネティクス・シグナルのクロストーク、これらの加齢に伴う変化に着目し、生活習慣病とがんの分子メカニズムを解明し、新しい治療法へと結びつけたいと考えています。
私たちは多様な研究手法を駆使して、様々な角度から心不全や糖尿病を始めとする生活習慣病・加齢関連疾患のメカニズム解明を目指して研究を続けています。
例えば以下のようなテーマの研究を進めています。
臓器連関による恒常性の維持と病態の拡大 - 神経・免疫・代謝・循環システムの連携機序
細胞代謝・細胞間代謝連携による恒常性維持と病態の分子機序
マクロファージの新たな制御機構と機能 - 免疫代謝連携、lncRNA
組織マクロファージ固有の機能を付与する微小環境・エピジェネティクス
加齢にともなう慢性炎症(炎症老化)誘導機序 - 幹細胞と炎症
炎症と再生のリンク