ドリームフェスティバルinハワイ
に参加して

(平成20年5月29日〜6月3日)

吉岡克彦

 今回の旅は、欲張りなぐらい多くの目的を持ってのものでした。平成18年1月に緊急入院して以後は、日帰りの行動が気持ちの上では精いっぱいでした。 また、4、5時間の外出でも、時には体中が悲鳴を上げることがあり、心身共に最高の状態に維持出来なければ、従来のような車いすでの行動には無理があると思っていました。 そんなある日、欲張り計画を十分に満たすツアー案内が舞い込みました。 行くと決めると意識は高まり、不安視していた車いすでの行動がなんだかクリア出来るような気持ちになってきました。

  
機内の長時間座位保持に挑戦

 体調も、ほぼ完全の状態で当日を迎えることが出来ました。関西空港での手続きも早めに終え自分の車いすで搭乗機まで行き、機内用の車いすに乗りかえる。 日頃使っている最適のクッションが、どこまでもってくれるのか心配でした。 心配ごとが的中して、本来ならば仮眠につける時間になっても、お尻と太股のしびれと痛みは強くなり、妻に絶えずマッサージをしてもらう事となりました。約9時間の飛行は、かなり厳しく我慢我慢の機内席でした。
 

機内の長時間座位保持に挑戦した写真
機内の長時間座位保持に挑戦した写真
 
諏訪中央病院名誉院長・鎌田実先生の講演を聞く 

今回の最終日には、著書「がんばらない」がベストセラーとなり、地域医療や海外救護活動に志した鎌田先生の講演をスケジュールしてあったことも参加した一つの要因でした。講演活動は関東を中心としたもので、関西ではなかなか機会がありませんでした。こうした思いを同時に叶えられる事になったのも今回の旅への決断でした

 
高齢者や障害者の方たちとのバリアフリーツアー

 車いす生活となった5年間は、家族による旅の日程を組んでいました。今回参加された高齢者や障害者の方達が、どのような気持ちを持って参加されたか交流の中で語りあえたのも穏やかな時間の流れの中でした。 案内では関西からの募集は始めてで現地ホテルで合流するものでしたが、関西空港発は、7組 17人のグループでした。熊本1組、広島1組、兵庫1組、滋賀1組、京都1組、大阪2組でしたが、成田発の参加者は約80名と多く4回目となる今回の旅を楽しんでおられるグループが多く見受けられました。 このようなバリアフリーツアーは、添乗員とは別にトラベルサポーターも参加するのが特徴で、多くのオプションが企画されておりました。それぞれ、サンライズ散策やショッピング、食事、海水浴をサポーターと共に数時間を楽しまれていました。こうした中で印象に残ったことがありました。満面笑みのご夫婦と渚に近い通路で出会ったときのことでした。ご主人が介護されていましたが、長い療養生活の中で数年前に結婚され、「この人に救われた」今、記念として連れてきてくれました。と、満足感いっぱいの表情が高齢のご夫婦から伝わってきて、今回の目的であった事を聴き絆の大切さを改めて知りました。
 
 私の計算違いの一つは、着後の1日行動で身体的な疲れは予想以上で、2日目のオプションを断り体力回復に努めた事でした。もったいない1日でしたが、結果的には最善の選択であったように思っています。

バリアフリーツアーの写真
バリアフリーツアーの写真

欲張り目的の達成とリフレッシュできた心身

 平成18年の思わぬアクシデントにより、あきらめていた旅でしたが、体の回復と共にいろいろな思いが交錯し、日頃の行動の中で時間、距離、内容を妻にも多くの負担をかけない範囲で拡大していきました。ALSと告知を受けた平成12年からの家族との思い出づくりの延長線でもありました。
 
 私たち夫婦は結婚40周年を迎えた今年を、何らかの形で記念したいという事もありました。こうした思いは、日頃の介護や介助に一生懸命注いでくれる妻への感謝の気持ちもありました。車いす生活となり子供や孫と行った所であり、ゆったりと楽しめるリゾートで温暖なハワイということで決まりました。
 
 朝に夕に海辺や公園、メインストリートに沿って、前回と同じようにたどりながら時間を過ごしました。
 
 又、オプションとして昔ながらの風景を残す田舎町ハレイワと言う所に行きましたが、もちろん、バリアフリーとは関係なく地道、砂利路、歩道も補修は行き届いてなく、食堂や商店も何段も段差があり、日本語がほとんど通じない、ここもハワイでした。
 
 「旅をあきらめない・夢をあきらめない」ことへの障害者や高齢の方とのバリアフリーツアーでしたが、自分の目的にあった生き方や夢を果たすことの再起動が出来た事を喜んでいます。


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